3 / 23
2
しおりを挟む魔法で栄える大国エトワール。
この国には、昔から聖女の言い伝えがある。
異界から降り立つ聖女とその国を統べる者は
その時その時代で惹かれあい
エトワールを更に繁栄へと導くであろう。
そして、数百年前には実在したと言われる聖女の言い伝えは私が幼い時に現実のモノとなった。
私が13歳の頃に聖女様が王宮に舞い降りた。
その言葉通り、王族の集まる間で目が霞む様な白い光の中から聖女様は舞い降りた、らしい。
過去の文献では、聖女は皆10代後半の女性とあったがその歳に現れたのは10代前半と若く、何百年ぶりの聖女降臨との事で城内は上から下へと大騒ぎだった。
その後聖女様は幼い事と、政の意味もあったのか侯爵が後見人となり、年の近い王太子と仲睦ましく言い伝えの通り2人は惹かれあった。
長い間互いを愛しみ、また両者とも他を惹きつける容姿も相まって、いつしかこの国中の人が憧れる公認の2人となっていった。
そんな私も2人に憧れた1人だ。
2人の見た目は勿論の事、人としても優しく聡明だと評判で、まるで小説のような彼等に憧れを持たないはずがない。
いつか2人は結婚し私達をこの国を共に導いてくれる!そう誰もが思っていたのに理想が崩れるのは一瞬だった。
聖女の後見人を務めていた侯爵の不正が発覚したのだ。
領民達からの不当な搾取。横領やまた聖女の支援金にも着服していたのだ。
このいずれにも聖女は関与していない為、勿論罰せられる事はなかった。
寧ろ受け取れるべきモノを着服されていたのだから、被害者だ。
只この事が発覚してから、王太子との婚約に否を唱える者が現れ出した。自分の娘を王太子に嫁がせたい貴族達だ。
聖女といっても、目に見える様な聖なる力が使える訳でもなければ魔力もない。能力で言えば平民以下だ。
そんな名ばかりの聖女を王族に迎え入れる事に反発が出はじめたのだ。
また、侯爵が悪事を働くきっかけも聖女だったのが追い討ちだった。聖女の後見人を勤めるまでは、侯爵はまともだったと言える。後見人を勤め、おこぼれではあるが多大な名声と、資金を手に入れた事で欲に溺れる様になったのだ。
被害を受けた領民の中には、聖女を悪女の様に言う者もいた。聖女が来てから悪く変わったと。
聖女は傷ついた者達に心を痛め、気づかなかった己を責め続けた。
そして、聖女様と王太子様の婚約は解消された。
14
お気に入りに追加
1,139
あなたにおすすめの小説
愛する義兄に憎まれています
ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。
義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。
許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。
2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。
ふわっと設定でサクっと終わります。
他サイトにも投稿。
お飾りな妻は何を思う
湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。
彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。
次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては体裁のための結婚だった。
そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。
婚約者の側室に嫌がらせされたので逃げてみました。
アトラス
恋愛
公爵令嬢のリリア・カーテノイドは婚約者である王太子殿下が側室を持ったことを知らされる。側室となったガーネット子爵令嬢は殿下の寵愛を盾にリリアに度重なる嫌がらせをしていた。
いやになったリリアは王城からの逃亡を決意する。
だがその途端に、王太子殿下の態度が豹変して・・・
「いつわたしが婚約破棄すると言った?」
私に飽きたんじゃなかったんですか!?
……………………………
6月8日、HOTランキング1位にランクインしました。たくさんの方々に読んで頂き、大変嬉しく思っています。お気に入り、しおりありがとうございます。とても励みになっています。今後ともどうぞよろしくお願いします!
愛してほしかった
こな
恋愛
「側室でもいいか」最愛の人にそう問われ、頷くしかなかった。
心はすり減り、期待を持つことを止めた。
──なのに、今更どういうおつもりですか?
※設定ふんわり
※何でも大丈夫な方向け
※合わない方は即ブラウザバックしてください
※指示、暴言を含むコメント、読後の苦情などはお控えください
貴方もヒロインのところに行くのね? [完]
風龍佳乃
恋愛
元気で活発だったマデリーンは
アカデミーに入学すると生活が一変し
てしまった
友人となったサブリナはマデリーンと
仲良くなった男性を次々と奪っていき
そしてマデリーンに愛を告白した
バーレンまでもがサブリナと一緒に居た
マデリーンは過去に決別して
隣国へと旅立ち新しい生活を送る。
そして帰国したマデリーンは
目を引く美しい蝶になっていた
公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】
佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。
異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。
幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。
その事実を1番隣でいつも見ていた。
一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。
25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。
これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。
何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは…
完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
少女を胸に抱き「可愛げのない女だ」と言う婚約者にどういう表情をしたら良いのだろう?
桃瀬さら
恋愛
大きな丸いメガネ越しにリーリエは婚約者と少女が抱き合っているのを見つめていた。
婚約者が"浮気"しているのに無表情のまま何の反応もしないリーリエに。
「可愛げのない女だ」
吐き捨てるかのように婚約者は言った。
どういう反応をするのが正解なのか。
リーリエ悩み考え、ある結論に至るーー。
「ごめんなさい。そして、終わりにしましょう」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる