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私とエドワードの挨拶は最後だった。

エドワードが陛下の寵臣だと知れ渡っているとはいえ、当然周囲__とくに高位で付き合いのない貴族たち__からはひそひそと非難の声があがる。

国王陛下、狙いすぎでは?
何げに敵対勢力削ぐのに程よく利用してませんか?

とか心中で突っ込んだところで、
「エドワード様!」
問題児王女サマが大きな声と共に出てきた、何の紹介もなく。

普通、どこそこの王女がお越しだとかなんとか、陛下から紹介されるもんじゃないのかな?
「お会いしたかったですわ」
レベッカ王女はほんのり頬を染め、うっとりとエドワードの顔を見つめる。
(面食いなのねこの王女……)
そして目の前のエドワードの視線が絶対零度なのに気がついていない、恐るべし鈍感力。

(ある意味天晴れ、というべきかしら?)
妙な感心の仕方をするアルスリーアは眼中にないようで、レベッカ王女はエドワードの腕を取ろうとし、素早く避けられた。
同時にエドワードの腕はアルスリーアに伸び、ふわりと体が持ち上げられたかと思ったら一瞬後エドワードの背中に隠されていた。
「俺に何か用か?ミレスナの王女」
冷たいエドワードの声に、ザワっと広間が騒ついた。

「あれがミレスナの……」
「エドワード様狙いなのかしら?」
「紹介されないということは正式な招待客ではないのでしょう、血は争えませんわね?」
ひそひそした声が嘲笑を伴って広がっていく。

だが、そんな声は耳に入らないように「エドワード様に戦勝のお祝いを申し上げに参りましたの。エドワード様ったら、ミレスナにお寄りになることなくお帰りになってしまわれたのですもの__我が城に滞在中はあんなに親しくさせていただいておりましたのに」と切々と語る声に共感する声や視線は現れない。

「思わせぶりな言い方はやめてもらおう、ミレスナはただの通り道、本戦場に至るまでの拠点のひとつにすぎん。それが何故わからない?」
「まあエドワード様、奥方様に何か言われたのですか?」
ここでギッ、とエドワードの背後に立つ私の方に視線を向ける。
「本当に図々しい娘ね!エドワード様と私の邪魔になるからさっさと離婚しなさいって言ったのにまだこんなところでエドワード様の隣に立つなんて!」

ぶわりとエドワードの全身から殺気が噴き出たのを感じた。
戦場を知らないアルスリーアですら感じとれたそれは広間の客も皆感じ取ったらしく、その場で卒倒する御夫人すらいた。

いやいやいや、状況、よく見ようよ?

広間の客たちが全力で目で訴えていた。

『頼むから、この鬼神をそれ以上怒らせないでくれ』
と。

















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