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エドワードの執務室に向かうべく庭園を横切ったところで、先程別れたばかりのレベッカヤバい王女が目の前に立ちはだかった。

(え なんで__いくら王族でも他国の王宮でそんな好き勝手に動けないはずじゃ?)
「ふふっこの国に来てすぐ下級兵士やメイドを買収してエドワード様の執務室の場所やルートは把握しておいたのよ!ああいえば貴女はきっと不安になってエドワード様の所に向かうと思ったの、読み通りね」

いや、不安で不穏なのは王女アナタの存在と言動なんだけど、自覚しろよ。

声に出さずに突っ込む私に構わず、ヤバい王女は話し続ける。
でかい声で。
関係者以外立ち入り区域でも、全く人がいないわけではないのだが……
「さっきも言ったでしょう?戦の最中に私とエドワード様は愛を育んだの、早く離婚して頂戴」
(わーウザい)
「おかしいですわねぇ?夫からは王女の名はおろかミレスナ王国の名さえ聞いたことがないのですが」
あれだけ社交に疎いエドワードがそんなことをした上に上手く隠し通せるとは思えないし、彼が多情な男性だとも思えない。

確かに離れていた間の生活は知らないが、そんなのはお互い様だ。

(まあ一服盛られて__とかなら、有り得るかもしれないわね?)
むしろそっちの方がありそうで怖い。
「ふん。エドワード様が私に不利になるようなこと言うわけないじゃないの!たかだか子爵家の娘が正妻面して恥を知りなさい!「恥を知らないのはそちらでは?」は?」
「不貞行為を声高に言って回るのは恥知らずな行いだと、私は思うのですけれど?あゝでも“エドワード様が貴女の名前を出したら自分に不利になる、言うわけがない“とも仰ってたから自分が人道にもとる行いをしている自覚はあったということかしら?その話が本当なら、ですけど」
「本当に決まってるでしょう?王女である私の発言を疑うと言うの?!」
「ええ、まあ」
「なっ__」
「むしろ信じる根拠が何ひとつありませんわ、先ほど存在を知って挨拶しただけの方の一方的な言をまるまる頭から信じ込むなんてこと、孤児院の幼子でもしませんわよ」
「誰に向かって__」
「ミレスナという国のことも地図上でしか知りませんし」
「っ、小国だからって馬鹿にするのもいい加減に、」
「誰かがそこの王族を名乗ったとして、本物かどうか判別できる根拠もございませんし」
「私は本物の王女よっ!」
まあ王妃のところに突撃できたのだから本物なんだろうけど。
「何より、私はミレスナの民ではないので言うことを聞く必要性を感じません」

言い切った私に、レベッカ王女が絶句した。
その隙に、私は彼女の横を通り過ぎて目的地に向かった。

それにしても__下級兵士やメイドを買収したって言ってたけど。

する方もされる方も、ヤバくないか?
















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