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国王の渾身の叫びだったにも関わらず、
「はぁ……?」
とくに響かなかったらしいエドワードは、
「そうでしたか」
と極めて平坦に返した。
毒気を抜かれた国王は、
「はぁ~、お前、まだ見つかったご令嬢と上手くいっておらんのか?」
「いってないわけではありませんが__」
「が?」
「まだ互いの情報が足りてないのでしょうね、交わす会話のワード数も少ないですし、どうにかまずリーアの喜ぶもの全てを知り尽くしたいところですが」
「……まず“全て“なのか?」
それ、余計ドン引かれないか?
国王は思ったが、口には出さなかった。
「当然でしょう、全て知っておかなければまた知らずリーアの不況を買う恐れがあります。漸く迎え入れたというのに出ていってしまったらどうするんですか」
極めて淡々と言っているが、言っている内容が何だか物騒である。
例えて言えばそう、
「女王様の機嫌を損ねたら首を刎ねられる」
を前提とした絶対的忠誠心と言えば近いだろうか。
そんなエドワードの様子に薄ら寒くなって二の句がつげない国王に、
「聞いてください陛下」
とエドワードがスッと青い瞳を細めたので、
「何だ」
と居住まいを正した。
が、次の瞬間にそれを後悔した。
「リーアが可愛いんです」
「__あァ?」
「いってらっしゃいませ」と「おかえりなさいませ」と言ってくれるリーアが可愛くて毎回花束を贈りたくなるが副官のディーンに「それはやめとけ」と止められていること、ドレスも宝石も欲しがらない無欲な彼女が唯一買い求めているのが数冊の書物であることから「なら図書館を建てようか」と建築家の元に相談に行こうとしたら「そういうことは式が無事に済んだ後奥様とご相談の上で始めてください」と言われ思い止まったこと、引っ越してきて半月も経つのに未だ前のように「エディ」と呼んでもらえず悲しんでいること。
等々を滔々と語られ、履き物を脱いでスパーンと目の前の相手の頭に叩きつけたくなった国王は悪くない。
ただ運が悪かっただけで。
最近誰かれ構わず愛しい妻自慢を始めるエドワードに周囲は引き気味だった。
そして、「ひょっとしてそのご令嬢はコイツの重すぎる愛が嫌で避け気味なんじゃ?」とちょっと思ったがこれも口にするのは避けた。
あんなに落ち込んだエドワードをもう二度と見たくない国王も結構重症だった。
「はぁ……?」
とくに響かなかったらしいエドワードは、
「そうでしたか」
と極めて平坦に返した。
毒気を抜かれた国王は、
「はぁ~、お前、まだ見つかったご令嬢と上手くいっておらんのか?」
「いってないわけではありませんが__」
「が?」
「まだ互いの情報が足りてないのでしょうね、交わす会話のワード数も少ないですし、どうにかまずリーアの喜ぶもの全てを知り尽くしたいところですが」
「……まず“全て“なのか?」
それ、余計ドン引かれないか?
国王は思ったが、口には出さなかった。
「当然でしょう、全て知っておかなければまた知らずリーアの不況を買う恐れがあります。漸く迎え入れたというのに出ていってしまったらどうするんですか」
極めて淡々と言っているが、言っている内容が何だか物騒である。
例えて言えばそう、
「女王様の機嫌を損ねたら首を刎ねられる」
を前提とした絶対的忠誠心と言えば近いだろうか。
そんなエドワードの様子に薄ら寒くなって二の句がつげない国王に、
「聞いてください陛下」
とエドワードがスッと青い瞳を細めたので、
「何だ」
と居住まいを正した。
が、次の瞬間にそれを後悔した。
「リーアが可愛いんです」
「__あァ?」
「いってらっしゃいませ」と「おかえりなさいませ」と言ってくれるリーアが可愛くて毎回花束を贈りたくなるが副官のディーンに「それはやめとけ」と止められていること、ドレスも宝石も欲しがらない無欲な彼女が唯一買い求めているのが数冊の書物であることから「なら図書館を建てようか」と建築家の元に相談に行こうとしたら「そういうことは式が無事に済んだ後奥様とご相談の上で始めてください」と言われ思い止まったこと、引っ越してきて半月も経つのに未だ前のように「エディ」と呼んでもらえず悲しんでいること。
等々を滔々と語られ、履き物を脱いでスパーンと目の前の相手の頭に叩きつけたくなった国王は悪くない。
ただ運が悪かっただけで。
最近誰かれ構わず愛しい妻自慢を始めるエドワードに周囲は引き気味だった。
そして、「ひょっとしてそのご令嬢はコイツの重すぎる愛が嫌で避け気味なんじゃ?」とちょっと思ったがこれも口にするのは避けた。
あんなに落ち込んだエドワードをもう二度と見たくない国王も結構重症だった。
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