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13 いっそこの人抜きの方が話が進む気がするけれど
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「ち 違う!ちゃんと今日は妻と家で過ごすから呼び出すなと言ってきたはずだ!」
「なのに一杯引っ掛けてきたんですか?」
「それも違う!皆私が結婚式の最中に呼ばれたのを知っているから、今日は妻と過ごすと言ったら“そうか頑張れ“と送り出してくれた!酒のことは、その、同僚のひとりが悪ふざけというか、“なら祝い酒として一杯奢らせろ“といつも皆で仕事あがりに寄る酒場にひっぱって行かれて__私も緊張していたから一杯くらいならと。本当なら団長のアドバイス通り花だけ買って帰ってくるつもりだったんだ!」
「花のひとつやダイヤのひとつくらい、アドバイスなしでも買って帰ってくるものです。本当に反省しているのならば」
「無理よハンナ、ロード伯は結婚式よりお仕事が第一の人よ?お勤めの間はご自分に家庭があることなんて忘れていらっしゃるのよ?贈り物を買って帰ってくるなんて思いつくはずがないわ」
「左様でございました。女性の方がずっと緊張もするし体の負担も大きいことも考慮できない、下半身だけが妻というか女性を求めてるだけの獣にそんな芸当は無理でしたね」
必死で言い募るアベルにマリーローズとハンナはどこまでも冷たい。
「ならば王室はどうしてまた呼び出しを?」
呆れたように会話に入ってきたのはマリアだ。
「いや、それは_…何かあるのだろう」
(この言い方だと心当たりがありそうね。それにしても、)
「旦那さまでなければどうにもならない火急の事態がこんなにもですか、王城の騎士はよほど人手不足らしいですな?」
怒りがおさまらないらしいモンドに(そうなのよね、呼び出される回数が多すぎる……それに)と心の中で相槌を打ったマリーローズだった。
拒否できずに初夜を強行されていたとしたら、私は事がなった後ここに放置されていたわけでしょ?
いわゆる⚪︎り捨て状態というか……言葉は悪いけどそういうことよね?
ますます死に際の「違うんだ!」の意味がわからない。
そう考えると、とてもこの似非騎士の言い訳を聞いてあげる気にはならなかった。
そもそも騎士って酔っ払って出勤しても良いものなのだろうか?
「人手不足というわけではない、ただ私だけが担っている任務があって_…、その件に関して何かあったのだろう」
そう答えるアベルの顔を見るに、もう酔いは醒めてきているようだ。
「__それで、どうするおつもりですか?」
モンドの問いに、
「どう、と言われてもそんなことは_…」
言いかけて室内の全員が全員、とてもとても冷たい目をしているのに気がついた。
「今がどういう状況かわかっておられるのでしょうな?」
「坊っちゃまはいつからこんな人でなしに……」
と涙ぐむマリアに続き、
「こういう方ですから、やはり離婚を願います」
ときっぱり告げるマリーローズの言葉に、
「ま、待て!離婚はしない!君は何か誤解している、マリーローズ!俺は_、」
とアワアワ言い出したアベルだが、
「だったらグダグダ抜かす前に使者にそう言ってきっちりお帰り願らっしゃい!!」
とハンナにぶった切られた。
が、
「だ、だが……」
と煮えきらない態度には何か理由があるのだろうが、こちらもなあなあで済ませてあげるつもりはない。
「お酒を過ごした状態で使者の方に会うのは失礼にあたるでしょう、旦那様はお酒を過ごされて泥酔して意識がないので動けるようになり次第向かいますと、使者の方にお伝えして頂戴」
と私が言うと、ドアの外から「は、ははぁっ!」と些か時代がかった返事が聞こえ、「確とお伝えします!」と去って行った。
「マ、マリーローズ……」
愕然とするアベルに対し、
「さすが、奥様ですわ」
とマリアが微笑み、
「流石お嬢様です」
とうんうん頷くハンナの間で、
「何か問題でも?私との話はまだ終わっておりませんよね?今急いで出て行かれたりなどすれば次にこの邸の戻った時私はおりませんよ?」
「マリーローズ、そんな……」
そんな悲愴な顔をしてみせても駄目。
ずっと死ぬまで待ちぼうけをくわされてたのはマリーローズの方なんだから。
あの時、騎士団長夫妻も結婚式会場にいた。
普通、何か問題が起きたならまず団長に声をかけるはずだ。
なのに、あの使者は「ロード伯」だけを呼びにきた。
王女が意図してるとばかり思ってたけど_…それにしては似非騎士の態度がおかしい。
何か他に理由があるの?
話すつもりがないなら、引っ張り出す。
どうしてマリーローズをあんな目にあわせたのか、その真意を。
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
現在主人公サイドからしか書いておりませんが、当然各々のキャラクターにバックグラウンドストーリーがあり、それに沿って行動しています。
感想欄から切り込んでくださっている方もいらっしゃる通り、やらかしてる事実は変わりませんが理由は人それぞれ。
元ネタ小説、他キャラ視点等を折々に入れ込むか、完結してからにするか悩み中です。
引き続きの感想祭りやたくさんのイイね❣️ありがとうございます!
いただく反応のお陰で書き続けるパワーをもらってます。
「なのに一杯引っ掛けてきたんですか?」
「それも違う!皆私が結婚式の最中に呼ばれたのを知っているから、今日は妻と過ごすと言ったら“そうか頑張れ“と送り出してくれた!酒のことは、その、同僚のひとりが悪ふざけというか、“なら祝い酒として一杯奢らせろ“といつも皆で仕事あがりに寄る酒場にひっぱって行かれて__私も緊張していたから一杯くらいならと。本当なら団長のアドバイス通り花だけ買って帰ってくるつもりだったんだ!」
「花のひとつやダイヤのひとつくらい、アドバイスなしでも買って帰ってくるものです。本当に反省しているのならば」
「無理よハンナ、ロード伯は結婚式よりお仕事が第一の人よ?お勤めの間はご自分に家庭があることなんて忘れていらっしゃるのよ?贈り物を買って帰ってくるなんて思いつくはずがないわ」
「左様でございました。女性の方がずっと緊張もするし体の負担も大きいことも考慮できない、下半身だけが妻というか女性を求めてるだけの獣にそんな芸当は無理でしたね」
必死で言い募るアベルにマリーローズとハンナはどこまでも冷たい。
「ならば王室はどうしてまた呼び出しを?」
呆れたように会話に入ってきたのはマリアだ。
「いや、それは_…何かあるのだろう」
(この言い方だと心当たりがありそうね。それにしても、)
「旦那さまでなければどうにもならない火急の事態がこんなにもですか、王城の騎士はよほど人手不足らしいですな?」
怒りがおさまらないらしいモンドに(そうなのよね、呼び出される回数が多すぎる……それに)と心の中で相槌を打ったマリーローズだった。
拒否できずに初夜を強行されていたとしたら、私は事がなった後ここに放置されていたわけでしょ?
いわゆる⚪︎り捨て状態というか……言葉は悪いけどそういうことよね?
ますます死に際の「違うんだ!」の意味がわからない。
そう考えると、とてもこの似非騎士の言い訳を聞いてあげる気にはならなかった。
そもそも騎士って酔っ払って出勤しても良いものなのだろうか?
「人手不足というわけではない、ただ私だけが担っている任務があって_…、その件に関して何かあったのだろう」
そう答えるアベルの顔を見るに、もう酔いは醒めてきているようだ。
「__それで、どうするおつもりですか?」
モンドの問いに、
「どう、と言われてもそんなことは_…」
言いかけて室内の全員が全員、とてもとても冷たい目をしているのに気がついた。
「今がどういう状況かわかっておられるのでしょうな?」
「坊っちゃまはいつからこんな人でなしに……」
と涙ぐむマリアに続き、
「こういう方ですから、やはり離婚を願います」
ときっぱり告げるマリーローズの言葉に、
「ま、待て!離婚はしない!君は何か誤解している、マリーローズ!俺は_、」
とアワアワ言い出したアベルだが、
「だったらグダグダ抜かす前に使者にそう言ってきっちりお帰り願らっしゃい!!」
とハンナにぶった切られた。
が、
「だ、だが……」
と煮えきらない態度には何か理由があるのだろうが、こちらもなあなあで済ませてあげるつもりはない。
「お酒を過ごした状態で使者の方に会うのは失礼にあたるでしょう、旦那様はお酒を過ごされて泥酔して意識がないので動けるようになり次第向かいますと、使者の方にお伝えして頂戴」
と私が言うと、ドアの外から「は、ははぁっ!」と些か時代がかった返事が聞こえ、「確とお伝えします!」と去って行った。
「マ、マリーローズ……」
愕然とするアベルに対し、
「さすが、奥様ですわ」
とマリアが微笑み、
「流石お嬢様です」
とうんうん頷くハンナの間で、
「何か問題でも?私との話はまだ終わっておりませんよね?今急いで出て行かれたりなどすれば次にこの邸の戻った時私はおりませんよ?」
「マリーローズ、そんな……」
そんな悲愴な顔をしてみせても駄目。
ずっと死ぬまで待ちぼうけをくわされてたのはマリーローズの方なんだから。
あの時、騎士団長夫妻も結婚式会場にいた。
普通、何か問題が起きたならまず団長に声をかけるはずだ。
なのに、あの使者は「ロード伯」だけを呼びにきた。
王女が意図してるとばかり思ってたけど_…それにしては似非騎士の態度がおかしい。
何か他に理由があるの?
話すつもりがないなら、引っ張り出す。
どうしてマリーローズをあんな目にあわせたのか、その真意を。
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
現在主人公サイドからしか書いておりませんが、当然各々のキャラクターにバックグラウンドストーリーがあり、それに沿って行動しています。
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