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8 ついでに拭きましょう。
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「話だと……?」
「はい。カイゼル家では妻に迎えた女性をこのように扱うよう、教育を受けるのですか?どちらにせよ、カイゼル侯爵夫妻に確認しなければいけませんね」
「このような……?」
「はい。結婚式から突然いなくなって、そのまま帰って来ずに諸々自分の都合ですっ飛ばしておいてその後まともな会話ひとつないのに、いきなり酔っ払って帰ってきたと思ったら人を寝室に連れ込んで“初夜をやるぞ!!“とかほざくことです」
「あ……、いや、これはその、初夜がまだだと知った同僚たちが“勢いが大事“だから一杯引っ掛けて行くくらいが丁度良いと……」
勤務中何の話してんだよ。
「騎士団って暇なんですの?とても忙しいと伺っておりますが」
「ひ、暇ではない!ただ同僚たちに結婚したことを冷やかされて、その、、そういう話になってアドバイスを……」
「何のアドバイスですか、言っておきますが顔を見て挨拶するなり抱き上げてベッド直行って連れ込み宿の常連同士の所業ですからね?そんな所での男同士の常識を私に適用しないでくださいませ。それとも_…、他でもないセントレイ伯爵夫妻からそういう契約でも交わしておられるとか?」
「……契約……?」
「嫁いだ娘をどう扱っても当家は関知しないので好きにして構わない__つまり娼婦のように扱っても構わないとか?」
「なっ、そのような事はない!!我が家では嫁いできた女性に酷い仕打ちをする習慣などないし、貴女のご両親からそんなことは言われていない!ただ『娘を頼む』と_…」
「それにロード伯は何て答えたのです?」
「もちろん任せてください、と答えた。当然だ!」
「その“任せる“って体だけだと思ってます?」
「そんなわけないだろう!私たちはもう夫婦だ!こ、ぶっ?!」
言いながら顔を近づけてきたアベルの鼻先に私はモップ(の毛がついたほう。少し汚れているが仕方ない、モップだし)を押しつけて距離を保った。
ついでにそのまま濡れた顔を拭いてあげた。モップの毛で。
濡れてるからちょうど良いと思ったのだが、
「ごほっ、マ、マリーローズ、やめ、」
毛先に埃がついていたらしく咽せていた。
「ではこれ以上近付いて来ないでください、ハンナにそう言われたでしょう?」
「だ、だが」
何故自分の邸で使用人に指図されねばならないのか、納得のいかない顔で言い返そうとしたアベルに、
「__というかいい加減そこから退いてください。お嬢様が濡れるじゃありませんか」
氷点下の声と共にハンナが戻ってきた。
水のたっぷり入った花瓶だけでなく、盤や新しい水差し、ティーポットなど「水が入るあらゆるもの集めてきました」てな感じのワゴンを引いて。
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
沢山のお気に入り登録、いいね&感想ありがとうございます!
感想欄が祭り状態になっててめっちゃ動揺しました。
本日も推敲最短タイム更新につき、後々直しが入る可能性がございますがご容赦をm(_ _)m
「はい。カイゼル家では妻に迎えた女性をこのように扱うよう、教育を受けるのですか?どちらにせよ、カイゼル侯爵夫妻に確認しなければいけませんね」
「このような……?」
「はい。結婚式から突然いなくなって、そのまま帰って来ずに諸々自分の都合ですっ飛ばしておいてその後まともな会話ひとつないのに、いきなり酔っ払って帰ってきたと思ったら人を寝室に連れ込んで“初夜をやるぞ!!“とかほざくことです」
「あ……、いや、これはその、初夜がまだだと知った同僚たちが“勢いが大事“だから一杯引っ掛けて行くくらいが丁度良いと……」
勤務中何の話してんだよ。
「騎士団って暇なんですの?とても忙しいと伺っておりますが」
「ひ、暇ではない!ただ同僚たちに結婚したことを冷やかされて、その、、そういう話になってアドバイスを……」
「何のアドバイスですか、言っておきますが顔を見て挨拶するなり抱き上げてベッド直行って連れ込み宿の常連同士の所業ですからね?そんな所での男同士の常識を私に適用しないでくださいませ。それとも_…、他でもないセントレイ伯爵夫妻からそういう契約でも交わしておられるとか?」
「……契約……?」
「嫁いだ娘をどう扱っても当家は関知しないので好きにして構わない__つまり娼婦のように扱っても構わないとか?」
「なっ、そのような事はない!!我が家では嫁いできた女性に酷い仕打ちをする習慣などないし、貴女のご両親からそんなことは言われていない!ただ『娘を頼む』と_…」
「それにロード伯は何て答えたのです?」
「もちろん任せてください、と答えた。当然だ!」
「その“任せる“って体だけだと思ってます?」
「そんなわけないだろう!私たちはもう夫婦だ!こ、ぶっ?!」
言いながら顔を近づけてきたアベルの鼻先に私はモップ(の毛がついたほう。少し汚れているが仕方ない、モップだし)を押しつけて距離を保った。
ついでにそのまま濡れた顔を拭いてあげた。モップの毛で。
濡れてるからちょうど良いと思ったのだが、
「ごほっ、マ、マリーローズ、やめ、」
毛先に埃がついていたらしく咽せていた。
「ではこれ以上近付いて来ないでください、ハンナにそう言われたでしょう?」
「だ、だが」
何故自分の邸で使用人に指図されねばならないのか、納得のいかない顔で言い返そうとしたアベルに、
「__というかいい加減そこから退いてください。お嬢様が濡れるじゃありませんか」
氷点下の声と共にハンナが戻ってきた。
水のたっぷり入った花瓶だけでなく、盤や新しい水差し、ティーポットなど「水が入るあらゆるもの集めてきました」てな感じのワゴンを引いて。
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