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7 頭を冷やそう。
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「全く……!結婚式をすっぽかしておいて“すまなかった“のひと言で済むと思ってるんですかあの男は?!宝石かせめて花束を捧げて三つ指ついて謝るのが筋ってものでしょうに!」
「ロード伯にとってはその程度の認識なのでしょう、結婚式なんて……まあ、突然抜け出すくらいなら、あんなに入念に準備なんてしなければ良かったとは思うけど」
王命だったから婚約期間はほぼなかったけど、結婚式の準備期間はあった。
その間、衣装合わせや花選びなどには彼は協力的だったし時々笑顔も見られた。
だからこそマリーローズは期待してしまったのだ。
あんな風に置き去りにするくらいなら、結婚式などはなからしなければ良いものを。
「お嬢様はなんでそんなに冷静なんですかっ?!」
「所詮王命による形だけのものと割り切ってしまえばこんなものよ、単に住む所が変わったと思えばいいわ」
「お嬢様……」
そこへ、
「申し訳ありません、奥さま」
と茶菓子を運んできながらメイド頭が言った。
年配のご婦人でいかにも「坊っちゃまが小さい頃からお世話してました」
って感じだ。
「坊っちゃま、いえ当家の主人は幼い頃から騎士として身を立てることに精一杯でこういった事には疎くいらっしゃるのです」
“疎い“で済む時期なんてとっくに過ぎてると思うけど。
まあここで「あ、そうどうでもいいわ」と返すわけにもいかないので、
「次はいつお帰りになるのかしら?何か言ってらした?」
と話を振ると、
「今夜は出来るだけ早くお帰りになると言っておられました。昨日の埋め合わせをしたいと」
「埋め合わせ、ねぇ……」
(結婚披露宴の埋め合わせなんて、しようがないと思うけど)
「まぁ!ちゃんとする気があったんですね。なら良かったです」
(うーん、ハンナの期待通りのことでは多分ないと思うわ)
あの朴念仁にそんなデリカシーがあるわけないとわかってしまっている自分は期待してはいなかったが、あの馬鹿はその予想を超えてきた。
「ただいま!マリーローズ!」
と妙なハイテンションで帰ってきた似非騎士は花束を手にしていた。
可愛らしいピンクの薔薇の花束を。
意外すぎて絶句していたが、「これを君に」と差し出された花束をそのまま手に抱えた途端、身体ごと抱きかかえられ、「部屋の用意は済んでいるな?」と使用人に確認した(使用人は目を白黒させつつ頷いていた)コイツに夫婦の部屋の寝室のベッドに降ろされた。
「何の真似ですか?」
冷め切った声で一応訊くと、
「決まっているだろう?初夜だ」
とのしかかってきた男の息は酒臭い。
(一杯引っ掛けて帰ってくるなり寝室に連れ込んで“初夜“だぁ?)
私はベッドサイドにある水差しに手を伸ばすと、目の前の男の顔面に思いっきり浴びせた。
ピシャン、と頭のてっぺんから水を滴らせながら固まった似非騎士に、
「酔いは覚めましたか?まだなら花瓶の水もお見舞いしましょうか?__ついでにお花も」
(脳に花が咲いてるアンタにはお似合いよ)
「マ、マリーローズ……?」
呆然と呟く似非騎士は未だ状況把握が出来ないようだが、
「まだ酔いが覚めないようですわね。ハンナ!家中の水の入った花瓶を持ってきて!」
「かしこまりました、お嬢様」
気配なく背後に控えていたハンナは蛆でも見るような目でアベルを一瞥し、マリーローズには礼儀正しくお辞儀をして部屋から出て_…行く前に、
「お嬢様、私が戻る前に何かあった場合にはこれを」
と掃除用の柄の長いモップをマリーローズとアベルの間に挟み込むようにして手渡す。
「この距離をちゃんと保ってください。でないとうっかり背後から花瓶を脳天に叩きつけてしまうかもしれません」
「ありがとう、ハンナ」
そう言って私がモップの持ち手を受け取ると、満足げに頷いて出て行った。
私はモップの先を似非騎士の鼻先に向けながら、
「さあ_…少しは酔いが覚めたのならいくつか確認してもよろしいかしら?ロード伯」
*・゜゚・*:.。..。.:**:.。. .。.:*・゜゚・*
意外と早く来た、マリーローズのターン……予測より攻撃モードに入るのが早い( ̄▽ ̄;)
毎日更新を目標にしている為、推敲が甘いです。
追々直しながら突き進む所存m(_ _)m
「ロード伯にとってはその程度の認識なのでしょう、結婚式なんて……まあ、突然抜け出すくらいなら、あんなに入念に準備なんてしなければ良かったとは思うけど」
王命だったから婚約期間はほぼなかったけど、結婚式の準備期間はあった。
その間、衣装合わせや花選びなどには彼は協力的だったし時々笑顔も見られた。
だからこそマリーローズは期待してしまったのだ。
あんな風に置き去りにするくらいなら、結婚式などはなからしなければ良いものを。
「お嬢様はなんでそんなに冷静なんですかっ?!」
「所詮王命による形だけのものと割り切ってしまえばこんなものよ、単に住む所が変わったと思えばいいわ」
「お嬢様……」
そこへ、
「申し訳ありません、奥さま」
と茶菓子を運んできながらメイド頭が言った。
年配のご婦人でいかにも「坊っちゃまが小さい頃からお世話してました」
って感じだ。
「坊っちゃま、いえ当家の主人は幼い頃から騎士として身を立てることに精一杯でこういった事には疎くいらっしゃるのです」
“疎い“で済む時期なんてとっくに過ぎてると思うけど。
まあここで「あ、そうどうでもいいわ」と返すわけにもいかないので、
「次はいつお帰りになるのかしら?何か言ってらした?」
と話を振ると、
「今夜は出来るだけ早くお帰りになると言っておられました。昨日の埋め合わせをしたいと」
「埋め合わせ、ねぇ……」
(結婚披露宴の埋め合わせなんて、しようがないと思うけど)
「まぁ!ちゃんとする気があったんですね。なら良かったです」
(うーん、ハンナの期待通りのことでは多分ないと思うわ)
あの朴念仁にそんなデリカシーがあるわけないとわかってしまっている自分は期待してはいなかったが、あの馬鹿はその予想を超えてきた。
「ただいま!マリーローズ!」
と妙なハイテンションで帰ってきた似非騎士は花束を手にしていた。
可愛らしいピンクの薔薇の花束を。
意外すぎて絶句していたが、「これを君に」と差し出された花束をそのまま手に抱えた途端、身体ごと抱きかかえられ、「部屋の用意は済んでいるな?」と使用人に確認した(使用人は目を白黒させつつ頷いていた)コイツに夫婦の部屋の寝室のベッドに降ろされた。
「何の真似ですか?」
冷め切った声で一応訊くと、
「決まっているだろう?初夜だ」
とのしかかってきた男の息は酒臭い。
(一杯引っ掛けて帰ってくるなり寝室に連れ込んで“初夜“だぁ?)
私はベッドサイドにある水差しに手を伸ばすと、目の前の男の顔面に思いっきり浴びせた。
ピシャン、と頭のてっぺんから水を滴らせながら固まった似非騎士に、
「酔いは覚めましたか?まだなら花瓶の水もお見舞いしましょうか?__ついでにお花も」
(脳に花が咲いてるアンタにはお似合いよ)
「マ、マリーローズ……?」
呆然と呟く似非騎士は未だ状況把握が出来ないようだが、
「まだ酔いが覚めないようですわね。ハンナ!家中の水の入った花瓶を持ってきて!」
「かしこまりました、お嬢様」
気配なく背後に控えていたハンナは蛆でも見るような目でアベルを一瞥し、マリーローズには礼儀正しくお辞儀をして部屋から出て_…行く前に、
「お嬢様、私が戻る前に何かあった場合にはこれを」
と掃除用の柄の長いモップをマリーローズとアベルの間に挟み込むようにして手渡す。
「この距離をちゃんと保ってください。でないとうっかり背後から花瓶を脳天に叩きつけてしまうかもしれません」
「ありがとう、ハンナ」
そう言って私がモップの持ち手を受け取ると、満足げに頷いて出て行った。
私はモップの先を似非騎士の鼻先に向けながら、
「さあ_…少しは酔いが覚めたのならいくつか確認してもよろしいかしら?ロード伯」
*・゜゚・*:.。..。.:**:.。. .。.:*・゜゚・*
意外と早く来た、マリーローズのターン……予測より攻撃モードに入るのが早い( ̄▽ ̄;)
毎日更新を目標にしている為、推敲が甘いです。
追々直しながら突き進む所存m(_ _)m
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