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第一章

王宮と兄王子たちの反応

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*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*

この日の夜、もう深更になろうという頃王妃の部屋に不意の来客があった。
物音ひとつさせずに闇から上がった声は、
「お久し振りです、母上」
というもの。

「ア、アルトハーツ!」
王妃は闇に浮かんだ人影を躊躇うことなく抱きしめた。
「ああ!本当に大きくなって……よく顔を見せて頂戴」
「そのことなのですが、母上」

*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*






入学式の翌日、王宮は大騒ぎだった。
「本当か?あのアルトハーツが?」
と従者に詰め寄ったのは第三王子・ウオルトだ。
「は、はい!入学式の会場は大騒ぎで……」
「影武者かなんか送りこんできたんじゃないか?」
確認するように言ったのは第二王子のイズミール。
「あゝ、それなら有り得るな」
調子良く返したのは第四王子のカルロスで、
「おおかた戻ってくんのが気不味すぎて大枚払って身代わりでも頼んだんじゃないか?」
と続けて言い放ち、
「女生徒たちが発狂しそうな美男だったんだろ?あの子豚がそんなんなるわけない」
ウオルトが吐き捨てた。

だが、
「畏れながら殿下がた。アルトハーツ殿下が昨夜帰国されたのは間違いありません。殿下がたもご存知の通り、我が国の魔力保持者は出入りが厳しく制限されており、許可なく出入りしようとすれば必ず検知結界に引っ掛かります。許可なく出入り可能なのは王族のみであり、結界は昨夜アルトハーツ殿下の魔力が入国したことを検知しております。そして昨夜許可なく入国した者はおりません」
従者がおそるおそる報告する。

だが、
「日をずらして入国したんだろう、それくらいの知恵はまわるさ、子豚でもな」
「もしくはその影武者は魔力なしだ、入学式に魔法は使わないからな」
ウオルトとカルロスが続けて言い、
「畏れながら、聖マーリンにおいても同じく検知結界がございます。アルトハーツ殿下の魔力が昨夜から聖マーリンに留まっておられることは確かです」
同席を許された王宮付きの魔法使いが発言する。
「なら少なくともちゃんと入学したんだね、アルトハーツは」
第一王子のレインが初めて発言し、それはただの確認だったにも関わらず他の王子たちは黙り込む。

「アルトハーツが入学してた国、えーと何だっけ?」
「テレネツィアです」
「そうそのテレネツィアからは、留学生とか今期来てないの?」
「今期はテレネツィアの伯爵令息がお一人……アルトハーツ殿下と同じく昨夜入国されていますね」
「彼とアルトハーツの関係は?」
「テレネツィアの皇子殿下を通じて交流があり、こちらに帰国する際同道されてきたようです」
「彼の魔力属性は?」
「防御特化です」
「ふぅん……彼の容姿は?」
「黒髪黒目で短髪の青年です」
「体格は?」
「長身痩躯です」
「だとすると、入れ替わっても大差ないねぇ?」
レインとお付きの魔法使いのやり取りに、兄弟王子たちは気まずげに顔を見合わせた。













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