9 / 12
第一章
二人のアルトハーツ
しおりを挟む
アルトハーツが間借り(?)している邸に戻ってすぐ、ピンク色の髪をした青年が部屋に入ってきた。
「はぁ~つっかれた~質問責めにも限度ってもんがあんだろ、一応この国の王子だぞ?」
「お疲れ、アルトハーツ、君ともあろう者がわざわざそんな奴ら相手にしてたのか?」
「まさか。最初だけ適当に答えて後はとっとと逃げてきたさ。あと頼むからここに戻ったら本名で呼んでくれ、余計に消耗する」
そう言う彼のピンクの髪色が徐々に変化し、金色に変わっていく。
髪の長さまで変わり、一瞬後には金髪金眼の青年が立っていた。
「お疲れ、ゼスト。どうだった?ナイトエルの王子として入学した感想は」
「疲れたに決まってるだろ、王子って身分だけでも人が集まるのにこの目立つ容姿じゃあな。令嬢がた、早くもハンターの目になってたぞ」
「僕が知ってる限りじゃ、ナイトエルの貴族令嬢が僕に興味を持ったことなんかないけどな?」
「ばーか、女ってのは綺麗なもんが好きな生き物なんだよ。留学から帰ってきた王子がこんな美人になってたらそら欲しくなんだろうよ」
「どうだかな?この国の攻撃属性信仰は根深いから、王族としては失格の探査特化を本気で取り込もうなんて貴族はそうそういないはずだけど」
「__そんなにか?」
迷わず頷くアルトハーツにゼストは大きく息を吐く。
本当に、自国とは全く違う。
「しかし、本当に全く気づかれないものなんだな?この擬態魔法ってのは」
「ゼストも整った顔立ちだから造り自体はそんなに変えてないんだけどな?髪を伸ばしてピンクにして、瞳の色も同じにしただけで」
「あゝ、わかってる。それだけで本当に大丈夫か疑ったが__」
学園といえど王室直轄組織なのだ。
疑ってかかる奴の一人や二人、いるものかと思っていたのに。
蓋を開けて見たら大歓声の大歓迎だ。
誰ひとり、疑いの眼差しを向けては来なかった。
「皆俺の髪と瞳の色しか見てなかったし、最後に会った時はコロコロしてたとしか認識してないんだろうな」
何ともいえない顔で押し黙るゼストに、アルトハーツは淡々と告げた。
__そんな周囲の反応には、まるで関心などないように。
「はぁ~つっかれた~質問責めにも限度ってもんがあんだろ、一応この国の王子だぞ?」
「お疲れ、アルトハーツ、君ともあろう者がわざわざそんな奴ら相手にしてたのか?」
「まさか。最初だけ適当に答えて後はとっとと逃げてきたさ。あと頼むからここに戻ったら本名で呼んでくれ、余計に消耗する」
そう言う彼のピンクの髪色が徐々に変化し、金色に変わっていく。
髪の長さまで変わり、一瞬後には金髪金眼の青年が立っていた。
「お疲れ、ゼスト。どうだった?ナイトエルの王子として入学した感想は」
「疲れたに決まってるだろ、王子って身分だけでも人が集まるのにこの目立つ容姿じゃあな。令嬢がた、早くもハンターの目になってたぞ」
「僕が知ってる限りじゃ、ナイトエルの貴族令嬢が僕に興味を持ったことなんかないけどな?」
「ばーか、女ってのは綺麗なもんが好きな生き物なんだよ。留学から帰ってきた王子がこんな美人になってたらそら欲しくなんだろうよ」
「どうだかな?この国の攻撃属性信仰は根深いから、王族としては失格の探査特化を本気で取り込もうなんて貴族はそうそういないはずだけど」
「__そんなにか?」
迷わず頷くアルトハーツにゼストは大きく息を吐く。
本当に、自国とは全く違う。
「しかし、本当に全く気づかれないものなんだな?この擬態魔法ってのは」
「ゼストも整った顔立ちだから造り自体はそんなに変えてないんだけどな?髪を伸ばしてピンクにして、瞳の色も同じにしただけで」
「あゝ、わかってる。それだけで本当に大丈夫か疑ったが__」
学園といえど王室直轄組織なのだ。
疑ってかかる奴の一人や二人、いるものかと思っていたのに。
蓋を開けて見たら大歓声の大歓迎だ。
誰ひとり、疑いの眼差しを向けては来なかった。
「皆俺の髪と瞳の色しか見てなかったし、最後に会った時はコロコロしてたとしか認識してないんだろうな」
何ともいえない顔で押し黙るゼストに、アルトハーツは淡々と告げた。
__そんな周囲の反応には、まるで関心などないように。
13
お気に入りに追加
269
あなたにおすすめの小説

転生ヒロインは乙女ゲームを始めなかった。
よもぎ
ファンタジー
転生ヒロインがマトモな感性してる世界と、シナリオの強制力がある世界を混ぜたらどうなるの?という疑問への自分なりのアンサーです。転生ヒロインに近い視点でお話が進みます。激しい山場はございません。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!

過程をすっ飛ばすことにしました
こうやさい
ファンタジー
ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。
どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?
そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。
深く考えないでください。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる