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入学、即 迷子
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向いていなくとも、朝は来る。
よって私ロザリンダは入学式を迎え、現在絶賛迷子中です。
「そ~いえば私、前世でも方向音痴だったんだった……」
入学式ではとりあえず攻略対象なる方々のご尊顔だけ拝見しました、遠目に。
だって近づくとヤバいし。
入学式前に迷子になって会場まで連れてってもらうイベントは回避しましたよ?
んで、式終了後他の攻略対象様及びその婚約者サマ達のグループにノコノコと「先程はありがとうございましたっ」とか淑女感ゼロの挨拶に行くことも勿論してません。
__のにまさか。
「ガチで迷子になるとは……」
私はどことも知れない中庭(中庭自体たくさんある)で自分に突っ込みを入れた。
攻略対象様達からできるだけ離れて目立たないように一番離れた出口から出て、逆方向に歩いてたらいつの間にか人影がなくなり、知らない場所に出ていた。
__せめて誰か近くにいるうちに、聞いておけば良かった……!
とりあえず四方が校舎ではどうしようもない、せめて校舎の外側に出たい。
が、
「あ、開かない……」
今日は入学式のみで授業はないから当然といえば当然かも知れない。
自分は渡り廊下から入り込んだようだし。
仕方無く来た道を戻り、漸く少し開けた場所に出るがそこにも人影はない。
何処かに学内案内図みたいなものはないかとキョロキョロして見るも、掲示板はあるもののそこに案内図や手掛かりはない。
「もー。こんなにだだっ広いなら、入学案内の中に学内マップのひとつも入れといたらどうなのよ?」
とごちると、
「__成る程、それはなかなか良い案だね?」
突然の背後からの声に慌てて振り向くと、金髪碧眼の王子様がクスクス笑っていた。
(ア、アウグスト王子?!)
“聖なるロザリオの乙女“略してロザ乙、なんかロマンにかけるけど前世はとにかく略す文化だったから仕方ない__の、メイン攻略対象・アウグスト王太子・三年制のこの学園において最上級生・もちろん生徒会長様がこちらに向かって歩いてくる。
何故に??
入学式後はイベントなんてなかったはず!!
ついでにアウグストの背後にいるのは二年生の隠しキャラ・銀髪翠眼のツンツン(ツンデレではない)メガネの天才書記・エルドリオまでいる。
(ま、まさか強制力……?)
出会いイベント入学式前に起こさなかったから入学式後に発生する補正が働いてるの……?
振り返った私が真っ青な顔をして見せたからだろう、
「すまない。驚かせたようだな、先程の君の発言を咎めたわけではないんだ。私達生徒会役員は入学式後学内の見廻りや点呼を担当していてね」
「あ……」
そういえば絶賛迷子中だった、私。
続いて真っ赤に赤面してしまった私にアウグストは、
「見たところ迷子で間違いないかな?気にしなくていい、この通り敷地が広いからね、迷子は毎年いるんだ。寮の近くまで送っていこう」
と手を差し出した。
「よ、よろしくお願いします……」
その堂に入った仕草に、乙女ゲームにハマる人の気持ちがちょっとだけわかった気がした。
よって私ロザリンダは入学式を迎え、現在絶賛迷子中です。
「そ~いえば私、前世でも方向音痴だったんだった……」
入学式ではとりあえず攻略対象なる方々のご尊顔だけ拝見しました、遠目に。
だって近づくとヤバいし。
入学式前に迷子になって会場まで連れてってもらうイベントは回避しましたよ?
んで、式終了後他の攻略対象様及びその婚約者サマ達のグループにノコノコと「先程はありがとうございましたっ」とか淑女感ゼロの挨拶に行くことも勿論してません。
__のにまさか。
「ガチで迷子になるとは……」
私はどことも知れない中庭(中庭自体たくさんある)で自分に突っ込みを入れた。
攻略対象様達からできるだけ離れて目立たないように一番離れた出口から出て、逆方向に歩いてたらいつの間にか人影がなくなり、知らない場所に出ていた。
__せめて誰か近くにいるうちに、聞いておけば良かった……!
とりあえず四方が校舎ではどうしようもない、せめて校舎の外側に出たい。
が、
「あ、開かない……」
今日は入学式のみで授業はないから当然といえば当然かも知れない。
自分は渡り廊下から入り込んだようだし。
仕方無く来た道を戻り、漸く少し開けた場所に出るがそこにも人影はない。
何処かに学内案内図みたいなものはないかとキョロキョロして見るも、掲示板はあるもののそこに案内図や手掛かりはない。
「もー。こんなにだだっ広いなら、入学案内の中に学内マップのひとつも入れといたらどうなのよ?」
とごちると、
「__成る程、それはなかなか良い案だね?」
突然の背後からの声に慌てて振り向くと、金髪碧眼の王子様がクスクス笑っていた。
(ア、アウグスト王子?!)
“聖なるロザリオの乙女“略してロザ乙、なんかロマンにかけるけど前世はとにかく略す文化だったから仕方ない__の、メイン攻略対象・アウグスト王太子・三年制のこの学園において最上級生・もちろん生徒会長様がこちらに向かって歩いてくる。
何故に??
入学式後はイベントなんてなかったはず!!
ついでにアウグストの背後にいるのは二年生の隠しキャラ・銀髪翠眼のツンツン(ツンデレではない)メガネの天才書記・エルドリオまでいる。
(ま、まさか強制力……?)
出会いイベント入学式前に起こさなかったから入学式後に発生する補正が働いてるの……?
振り返った私が真っ青な顔をして見せたからだろう、
「すまない。驚かせたようだな、先程の君の発言を咎めたわけではないんだ。私達生徒会役員は入学式後学内の見廻りや点呼を担当していてね」
「あ……」
そういえば絶賛迷子中だった、私。
続いて真っ赤に赤面してしまった私にアウグストは、
「見たところ迷子で間違いないかな?気にしなくていい、この通り敷地が広いからね、迷子は毎年いるんだ。寮の近くまで送っていこう」
と手を差し出した。
「よ、よろしくお願いします……」
その堂に入った仕草に、乙女ゲームにハマる人の気持ちがちょっとだけわかった気がした。
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