お母様が私の恋路の邪魔をする

ものくろぱんだ

文字の大きさ
上 下
50 / 58

それぞれの愛の形

しおりを挟む
まあ、この国では近親婚が認められている。
さすがに、その子供まで近親婚をすることは許されていないものの、体に影響が出ない範囲内でのそれならば許されるのだ。

それにこれは血を濃くするためではなく、相思相愛の状況での結婚だ。

祝福は、できる。 
ちょっと思うこともあるけどね。

この十数年後に、いつかの自分たちと全く同じ顔をした男女が結婚するのかと思うと・・・ちょっと変な感じだ。

「二人とも、今日は王子殿下が遊びに来られる日よ、王女様方もね」

マクシミリアン殿下はあの後、昔からそばで支えてくれた乳姉妹でもある幼馴染の伯爵令嬢を妻に迎えた。
まあ結ばれるまでの過程にだいぶ巻き込まれたりしたんだけどね、まさか彼女と一緒に大規模な誘拐団に誘拐されてオークションにかけられた挙句ステフとマクシミリアン殿下が物理的に壊滅に追い込むとは私だって思わなかったの。
本当よ?

それで、私が双子を産んだ年に同じく王子殿下を産み落とされた。
名前はランスロット・ステンランド。
綺麗な黒髪に紫水晶の瞳を持つ、正真正銘の皇帝の血筋だ。

あの子が生まれた時のマクシミリアン殿下の喜びようは凄まじかったわ。

そんなランスロット王子の栄えある最初のお友達に選ばれたのがこの双子だった。

ああ、横恋慕とかはこの子達の世界には無い。
王子殿下は超達観され(ただし双子に限る)、幼いながらに優秀な妹王女様方はまるで新手の恋愛小説でも読んでいるかの如く二人の熱狂的なファンなのだ。

妹しかいない王子殿下は妹殿下たちの熱量にいつも押されており可愛そうである。

「・・・そういえば」
「・・・そうだった」

相変わらずの仲の良さ。
しっかり握りあってる手を見るに、このあとも延々とくっついて王子殿下に諦めさせ、王女様方を喜ばせるんだろう。

三人で連れ立って戻ると、お兄様がアリシアを抱き上げてこちらを見ていた。

「お兄様、どうされたの?」
「いや・・・あのさ、エル・・・アリシアなんだけど・・・その」

・・・ちょっと?なんなんですの?

「お母様!アリーね、まほうつかいになるの!」
「・・・うん??」

口篭りながら説明するお兄様曰く?アリシアにはとんでもない魔力が眠っていたらしい。
それはそれは巨大で、濃密で・・・お父様を軽く超える魔力が。

「だから、この病弱の原因は、魔力に性能が極振りされているせいかもしれない・・・あと、この環境に体が合ってないんだ」

そんなことを語ったあと、お兄様はある提案をした。

「だから・・・学園に、預けてみない?」

魔法学園三十三代目学園長レイツァザルト。
この国で初めて同性の伴侶を得て、今や最凶と呼ばれる学園を築き上げた彼の言葉に、私は快く頷いた。

「わかりました」
「・・・え、そんな簡単でいいの?」
「まあ・・・このことがなくてもいつか言い出しそうでしたし?」

最近学園は魔力を持たない人々にも門を開き始めた。
伯父様が大好きなアリシアがそれに目をつけないとは考えられない。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

転生しようとしたら魔族に邪魔されて加護が受けられませんでした。おかげで魔力がありません。

ライゼノ
ファンタジー
事故により死んだ俺は女神に転生の話を持ちかけられる。女神の加護により高い身体能力と魔力を得られるはずであったが、魔族の襲撃により加護を受けることなく転生してしまう。転生をした俺は後に気づく。魔力が使えて当たり前の世界で、俺は魔力を全く持たずに生まれてしまったことを。魔法に満ち溢れた世界で、魔力を持たない俺はこの世界で生き残ることはできるのか。どのように他者に負けぬ『強さ』を手に入れるのか。 師弟編の感想頂けると凄く嬉しいです! 最新話は小説家になろうにて公開しております。 https://ncode.syosetu.com/n2519ft/ よろしければこちらも見ていただけると非常に嬉しいです! 応援よろしくお願いします!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

すり替えられた公爵令嬢

鈴蘭
恋愛
帝国から嫁いで来た正妻キャサリンと離縁したあと、キャサリンとの間に出来た娘を捨てて、元婚約者アマンダとの間に出来た娘を嫡子として第一王子の婚約者に差し出したオルターナ公爵。 しかし王家は帝国との繋がりを求め、キャサリンの血を引く娘を欲していた。 妹が入れ替わった事に気付いた兄のルーカスは、事実を親友でもある第一王子のアルフレッドに告げるが、幼い二人にはどうする事も出来ず時間だけが流れて行く。 本来なら庶子として育つ筈だったマルゲリーターは公爵と後妻に溺愛されており、自身の中に高貴な血が流れていると信じて疑いもしていない、我儘で自分勝手な公女として育っていた。 完璧だと思われていた娘の入れ替えは、捨てた娘が学園に入学して来た事で、綻びを見せて行く。 視点がコロコロかわるので、ナレーション形式にしてみました。 お話が長いので、主要な登場人物を紹介します。 ロイズ王国 エレイン・フルール男爵令嬢 15歳 ルーカス・オルターナ公爵令息 17歳 アルフレッド・ロイズ第一王子 17歳 マルゲリーター・オルターナ公爵令嬢 15歳 マルゲリーターの母 アマンダ パトリシア・アンバタサー エレインのクラスメイト アルフレッドの側近 カシュー・イーシヤ 18歳 ダニエル・ウイロー 16歳 マシュー・イーシヤ 15歳 帝国 エレインとルーカスの母 キャサリン帝国の侯爵令嬢(皇帝の姪) キャサリンの再婚相手 アンドレイ(キャサリンの従兄妹) 隣国ルタオー王国 バーバラ王女

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

処理中です...