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また再び巡り会う時
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広い庭園に、きゃらきゃらと子供の声が響く。
その声を主を探して、私は庭園へと足を踏み入れた。
青い花だけで構成されていた母国の庭園とは違う、色とりどりの花々の咲き誇る美しい庭園だ。
その庭園を誰かが駆ける音がする。
「お母様っ!」
「ラナーシュ」
ふわふわの灰銀色の髪に、薄い翠の瞳を持つ、可愛らしい男の子。
私の三人目の子供であるラナーシュが、明るい笑顔で抱き着いてきた。
「お母様、エリスは?エリスはどこ?」
「エリスはお父様と一緒にいるわ、今はお昼寝の時間よ」
私の五人目の子供であるエリスは、ラナーシュより少し金色の混ざった灰銀色の髪に、紫の瞳をしたそれはそれは愛くるしい女の子だ。
初めて見た時は天使だと本当に思った。
と、いうか家族全員がそう思ったし間違いなく皇室の面々もそう思っていた。
「ラナーシュ、アリシアはどこ?」
「アリーはお兄様とお姉様のところ!」
じゃあこの奥にいるはずだ。
私の四人目の子供であるアリシアは体が非常に弱かった。
だから今日は久々の検診の日。
とは言っても普通の医者はアリシアが嫌がるので、アリシアが大好きな伯父様・・・つまりはお兄様が来てくれている。
今日のアリシアはそのことをすっかり忘れてしまったようだ。
「アリシア~?」
中々見つからないわ、かくれんぼの大会があったら間違いなく優勝ね、うちの子。
そんな馬鹿みたいなことを考えていると茂みががさがさと揺れた。
・・・やだ、本当にかくれんぼしてたのかしら。
ちなみにかくれんぼはお兄様が伝授された新しい遊びだ。
「お母様ぁぁぁああ」
大泣しながら飛び出してきたのは噂のアリシアである。
ミルクティーブロンドのふわふわとした髪に、紫水晶の大きな瞳。
今日も可愛いうちの子だが、やっぱり激しくは動けないのかトテトテ歩きながら私に抱き着いた。
「ぅぅ・・・赤ちゃんいるぅ・・・アリーの、ばしょなのよ・・・」
お腹の赤ちゃんにまで嫉妬しているアリシアを微笑ましく思った。
・・・そう、私は今六人目を妊娠中だ。
「アリシア、今日は何の日?」
「うえ・・・?・・・あっ、伯父様の日!」
「そうねぇ、ほら、時間は?」
「うーん・・・過ぎてる!ああっ、すぎてた!フカク!」
そう叫んで飛び出していくけど、やっぱり走りはしないのね、自分の体の限界がわかるのはいいことだわ。
さて・・・。
「マキア、アイト」
私がアリシアの出てきた茂みの奥に声をかけると、手を繋いだ少年と少女が、渋々といった様子で出てきた。
・・・私の初めての子供で、生まれた時から手を繋いでいたほど仲のいい双子の兄妹、マキアとアイト。
マキアは私の生き写しで、アイトはステフそのままと言えば通じるだろうか。
まるで幼い日の私たちが仲良くしているような不思議な光景に、よく私たちは嬉しい気持ちになる。
なんだか、幼い頃の私たちが報われたような気がして。
・・・とは言っても明らかに兄妹の距離感では無いのがこの双子である。
いったい何をしていたんだか・・・。
その声を主を探して、私は庭園へと足を踏み入れた。
青い花だけで構成されていた母国の庭園とは違う、色とりどりの花々の咲き誇る美しい庭園だ。
その庭園を誰かが駆ける音がする。
「お母様っ!」
「ラナーシュ」
ふわふわの灰銀色の髪に、薄い翠の瞳を持つ、可愛らしい男の子。
私の三人目の子供であるラナーシュが、明るい笑顔で抱き着いてきた。
「お母様、エリスは?エリスはどこ?」
「エリスはお父様と一緒にいるわ、今はお昼寝の時間よ」
私の五人目の子供であるエリスは、ラナーシュより少し金色の混ざった灰銀色の髪に、紫の瞳をしたそれはそれは愛くるしい女の子だ。
初めて見た時は天使だと本当に思った。
と、いうか家族全員がそう思ったし間違いなく皇室の面々もそう思っていた。
「ラナーシュ、アリシアはどこ?」
「アリーはお兄様とお姉様のところ!」
じゃあこの奥にいるはずだ。
私の四人目の子供であるアリシアは体が非常に弱かった。
だから今日は久々の検診の日。
とは言っても普通の医者はアリシアが嫌がるので、アリシアが大好きな伯父様・・・つまりはお兄様が来てくれている。
今日のアリシアはそのことをすっかり忘れてしまったようだ。
「アリシア~?」
中々見つからないわ、かくれんぼの大会があったら間違いなく優勝ね、うちの子。
そんな馬鹿みたいなことを考えていると茂みががさがさと揺れた。
・・・やだ、本当にかくれんぼしてたのかしら。
ちなみにかくれんぼはお兄様が伝授された新しい遊びだ。
「お母様ぁぁぁああ」
大泣しながら飛び出してきたのは噂のアリシアである。
ミルクティーブロンドのふわふわとした髪に、紫水晶の大きな瞳。
今日も可愛いうちの子だが、やっぱり激しくは動けないのかトテトテ歩きながら私に抱き着いた。
「ぅぅ・・・赤ちゃんいるぅ・・・アリーの、ばしょなのよ・・・」
お腹の赤ちゃんにまで嫉妬しているアリシアを微笑ましく思った。
・・・そう、私は今六人目を妊娠中だ。
「アリシア、今日は何の日?」
「うえ・・・?・・・あっ、伯父様の日!」
「そうねぇ、ほら、時間は?」
「うーん・・・過ぎてる!ああっ、すぎてた!フカク!」
そう叫んで飛び出していくけど、やっぱり走りはしないのね、自分の体の限界がわかるのはいいことだわ。
さて・・・。
「マキア、アイト」
私がアリシアの出てきた茂みの奥に声をかけると、手を繋いだ少年と少女が、渋々といった様子で出てきた。
・・・私の初めての子供で、生まれた時から手を繋いでいたほど仲のいい双子の兄妹、マキアとアイト。
マキアは私の生き写しで、アイトはステフそのままと言えば通じるだろうか。
まるで幼い日の私たちが仲良くしているような不思議な光景に、よく私たちは嬉しい気持ちになる。
なんだか、幼い頃の私たちが報われたような気がして。
・・・とは言っても明らかに兄妹の距離感では無いのがこの双子である。
いったい何をしていたんだか・・・。
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