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ジルの喉が動いたのがわかった。
随分熱っぽい瞳をするようになったね、と言うジルの方が、ずっとずっと熱い気がする。
ベッドに手を着き、上半身をジルに近付ける。
そうなるともう止められなかった。
撫でてほしい、キスしてほしい、触ってほしい。
名前を呼んで、他の誰かじゃないってわからせてほしい。
婚約者なんてしらない、今こんなに近くにいるのはおれだ。
おれに夢中にさせることなんて出来ないのはわかってる。
でも、婚約者に出来ないことしてもいいから。
だから、だから、ここにいる間はおれのジルでいてほしい。
「……っ、ん」
置いた手に指を重ねられて、あたたかいな、とじんわりする間もなく、唇も塞がれた。
薄く開かれた唇からはすぐにぬるりとしたものも侵入してして、ゆっくりと遠慮がちに、でもすぐにすきなように動かされる。
苦しいのに気持ちよくて、腰や脳にまで響くような甘い痺れ。
おれももっと、勉強してジルを気持ちよくさせたいと思っても、こんなの勉強出来ない。そんな余裕なんかない。
「ん、は……ぅ、ンん、ふあ」
暫くして、離れた唇を、名残惜しさからかじっと見つめてしまう。
それに気付いたのか、ジルは薄く笑って、間違ってなかったみたいだね、と言った。
「うん……あってる、けど」
でもその、もうちょっとほしいなって。
欲張りになっちゃったな、キスだけじゃ足りないなんて。
でも、キスだけじゃこの躰の熱さはどうにも出来なくて、どうにかしてほしい、治めてほしい、触ってほしい。もっと強く、ぎゅうって。
「……こないだの、続き……」
「この間?」
「ば、馬車での、続き……し、ないのかな、って……」
はっきりと言い切れずに、段々俯いてしまう。
どうにもこういうのには弱い。
おれが色っぽいお姉さんなら上手く誘えてたのだろうか。
「馬車の中では」
「んっ……」
「……流石に弁えてるつもりだよ」
「……?」
「あんなところでユキに負担がかかるようなことはしないよ」
「……!」
じわじわと言ってる意味がわかってきて、恥ずかしさが上限突破してしまった。思わず布団を頭から被ってしまう。
いやだ、恥ずかしい、おれの頭の方がやらしかった。
ジルはおれの負担まで考えてくれてたのに、おれだけ盛り上がってたなんて。エロ漫画の読み過ぎではないか。
だって!あんなの!どう考えたって、そういうシーンだったじゃないか!
「ユキ、出てきて」
「む、むり……やだ、恥ずかし過ぎてしぬ……」
「俺にかわいい顔見せて」
「かわいくない……」
「かわいいよ、どんなユキでも、かわいい」
そんな甘い声を出されても無理だ。
はしたないってレベルじゃない、このすけべ!まだ一回しかやってないのに!
「ユキ」
「……」
「続き、していいの?」
「……っう」
「ユキが嫌ならしない」
「……ずるいい」
この間と一緒だ。またそうやって、おれに決めさせる。
その許可を出すのがどれだけ恥ずかしいか。
そんなことが出来るならとっくにやってる。
「じゃあ、大丈夫ならここから手を出して」
「……」
ここから、というのは布団からということだよね、それはわかるんだけど、はいとすんなり手を出せるかというとまた話は違う。
そんなまどろっこしいことしてないで、布団を剥いで、おれを引きずり出して、そのまま倒してしまえばいいのに。
……そうしないからこそ、ジルを信用してるんだけど。
「無理なら大丈夫だよ、今日はこのまま寝よう」
布団の外で、ジルが横になった気配がする。
それからすぐに、布団毎抱き締められた。
えっ、この、この状態で寝んの?むり、色んな意味で無理。
暑いし、眠れないし、布団が邪魔だし、待って、ちょっと待って、心の準備するから、もうちょっと待って。
「……う」
暑くて心臓が、頭の方で脈打つような、そんな気がして、勇気を出して、少しだけ、指先だけ布団から出した。
それに気付いたらしいジルの笑い声が漏れる。
その指先をす、となぞられて、ぴくりと動いてしまった。
だから!手つきがやらしいってば!
いや、仕方ない、やらしいことをしようとしてる、寧ろ正しい。
正しいんだけど。
「っあ……」
「大丈夫ってことだよね」
「……っ」
「これ、剥いでいいかな」
指と指の間に、あたたかいものを感じる。
指を重ねて、ぎゅう、と握られる。強弱をつけて何度も何度も何度も。
自分の手にすら、嫉妬してしまう程。
「……ジル」
「うん?」
「かお……みたい」
「それは俺も」
「……うん」
漸く布団から顔を出すと、思ったよりすぐ近くにジルの顔があって、息を呑み込んでしまう。
もう言うまでもなく綺麗な整った顔が、おれを見て微笑んでる。
一瞬、少し後ろに下がってしまい、でも視線は外せなくて、じっとジルの瞳を見つめたまま。
「あわ……」
「顔が真っ赤だ、暑かったんじゃない?」
「ひゃっ……あ、汗かいてるから!触っちゃだめ!」
「触っていいから出てきてくれたんじゃないの?」
「汗かいてるの忘れてた!」
布団を剥いだジルに指摘されてから気付いた。
それはだめだ、なんかだめだ、こんな綺麗なひとにそんなものに触れさせる訳にはいかない。
随分熱っぽい瞳をするようになったね、と言うジルの方が、ずっとずっと熱い気がする。
ベッドに手を着き、上半身をジルに近付ける。
そうなるともう止められなかった。
撫でてほしい、キスしてほしい、触ってほしい。
名前を呼んで、他の誰かじゃないってわからせてほしい。
婚約者なんてしらない、今こんなに近くにいるのはおれだ。
おれに夢中にさせることなんて出来ないのはわかってる。
でも、婚約者に出来ないことしてもいいから。
だから、だから、ここにいる間はおれのジルでいてほしい。
「……っ、ん」
置いた手に指を重ねられて、あたたかいな、とじんわりする間もなく、唇も塞がれた。
薄く開かれた唇からはすぐにぬるりとしたものも侵入してして、ゆっくりと遠慮がちに、でもすぐにすきなように動かされる。
苦しいのに気持ちよくて、腰や脳にまで響くような甘い痺れ。
おれももっと、勉強してジルを気持ちよくさせたいと思っても、こんなの勉強出来ない。そんな余裕なんかない。
「ん、は……ぅ、ンん、ふあ」
暫くして、離れた唇を、名残惜しさからかじっと見つめてしまう。
それに気付いたのか、ジルは薄く笑って、間違ってなかったみたいだね、と言った。
「うん……あってる、けど」
でもその、もうちょっとほしいなって。
欲張りになっちゃったな、キスだけじゃ足りないなんて。
でも、キスだけじゃこの躰の熱さはどうにも出来なくて、どうにかしてほしい、治めてほしい、触ってほしい。もっと強く、ぎゅうって。
「……こないだの、続き……」
「この間?」
「ば、馬車での、続き……し、ないのかな、って……」
はっきりと言い切れずに、段々俯いてしまう。
どうにもこういうのには弱い。
おれが色っぽいお姉さんなら上手く誘えてたのだろうか。
「馬車の中では」
「んっ……」
「……流石に弁えてるつもりだよ」
「……?」
「あんなところでユキに負担がかかるようなことはしないよ」
「……!」
じわじわと言ってる意味がわかってきて、恥ずかしさが上限突破してしまった。思わず布団を頭から被ってしまう。
いやだ、恥ずかしい、おれの頭の方がやらしかった。
ジルはおれの負担まで考えてくれてたのに、おれだけ盛り上がってたなんて。エロ漫画の読み過ぎではないか。
だって!あんなの!どう考えたって、そういうシーンだったじゃないか!
「ユキ、出てきて」
「む、むり……やだ、恥ずかし過ぎてしぬ……」
「俺にかわいい顔見せて」
「かわいくない……」
「かわいいよ、どんなユキでも、かわいい」
そんな甘い声を出されても無理だ。
はしたないってレベルじゃない、このすけべ!まだ一回しかやってないのに!
「ユキ」
「……」
「続き、していいの?」
「……っう」
「ユキが嫌ならしない」
「……ずるいい」
この間と一緒だ。またそうやって、おれに決めさせる。
その許可を出すのがどれだけ恥ずかしいか。
そんなことが出来るならとっくにやってる。
「じゃあ、大丈夫ならここから手を出して」
「……」
ここから、というのは布団からということだよね、それはわかるんだけど、はいとすんなり手を出せるかというとまた話は違う。
そんなまどろっこしいことしてないで、布団を剥いで、おれを引きずり出して、そのまま倒してしまえばいいのに。
……そうしないからこそ、ジルを信用してるんだけど。
「無理なら大丈夫だよ、今日はこのまま寝よう」
布団の外で、ジルが横になった気配がする。
それからすぐに、布団毎抱き締められた。
えっ、この、この状態で寝んの?むり、色んな意味で無理。
暑いし、眠れないし、布団が邪魔だし、待って、ちょっと待って、心の準備するから、もうちょっと待って。
「……う」
暑くて心臓が、頭の方で脈打つような、そんな気がして、勇気を出して、少しだけ、指先だけ布団から出した。
それに気付いたらしいジルの笑い声が漏れる。
その指先をす、となぞられて、ぴくりと動いてしまった。
だから!手つきがやらしいってば!
いや、仕方ない、やらしいことをしようとしてる、寧ろ正しい。
正しいんだけど。
「っあ……」
「大丈夫ってことだよね」
「……っ」
「これ、剥いでいいかな」
指と指の間に、あたたかいものを感じる。
指を重ねて、ぎゅう、と握られる。強弱をつけて何度も何度も何度も。
自分の手にすら、嫉妬してしまう程。
「……ジル」
「うん?」
「かお……みたい」
「それは俺も」
「……うん」
漸く布団から顔を出すと、思ったよりすぐ近くにジルの顔があって、息を呑み込んでしまう。
もう言うまでもなく綺麗な整った顔が、おれを見て微笑んでる。
一瞬、少し後ろに下がってしまい、でも視線は外せなくて、じっとジルの瞳を見つめたまま。
「あわ……」
「顔が真っ赤だ、暑かったんじゃない?」
「ひゃっ……あ、汗かいてるから!触っちゃだめ!」
「触っていいから出てきてくれたんじゃないの?」
「汗かいてるの忘れてた!」
布団を剥いだジルに指摘されてから気付いた。
それはだめだ、なんかだめだ、こんな綺麗なひとにそんなものに触れさせる訳にはいかない。
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