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extra47 あの頃現代②
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王竜旗。
毎年夏に開かれる剣士の祭典。
高校生の部、一般の部に分けて行われ、高校生は高校生の部にエントリーしても良い。
一見無茶苦茶なルールで、その実無茶苦茶なルールで、だが現代にまで続いている伝統ある剣道大会である。
ちなみに遡ると剣術大会として開催されていたりするのだが何故か仔細は都合よく大雑把に残されており問題は見つからず、剣道大会と名を変えてから第一回王竜旗としていたりする。
今年記念すべき150回大会を迎えた。
帝国主義が席巻し、世界大戦にも参加した日本という国で一度の空白もなく大会を開催してきたのは一重に先人の恐るべき執念、もしくは熱意によるものだろう。
或いは剣士という存在がこの国において当時からこれまで、相当な政治力も併せ持ってきたのか。
それは今日広い会場で全国から剣士を集め盛大に開かれるこの大会の明るい表面からは見えてこない。
「……剣道なんだから、そりゃ、ああいうのが良いのは間違いないわな」
男の呟きには仕方がないという諦観とともに若干の寂しさが含まれていた。
2000を超える参加チームで日程はカツカツ。
個人戦に関してはとうとう一昨年の大会から無くなってしまった。
女子も男子の部に参加できるというルールも消えてしまって久しい。
まさに何でもあり、混沌の大会であった頃に一般の部で二連覇を果たした彼にとっては思う所もあるのだろう。
「上の爺さんどもの顔ぶれは毎度変わらんままだというのに……もう見に来るのもこれで最後かねえ」
されど現代に在りながら刀を本来の用途で実用している彼は明らかに異端。
名を石堂玄一。
高校二年生と三年生の時に王竜旗を制した後、剣道界から姿を消した男だ。
もっとも関わりの全てを絶った訳ではなく、剣の世界とは未だに濃い関係を保ち続けていた。
「潮時か。ここ数年は面白いのもいなかったしな。ん?」
「先生! 息吹さんが挨拶をしたいと……」
「ああ、わかった」
「それから……」
「なんだ?」
石堂が連れ回している弟子の一人が結構な速度で走り寄ってきて用件を伝えると、やや言い難そうに口ごもった。
「今は高校生も夏休みですし、その、皆様へのご挨拶周りが終わりましたら中津原に稽古をつけに行くのもよろしいかと思うのですが」
「中津原? 夏と真がいる街だな。で、稽古? 誰にだ?」
石堂は街の名前を聞き、すぐに思い当たる二人の知人を挙げた。
だがはて?
彼の記憶ではどちらも弟子ですらない。
真という少年に関しては勧誘はしているものの、それにしてもまだ素振りの型しか伝えていない。
その成長は気になるものに違いなかったが、九州からすぐに向かう程急ぎでもない。
そんな師の様子を見た弟子が長い長い溜息を漏らした。
「音無ですよ、先生。去年の王竜旗の後で佐原さんと結城さんからの紹介で顔を合わせた」
「オトナシ? 去年の大会ねえ……」
「お二人の紹介ならって弟子にしたじゃないですか。あれから結構熱心に来れる場所での稽古には参加してくれてますよ?」
「頼まれもんか。どうにもそっちは記憶に残らん。だが俺が直接見なくても当面はお前らが鍛えてやれば良かろう?」
「石堂先生に一度直接稽古をつけて欲しいと、本当に熱心な娘さんで。今時では珍しいです。私たちからも先生に――」
「――ああ、あいつか。副将で連勝してた」
ようやく思い至ったのか、玄一は音無の事を、音無響の試合を思い出して口にした。
ほっとしたように弟子が頷く。
「そうです! 先鋒の娘も中々センスがある子でしたが、音無は前回大会の中では男女含めて頭一つ抜けていたと思いますが。あの時の中津原高校は台風の目でしたよ」
ちなみに今年の中津原高校の団体戦には音無響の名前はない。
結果は四位。
前回大会の準優勝には及ばなかったものの、かなりの好成績だった。
「ま、才能はあったな」
「……贔屓目で言う訳じゃありませんが、素材としては本当に頭一つ抜けてました。連戦の疲れか決勝では確かに後れを取りましたけど。相手も中々の強者でしたし。女だからといって」
音無響は石堂の剣術に惹かれ、非常に熱心に、受けられる稽古は全て受けた。
石堂玄一の高弟からもその評価は相当高い。
態度にも実力にも文句のつけようがないと、弟子の方はそう言いたげな表情だった。
「お前は人を見る目がない」
「えぇ!?」
「ありゃ政の剣だ。準決と決勝ではっきり見て取れただろうが」
「……と言われましても」
「つまらねえんだよ。ああいう醒めた態度で剣を振る奴はな。特に決勝だ。あそこで全力で食らいつくようなタマなら男だろうが女だろうが俺から声を掛けてる」
(あの娘、世渡りは相当上手いみたいだな。息吹の爺さんと同じクチかねえ。あーやだやだ。あの時……相手が今の自分よりも頭半分くらい格上だとわかって尚しっかり打ち合ったとこまでは良かったんだがな。それがもう数か月もあれば埋まる差だと見切った瞬間、あいつは興味を失くしたみたいにわざと負けやがった。目立ち過ぎるのが嫌だったのか、部内で何かあったのか。どちらにせよあの醒めた態度は、一時の剣の勝敗に全く固執してねえ。才能はともかく、剣士としてつまらん)
「そんな……醒めていようがいまいがあの才能は本物ですって」
「わかったよ! んじゃ一回中津原行ってその音……音ちゃんに稽古つければいいな?」
これは玄一の好き嫌いとも言える。
響は、いうなれば剣を学びながら有事には懐に銃も持つタイプだ。
防弾にも気を配るだろうし、そもそも自ら武器を振るう機会を回避するだろう。
あくまでも手段の一つとして剣術を磨いているに過ぎない。
だからその勝敗にも固執しない。
実際響が去年の決勝で負けた際、相手選手は雄叫びを挙げて勝利を喜んだが、響は申し訳なさそうに微笑んで仲間に謝っていただけ。
悔しさなど微塵も見せず、二位が確定した時の涙も玄一の目からは周囲に合わせただけ、作り物のそれとしか見えなかった。
「先生……。私からしたらあの真って子の方が意味わかりませんけどね。あの子、剣道すらやってないじゃないですか」
何故か師が気に掛ける少年について私見を口にする弟子。
確かに剣の才でいえば、音無響とは比べ物にならないポンコツぶり。無理もない。
「あいつの面白さがわからんか? んー、そうだろうな。さて、中津原に行くなら挨拶はさっさと終わらせるとするか」
「……お願いします。息吹さんと他にも何人か、待合室Bでご歓談されながら待っておられます」
「息吹要、か。あの妖怪爺さんも中津原だったなあ。何気にあそこ魔窟だな」
「剣道会に多大な貢献をして下さっているスポンサーですから! 石堂先生はもう、本当にあんな好々爺を体現したような方にまで噛みついて、言わせて頂きますがひねくれすぎです!」
「……確かに、お前は良い奴だよ」
「??」
「丁度良い機会かもな。どうだ? ジジ、いや要翁には俺からも話をしてやるから、そろそろ道場でも開くか? 今のご時世、剣道教室がメインになるのはご愛敬だけどな」
「!? 本当ですか!?」
彼は石堂の弟子としての生活に不満は無い。
しかし修行を重ねていく内に、自分の剣士としての人生の行く先を考える事があるのもまた事実。
先輩の中には傭兵をやっている者もいれば、兵士に接近戦の技術を教える講師をやっている者もいる。
どちらもほぼ海外に出ての仕事だ。
一方国内では、やはり故郷や都市部で道場を構えるというのが一番多い。
土地柄に応じて剣道と剣術のバランスは変わるものの、三十を少し過ぎた彼は街の剣道場の主という位置に落ち着きたいと最近よく思う様になった。
師の様に戦場を渡り歩くような日常は自分には向かないと。
石堂は弟子に剣との向き合い方を強制しない。
剣と自分、自分と他者との位置づけは弟子個人の判断に任せていた。
助言を求められれば応じもするが、例えばこの青年の場合でいえば、石堂の方から戦場の興奮や人を斬り捨てて死線を超えていく悦びを説いたりはしない。
(剣の腕だけでいやあ、こいつは俺の歴代弟子でも上位五人に入る天才だが……人を斬るよりゃ圧倒的に次代の剣士を育てる方が向いてるわな。あの息吹のジジイを好々爺と呼ぶようじゃ騙し騙されの世界にゃ向かん)
「近々海外で仕事がある。付き合わせて流れ弾でも当たったら親御さんに申し訳ねえしな。お前なら石堂の名前も十分背負える。しかも丁度いい事にここから中津原に行くと途中で大阪を通る」
「大阪? ええ」
確かに途中大阪を通る。
鉄道を使う予定の旅路だった。
「実は大阪で道場やって欲しいって話がある。しかもかなりの好条件だ」
「……」
「ただこっちは急ぎでもない。お前は確か……新潟だったな」
「はい」
「なら今から考えろ。どこで道場やってきたいかをな。じゃ、行くぞ」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ほう、ではついに独り立ちなさる!? これはめでたいですな!」
「は、はい。ありがとうございます! つい先ほど師から突然に言い渡されたのですが……」
「つい先ほど? という事はこのお話はお二人の他ではこの老いぼれが一番に聞かせて頂いたのかな?」
「ええ、そういう事で。でまあ、こいつには大阪か故郷か、それともどこか好きな場所にでも道場を持たせてやって石堂の看板も分けておこうかと俺も思ってる訳で。つきましてはご老公様にも餞別の一つも頂けたらと」
「先生!!」
「はっはっは、相変わらず気持ちの良い直球だ」
一際明るく大きな声が響いた。
衆目の集まる先には石堂玄一とその弟子、そして王竜旗の大口スポンサーでもある息吹要氏がいた。
九州出身でもない息吹要だが、剣道とその発展を大いに応援しており、剣道界に身を置く者ならその名を知らぬ者は殆どいない。
「いやいや、おめでとう。石堂玄一が一番弟子、田中義見! 君ならどこでだって絶対に成功する! そうだ、何なら中津原に来ないかね?」
「あ、私如きの名前などを息吹さんがご存知だなんて……感激です。ただ、道場の場所は、やはり故郷に持ちたいと考えております」
「……うむ、確か田中君は新潟、長岡だったね。とかく政令指定都市の新潟市が目立ったりもするが、なに新潟県はどこも特色に溢れとる。長岡もまた素晴らしい!」
確かに石堂の弟子、田中の故郷は新潟県長岡市だ。
しかしそれほど何度も会った訳でもない彼の事を、息吹要は実に的確に知っていた。
世間話などもまた、長岡の話題になってさえ花が咲く。
田中は息吹要という人物にこれまで以上に惹かれ、たった一言誘われただけだというのに故郷ではなく中津原市に道場を持つのも悪くないかもしれないと思い始めてさえいた。
……実にドツボだ。
(こーのジジイは毎度毎度。あっという間に人をたらしこみやがる。田中はまあ、人斬りって性じゃねえ。この爺さんの琴線に触れちゃいねえから裏の顔を見せられる事もなかろうが。俺の弟子、ってだけでこの爺さんはここまでやりやがるからな。繰り返されちゃ、どうしたって俺も無下にあしらうなんて真似ができなくなる。厄介な御仁だよ、本当に)
目元をわずかに震わせながら石堂は要の心底喜んでいるように見える顔を見る。
この後言い出す事も大体予想がついている。
道場の土地探しは任せろ、とか知人に宣伝しておくよとか大した事ではないように言い放つのだ。
そしてそれは有言実行。
息吹要という老人が経済界と政界を見事に泳ぎ回った結果、彼の代になるまで地方の金持ち程度でしかなかった息吹家は日本でも有数の財力を有するようになり、その影響力は全国区になったのだから。
一方でスポーツだの文化活動だの慈善事業だのに継続的かつ湯水の様にお金をばらまき、謙虚な事を言ってその株を上げている。
(もう80近いトシだろうによく通る声でよく喋る。大体そこら中にばら撒いてるのは、それ以上に儲けてるからだってわからんもんかね。そんな尋常じゃない金額をどうやって稼ぎだしているのが、少しは考えんもんかね?)
関係する業界でうなぎのぼりになっていく息吹の名に呆れる石堂。
清廉潔白な訳がない。
ボンボンの二代目、道楽者。
そんな訳がない。
息吹要は妖怪だ。
昭和期の政治家とも互角以上に渡り合った正真正銘の妖怪爺さんなのだ。
だというのに田中をはじめ、優しく厚遇された多くのお人よしが彼を讃える。
石堂は内心溜息でもつきたい気分だった。
「しかし驚きました。息吹さんは新潟にお詳しいんですね」
「いやなに、聞きかじりです。儂の頃はそう、オヤジと呼ばれた大政治家もおられたし自然と何度か足も運んだもんです、ああ、懐かしい。三国峠の爆破、なんぞ若い人はご存知かな?」
「ええ、もちろん!」
「今となっては笑い話のようなもんですが、実に、面白い方でしたよ。義見君も田中の性だけにもしかしたらご関係など?」
「ありません、ありません! 私はただの田中です」
「あっはっは……」
実に自然に名前呼びに移行し、二人の会話は続く。
石堂は時折相槌を打つ程度だ。
(ブラジルで小山を本当に吹っ飛ばしてガリンペイロをボコボコにしたのはあんただけどな。というか弟子よ、このまま呑まれ続けると話が終わる頃には嫁まで押しつけられるぞ?)
息吹要の過去の行いを一つ思い出した石堂玄一。
これ以上弟子が息吹の妖怪に取り込まれる前に具体的な援助のお願いの話をしてしまおうと彼は決心する。
そしてまさに口を開こうとした時だった。
「義見君、実に楽しい時間だった。ありがとう。こんな爺さんに付き合ってくれて。それでね、これから独り立ちをする男に、それも卓越した剣技を手にそれを成そうとする君にこれは失礼な話かもしれないが」
「え……」
「儂はそれだけ君を気に入ってしまった。そして君の師である玄一君には並々ならぬ恩もある。更には響ちゃんを鍛えてくれたのは主に君だと聞いておる」
「ひび、え、音無?」
「だから……どうだろう。長岡の君の道場、一切儂に任せてもらえんかな。無論、敷地内か併設か君自身の住居についても。あと道場の宣伝をする事も許してもらえると有難い」
「なっ」
思わず声を漏らしたのは石堂だった。
いつもよりも、援助内容が遥かに良い。
田中義見は要が石堂の弟子から子飼いに欲しがっている人斬り包丁の類とはまるで違う。
変質させようとするでもなく、随分と気前の良い話を持ち掛けてきた油断できない相手に石堂の警戒が高まるのも無理はなかった。
田中の方はあまりの内容に言葉を失っている。
お前の新潟での生活は全部面倒を見てやる。
そう言われたに等しいのだから。
ついさっき師と話題に出した音無響の名前が出てきた事への驚きも手伝って、呆然と立ち尽くすだけの案山子となっていた。
「どうした玄一君?」
「いや、あんまり過ぎた餞別だったんで驚いたんですよ。それに音無響の名前が出てくるとも思わなかった」
「いや、至極自然じゃろ?」
「……?」
本気で石堂が理由に辿り着いていない事を察すると要は呆れる。
「結城め、使いの仕事すら満足に出来んか。困ったもんじゃ。音無響ちゃんは息吹家にとって大事な娘さんなんじゃよ。これが初耳という事になろうが」
「初耳ですね、愛人には若すぎるかと思いますが?」
「せ、先生!? 何て事いいますか!?」
弟子の狼狽を、二人のどちらもさして気にしない。
「まあまあ義見君。確かに愛人としては若過ぎじゃ。後二年ってとこかの~」
それでもゆうに半世紀の年の差はある。
「!?!?」
「というのは冗談で。あの娘は孫の正宗の許嫁でな」
「は? いいなずけ?」
「おう。んん、海外が長いと由緒ある日本語も忘れるか? 西洋風ならフィ、ア、ン、セ」
80を目前にした老人にしては実に茶目っ気がある。
「意味はわかるわ、疑問そこじゃねえし。今時許嫁とか、爺さんマジか?」
「本気と書いてマジよ。昔からゆうじゃろ? 年上の女房は……なんとやら」
ふと要老人は妻たちを思い浮かべ、あまり自分に当てはまらなかった事から明言するのを避けた。
「……後で、話がある。良いかい?」
「無論良いとも。玄一君との語らいなら儂はどこへでも駆け付けるぞ。冥土の土産が増えるわい」
「あの、先生。私は」
「息吹家の未来の嫁に剣を教えたんだ。その位役得だろ、もらっとけ」
「うむ、響ちゃんなら正宗を上手に乗りこなしてくれると儂は期待しとる!」
可能性はともかく。
その未来が実現する事は結局なかった。
この後に起こる音無響と深澄真の失踪。
息吹要の思惑は大きくずれていく事となり、また婚約解消の話を聞いた正宗が思わずラッキーと叫びそうになり、いや不謹慎にも半ばまで叫び何年かぶりに祖父から鉄拳をもらい。
そして息吹正宗は真との友情と、己の内に芽生えた愛情の狭間で長く悶え苦しむ事になる。
毎年夏に開かれる剣士の祭典。
高校生の部、一般の部に分けて行われ、高校生は高校生の部にエントリーしても良い。
一見無茶苦茶なルールで、その実無茶苦茶なルールで、だが現代にまで続いている伝統ある剣道大会である。
ちなみに遡ると剣術大会として開催されていたりするのだが何故か仔細は都合よく大雑把に残されており問題は見つからず、剣道大会と名を変えてから第一回王竜旗としていたりする。
今年記念すべき150回大会を迎えた。
帝国主義が席巻し、世界大戦にも参加した日本という国で一度の空白もなく大会を開催してきたのは一重に先人の恐るべき執念、もしくは熱意によるものだろう。
或いは剣士という存在がこの国において当時からこれまで、相当な政治力も併せ持ってきたのか。
それは今日広い会場で全国から剣士を集め盛大に開かれるこの大会の明るい表面からは見えてこない。
「……剣道なんだから、そりゃ、ああいうのが良いのは間違いないわな」
男の呟きには仕方がないという諦観とともに若干の寂しさが含まれていた。
2000を超える参加チームで日程はカツカツ。
個人戦に関してはとうとう一昨年の大会から無くなってしまった。
女子も男子の部に参加できるというルールも消えてしまって久しい。
まさに何でもあり、混沌の大会であった頃に一般の部で二連覇を果たした彼にとっては思う所もあるのだろう。
「上の爺さんどもの顔ぶれは毎度変わらんままだというのに……もう見に来るのもこれで最後かねえ」
されど現代に在りながら刀を本来の用途で実用している彼は明らかに異端。
名を石堂玄一。
高校二年生と三年生の時に王竜旗を制した後、剣道界から姿を消した男だ。
もっとも関わりの全てを絶った訳ではなく、剣の世界とは未だに濃い関係を保ち続けていた。
「潮時か。ここ数年は面白いのもいなかったしな。ん?」
「先生! 息吹さんが挨拶をしたいと……」
「ああ、わかった」
「それから……」
「なんだ?」
石堂が連れ回している弟子の一人が結構な速度で走り寄ってきて用件を伝えると、やや言い難そうに口ごもった。
「今は高校生も夏休みですし、その、皆様へのご挨拶周りが終わりましたら中津原に稽古をつけに行くのもよろしいかと思うのですが」
「中津原? 夏と真がいる街だな。で、稽古? 誰にだ?」
石堂は街の名前を聞き、すぐに思い当たる二人の知人を挙げた。
だがはて?
彼の記憶ではどちらも弟子ですらない。
真という少年に関しては勧誘はしているものの、それにしてもまだ素振りの型しか伝えていない。
その成長は気になるものに違いなかったが、九州からすぐに向かう程急ぎでもない。
そんな師の様子を見た弟子が長い長い溜息を漏らした。
「音無ですよ、先生。去年の王竜旗の後で佐原さんと結城さんからの紹介で顔を合わせた」
「オトナシ? 去年の大会ねえ……」
「お二人の紹介ならって弟子にしたじゃないですか。あれから結構熱心に来れる場所での稽古には参加してくれてますよ?」
「頼まれもんか。どうにもそっちは記憶に残らん。だが俺が直接見なくても当面はお前らが鍛えてやれば良かろう?」
「石堂先生に一度直接稽古をつけて欲しいと、本当に熱心な娘さんで。今時では珍しいです。私たちからも先生に――」
「――ああ、あいつか。副将で連勝してた」
ようやく思い至ったのか、玄一は音無の事を、音無響の試合を思い出して口にした。
ほっとしたように弟子が頷く。
「そうです! 先鋒の娘も中々センスがある子でしたが、音無は前回大会の中では男女含めて頭一つ抜けていたと思いますが。あの時の中津原高校は台風の目でしたよ」
ちなみに今年の中津原高校の団体戦には音無響の名前はない。
結果は四位。
前回大会の準優勝には及ばなかったものの、かなりの好成績だった。
「ま、才能はあったな」
「……贔屓目で言う訳じゃありませんが、素材としては本当に頭一つ抜けてました。連戦の疲れか決勝では確かに後れを取りましたけど。相手も中々の強者でしたし。女だからといって」
音無響は石堂の剣術に惹かれ、非常に熱心に、受けられる稽古は全て受けた。
石堂玄一の高弟からもその評価は相当高い。
態度にも実力にも文句のつけようがないと、弟子の方はそう言いたげな表情だった。
「お前は人を見る目がない」
「えぇ!?」
「ありゃ政の剣だ。準決と決勝ではっきり見て取れただろうが」
「……と言われましても」
「つまらねえんだよ。ああいう醒めた態度で剣を振る奴はな。特に決勝だ。あそこで全力で食らいつくようなタマなら男だろうが女だろうが俺から声を掛けてる」
(あの娘、世渡りは相当上手いみたいだな。息吹の爺さんと同じクチかねえ。あーやだやだ。あの時……相手が今の自分よりも頭半分くらい格上だとわかって尚しっかり打ち合ったとこまでは良かったんだがな。それがもう数か月もあれば埋まる差だと見切った瞬間、あいつは興味を失くしたみたいにわざと負けやがった。目立ち過ぎるのが嫌だったのか、部内で何かあったのか。どちらにせよあの醒めた態度は、一時の剣の勝敗に全く固執してねえ。才能はともかく、剣士としてつまらん)
「そんな……醒めていようがいまいがあの才能は本物ですって」
「わかったよ! んじゃ一回中津原行ってその音……音ちゃんに稽古つければいいな?」
これは玄一の好き嫌いとも言える。
響は、いうなれば剣を学びながら有事には懐に銃も持つタイプだ。
防弾にも気を配るだろうし、そもそも自ら武器を振るう機会を回避するだろう。
あくまでも手段の一つとして剣術を磨いているに過ぎない。
だからその勝敗にも固執しない。
実際響が去年の決勝で負けた際、相手選手は雄叫びを挙げて勝利を喜んだが、響は申し訳なさそうに微笑んで仲間に謝っていただけ。
悔しさなど微塵も見せず、二位が確定した時の涙も玄一の目からは周囲に合わせただけ、作り物のそれとしか見えなかった。
「先生……。私からしたらあの真って子の方が意味わかりませんけどね。あの子、剣道すらやってないじゃないですか」
何故か師が気に掛ける少年について私見を口にする弟子。
確かに剣の才でいえば、音無響とは比べ物にならないポンコツぶり。無理もない。
「あいつの面白さがわからんか? んー、そうだろうな。さて、中津原に行くなら挨拶はさっさと終わらせるとするか」
「……お願いします。息吹さんと他にも何人か、待合室Bでご歓談されながら待っておられます」
「息吹要、か。あの妖怪爺さんも中津原だったなあ。何気にあそこ魔窟だな」
「剣道会に多大な貢献をして下さっているスポンサーですから! 石堂先生はもう、本当にあんな好々爺を体現したような方にまで噛みついて、言わせて頂きますがひねくれすぎです!」
「……確かに、お前は良い奴だよ」
「??」
「丁度良い機会かもな。どうだ? ジジ、いや要翁には俺からも話をしてやるから、そろそろ道場でも開くか? 今のご時世、剣道教室がメインになるのはご愛敬だけどな」
「!? 本当ですか!?」
彼は石堂の弟子としての生活に不満は無い。
しかし修行を重ねていく内に、自分の剣士としての人生の行く先を考える事があるのもまた事実。
先輩の中には傭兵をやっている者もいれば、兵士に接近戦の技術を教える講師をやっている者もいる。
どちらもほぼ海外に出ての仕事だ。
一方国内では、やはり故郷や都市部で道場を構えるというのが一番多い。
土地柄に応じて剣道と剣術のバランスは変わるものの、三十を少し過ぎた彼は街の剣道場の主という位置に落ち着きたいと最近よく思う様になった。
師の様に戦場を渡り歩くような日常は自分には向かないと。
石堂は弟子に剣との向き合い方を強制しない。
剣と自分、自分と他者との位置づけは弟子個人の判断に任せていた。
助言を求められれば応じもするが、例えばこの青年の場合でいえば、石堂の方から戦場の興奮や人を斬り捨てて死線を超えていく悦びを説いたりはしない。
(剣の腕だけでいやあ、こいつは俺の歴代弟子でも上位五人に入る天才だが……人を斬るよりゃ圧倒的に次代の剣士を育てる方が向いてるわな。あの息吹のジジイを好々爺と呼ぶようじゃ騙し騙されの世界にゃ向かん)
「近々海外で仕事がある。付き合わせて流れ弾でも当たったら親御さんに申し訳ねえしな。お前なら石堂の名前も十分背負える。しかも丁度いい事にここから中津原に行くと途中で大阪を通る」
「大阪? ええ」
確かに途中大阪を通る。
鉄道を使う予定の旅路だった。
「実は大阪で道場やって欲しいって話がある。しかもかなりの好条件だ」
「……」
「ただこっちは急ぎでもない。お前は確か……新潟だったな」
「はい」
「なら今から考えろ。どこで道場やってきたいかをな。じゃ、行くぞ」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ほう、ではついに独り立ちなさる!? これはめでたいですな!」
「は、はい。ありがとうございます! つい先ほど師から突然に言い渡されたのですが……」
「つい先ほど? という事はこのお話はお二人の他ではこの老いぼれが一番に聞かせて頂いたのかな?」
「ええ、そういう事で。でまあ、こいつには大阪か故郷か、それともどこか好きな場所にでも道場を持たせてやって石堂の看板も分けておこうかと俺も思ってる訳で。つきましてはご老公様にも餞別の一つも頂けたらと」
「先生!!」
「はっはっは、相変わらず気持ちの良い直球だ」
一際明るく大きな声が響いた。
衆目の集まる先には石堂玄一とその弟子、そして王竜旗の大口スポンサーでもある息吹要氏がいた。
九州出身でもない息吹要だが、剣道とその発展を大いに応援しており、剣道界に身を置く者ならその名を知らぬ者は殆どいない。
「いやいや、おめでとう。石堂玄一が一番弟子、田中義見! 君ならどこでだって絶対に成功する! そうだ、何なら中津原に来ないかね?」
「あ、私如きの名前などを息吹さんがご存知だなんて……感激です。ただ、道場の場所は、やはり故郷に持ちたいと考えております」
「……うむ、確か田中君は新潟、長岡だったね。とかく政令指定都市の新潟市が目立ったりもするが、なに新潟県はどこも特色に溢れとる。長岡もまた素晴らしい!」
確かに石堂の弟子、田中の故郷は新潟県長岡市だ。
しかしそれほど何度も会った訳でもない彼の事を、息吹要は実に的確に知っていた。
世間話などもまた、長岡の話題になってさえ花が咲く。
田中は息吹要という人物にこれまで以上に惹かれ、たった一言誘われただけだというのに故郷ではなく中津原市に道場を持つのも悪くないかもしれないと思い始めてさえいた。
……実にドツボだ。
(こーのジジイは毎度毎度。あっという間に人をたらしこみやがる。田中はまあ、人斬りって性じゃねえ。この爺さんの琴線に触れちゃいねえから裏の顔を見せられる事もなかろうが。俺の弟子、ってだけでこの爺さんはここまでやりやがるからな。繰り返されちゃ、どうしたって俺も無下にあしらうなんて真似ができなくなる。厄介な御仁だよ、本当に)
目元をわずかに震わせながら石堂は要の心底喜んでいるように見える顔を見る。
この後言い出す事も大体予想がついている。
道場の土地探しは任せろ、とか知人に宣伝しておくよとか大した事ではないように言い放つのだ。
そしてそれは有言実行。
息吹要という老人が経済界と政界を見事に泳ぎ回った結果、彼の代になるまで地方の金持ち程度でしかなかった息吹家は日本でも有数の財力を有するようになり、その影響力は全国区になったのだから。
一方でスポーツだの文化活動だの慈善事業だのに継続的かつ湯水の様にお金をばらまき、謙虚な事を言ってその株を上げている。
(もう80近いトシだろうによく通る声でよく喋る。大体そこら中にばら撒いてるのは、それ以上に儲けてるからだってわからんもんかね。そんな尋常じゃない金額をどうやって稼ぎだしているのが、少しは考えんもんかね?)
関係する業界でうなぎのぼりになっていく息吹の名に呆れる石堂。
清廉潔白な訳がない。
ボンボンの二代目、道楽者。
そんな訳がない。
息吹要は妖怪だ。
昭和期の政治家とも互角以上に渡り合った正真正銘の妖怪爺さんなのだ。
だというのに田中をはじめ、優しく厚遇された多くのお人よしが彼を讃える。
石堂は内心溜息でもつきたい気分だった。
「しかし驚きました。息吹さんは新潟にお詳しいんですね」
「いやなに、聞きかじりです。儂の頃はそう、オヤジと呼ばれた大政治家もおられたし自然と何度か足も運んだもんです、ああ、懐かしい。三国峠の爆破、なんぞ若い人はご存知かな?」
「ええ、もちろん!」
「今となっては笑い話のようなもんですが、実に、面白い方でしたよ。義見君も田中の性だけにもしかしたらご関係など?」
「ありません、ありません! 私はただの田中です」
「あっはっは……」
実に自然に名前呼びに移行し、二人の会話は続く。
石堂は時折相槌を打つ程度だ。
(ブラジルで小山を本当に吹っ飛ばしてガリンペイロをボコボコにしたのはあんただけどな。というか弟子よ、このまま呑まれ続けると話が終わる頃には嫁まで押しつけられるぞ?)
息吹要の過去の行いを一つ思い出した石堂玄一。
これ以上弟子が息吹の妖怪に取り込まれる前に具体的な援助のお願いの話をしてしまおうと彼は決心する。
そしてまさに口を開こうとした時だった。
「義見君、実に楽しい時間だった。ありがとう。こんな爺さんに付き合ってくれて。それでね、これから独り立ちをする男に、それも卓越した剣技を手にそれを成そうとする君にこれは失礼な話かもしれないが」
「え……」
「儂はそれだけ君を気に入ってしまった。そして君の師である玄一君には並々ならぬ恩もある。更には響ちゃんを鍛えてくれたのは主に君だと聞いておる」
「ひび、え、音無?」
「だから……どうだろう。長岡の君の道場、一切儂に任せてもらえんかな。無論、敷地内か併設か君自身の住居についても。あと道場の宣伝をする事も許してもらえると有難い」
「なっ」
思わず声を漏らしたのは石堂だった。
いつもよりも、援助内容が遥かに良い。
田中義見は要が石堂の弟子から子飼いに欲しがっている人斬り包丁の類とはまるで違う。
変質させようとするでもなく、随分と気前の良い話を持ち掛けてきた油断できない相手に石堂の警戒が高まるのも無理はなかった。
田中の方はあまりの内容に言葉を失っている。
お前の新潟での生活は全部面倒を見てやる。
そう言われたに等しいのだから。
ついさっき師と話題に出した音無響の名前が出てきた事への驚きも手伝って、呆然と立ち尽くすだけの案山子となっていた。
「どうした玄一君?」
「いや、あんまり過ぎた餞別だったんで驚いたんですよ。それに音無響の名前が出てくるとも思わなかった」
「いや、至極自然じゃろ?」
「……?」
本気で石堂が理由に辿り着いていない事を察すると要は呆れる。
「結城め、使いの仕事すら満足に出来んか。困ったもんじゃ。音無響ちゃんは息吹家にとって大事な娘さんなんじゃよ。これが初耳という事になろうが」
「初耳ですね、愛人には若すぎるかと思いますが?」
「せ、先生!? 何て事いいますか!?」
弟子の狼狽を、二人のどちらもさして気にしない。
「まあまあ義見君。確かに愛人としては若過ぎじゃ。後二年ってとこかの~」
それでもゆうに半世紀の年の差はある。
「!?!?」
「というのは冗談で。あの娘は孫の正宗の許嫁でな」
「は? いいなずけ?」
「おう。んん、海外が長いと由緒ある日本語も忘れるか? 西洋風ならフィ、ア、ン、セ」
80を目前にした老人にしては実に茶目っ気がある。
「意味はわかるわ、疑問そこじゃねえし。今時許嫁とか、爺さんマジか?」
「本気と書いてマジよ。昔からゆうじゃろ? 年上の女房は……なんとやら」
ふと要老人は妻たちを思い浮かべ、あまり自分に当てはまらなかった事から明言するのを避けた。
「……後で、話がある。良いかい?」
「無論良いとも。玄一君との語らいなら儂はどこへでも駆け付けるぞ。冥土の土産が増えるわい」
「あの、先生。私は」
「息吹家の未来の嫁に剣を教えたんだ。その位役得だろ、もらっとけ」
「うむ、響ちゃんなら正宗を上手に乗りこなしてくれると儂は期待しとる!」
可能性はともかく。
その未来が実現する事は結局なかった。
この後に起こる音無響と深澄真の失踪。
息吹要の思惑は大きくずれていく事となり、また婚約解消の話を聞いた正宗が思わずラッキーと叫びそうになり、いや不謹慎にも半ばまで叫び何年かぶりに祖父から鉄拳をもらい。
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