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 私が幸せになる計画を立ててから一年。
 
 私は十五歳になっていた。
 国のほぼ全ては手中に収めた。
 今の執務室で国の政務を行っている……のは魅了した駒。
 私はそれを見ながら優雅に紅茶を飲んでいる。
 
 あの女も計画通りに貶めた。
 
 今日、実家を追放させる予定になっている。
 
 実家だけではない……この国をも追放される手はずになっている。

「ねぇ、あの双子を呼んできてくれるかしら?」

 私はそばに控えていた騎士に声をかける。

「…………はっ!」

 きっちりと礼をして部屋を出ていく騎士。
 
「……フフ」

 あの女の元婚約者だ。
 今では魅了で私の虜。私の言うことには絶対服従だ。
 そんな人間がこの国には大量にいる。
 城内に至っては全て私の言いなりだ。

「ウフフ……フヒヒ……最高の気分ね」

 紅茶を飲みながら優雅に笑う私は本当に絵になると思う。
 そうしていると騎士が双子を連れてきた。 

「「なにか御用でしょうか」」

 双子の声が重なる。
 双子だけあってこんな話し方をすることが多い。別に狙ってやっているわけじゃないらしいけど。
 双子の体勢は……前世でいう土下座。
 私の前ではそうするように教育した。

「用がなければ呼ばないわ」

 座ったまま右側の姉の方の頭を踏みつけた。

「も、申し訳ありません」

 頭を踏まれたまま謝罪してきた。

「ふん……まあ、いいわ」

 そう言って足を降ろした。

 この双子も学園に通っていた同級生だ。
 伯爵家の娘で生意気にも『双星の美姫』とか呼ばれていた。
 ムカついたから奴隷にしてあげた。
 
 ムカつくけどなかなかに優秀らしく、そこそこ使える奴隷だ。

「アナタ達三人で実家を追放されたあの女を殺しなさい」
 
 私はそう命令を下した。

「…………あの女、とは?」

 騎士が私に質問する。

「分かったことを訊かないで。公爵家のあの女よ。お前の『元』婚約者でもあるわね」

 確認のために一応応えてあげる。

「追放されてこの国にいられなくなったアイツは隣国への境界である『死の森』へ向かうはずよ」

 追放された段階で、アイツには国家反逆の罪がかかるようにしてある。
 そのまま国に留まれば死ぬしかない。
 なら死を覚悟で『死の森』に向かうはず。
 そこしか逃げ道はないのだから。

「アナタ達で死の森に入ったあの女を殺してきなさい」
 
 話は終わり、と私は立ち上がり右手を扉の方向に突き出した。

「「「はっ!!」」」

 そう答え、三人は死の森へ向かっていった。

    

 
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