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プロローグ
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俗にいう、アラサーの干物女。
それは正に私の事だ。
恋愛なんてしたことがないし、したいとも思わない。昔は少しは思っていたし、職場の同僚に誘われて婚活パーティーとかにも参加した。
どいつもこいつも見た目がちょっと良いだけの性格クソな女に簡単に騙される馬鹿ばかりで本当に呆れる。
あんな男ならこっちから願い下げだ。
時間ごとに相手を切り替えて話していくタイプのパーティーで、私の番になるとあからさまにやる気なく適当に返事するような奴とか……死ねばいい。
私が悪いわけじゃない。
私の魅力に気づかない馬鹿男が悪いんだ。
というか そもそも人生で私にふさわしい男なんて出会った事がない。
同僚に連れまわされた婚活で出会った男なんて、身長が百六十ぐらいしかないとか、年収三百万しかない底辺とか、一回り以上歳の離れたおっさんとか、どう見てもオタクで気持ち悪い見た目になんの気も使っていない年齢=彼女いない歴の奴とか……そんなろくでもないのばかりが私のところに来る。
同僚もいけ好かない。
顔だけしか取り柄のなさそうな奴や、お金しか誇れるようなものがないような奴に猫なで声で媚びを売る。
どちらも気持ち悪い。
そんなことが何度かあって……それ以来誘われても行っていない。
そもそも仲良くもないのに誘ってくるあの同僚に腹が立つ。
私がいれば自分が可愛く見えるとでも思っているのか。
私の事を見下しているのなんて最初から気づいてた。
そんな事がストレスになって……私はそのストレスの解消を暴食に走った。
そのせいで、婚活の時に着るために買った服やドレスは全部着られなくなった。
つまり…………太った。
それもガッツリと。
もうそんな事どうでもいい。
色々なことが嫌になった私は職場に休職を願い出た。
――それから一年が経った。
○ ○ ○
休職前に貯めた貯金はもう少ない。
スマホの中に理想の男子がいて、その子と仲良くなるには課金が必要だったのだからしかたがない。
一日家にいると動画配信サービスでアニメぐらいしか見るものがなくなる。
元々休みの日はそういう趣味だったし苦痛はなかった。
この一年でBLにもどっぷりハマってしまった。
画面や紙面のなかには理想の男がいるのだ。
そこにしか私にふさわしいような男がいないってことなわけ。
他にやることといえば……SNSで私可愛いでしょアピールしてる馬鹿な女どもに低評価をつけまくること。
際どい自撮りで男たちを釣るような性を売り物にしてる馬鹿女のせいで世の中の女の価値が下がってるんじゃないかと本気で思う。
そんな馬鹿とそれに群がる男たちは本当に気持ち悪い。
消えればいいのに。
と、怒りでまたお腹が空いてきた。
冷蔵庫にも食べ物が置いてある棚にも簡単に食べられるようなものはもうなかった。
だから近くのコンビニに買いに行くことにした。
いつも着ているジャージのまま外に出る事にも抵抗はなくなった。
顔を隠すようにマスクをしてキャップ(男性声優グッズ)を被ってクロックスを履いて外に出た。
コンビニまでは歩いて五分。
買い物をすませ、家へと帰る途中で…………私の意識はなくなった。
――――そして気がつけば私は異世界で聖女と呼ばれる絶世の美少女の王女様になっていた。
それは正に私の事だ。
恋愛なんてしたことがないし、したいとも思わない。昔は少しは思っていたし、職場の同僚に誘われて婚活パーティーとかにも参加した。
どいつもこいつも見た目がちょっと良いだけの性格クソな女に簡単に騙される馬鹿ばかりで本当に呆れる。
あんな男ならこっちから願い下げだ。
時間ごとに相手を切り替えて話していくタイプのパーティーで、私の番になるとあからさまにやる気なく適当に返事するような奴とか……死ねばいい。
私が悪いわけじゃない。
私の魅力に気づかない馬鹿男が悪いんだ。
というか そもそも人生で私にふさわしい男なんて出会った事がない。
同僚に連れまわされた婚活で出会った男なんて、身長が百六十ぐらいしかないとか、年収三百万しかない底辺とか、一回り以上歳の離れたおっさんとか、どう見てもオタクで気持ち悪い見た目になんの気も使っていない年齢=彼女いない歴の奴とか……そんなろくでもないのばかりが私のところに来る。
同僚もいけ好かない。
顔だけしか取り柄のなさそうな奴や、お金しか誇れるようなものがないような奴に猫なで声で媚びを売る。
どちらも気持ち悪い。
そんなことが何度かあって……それ以来誘われても行っていない。
そもそも仲良くもないのに誘ってくるあの同僚に腹が立つ。
私がいれば自分が可愛く見えるとでも思っているのか。
私の事を見下しているのなんて最初から気づいてた。
そんな事がストレスになって……私はそのストレスの解消を暴食に走った。
そのせいで、婚活の時に着るために買った服やドレスは全部着られなくなった。
つまり…………太った。
それもガッツリと。
もうそんな事どうでもいい。
色々なことが嫌になった私は職場に休職を願い出た。
――それから一年が経った。
○ ○ ○
休職前に貯めた貯金はもう少ない。
スマホの中に理想の男子がいて、その子と仲良くなるには課金が必要だったのだからしかたがない。
一日家にいると動画配信サービスでアニメぐらいしか見るものがなくなる。
元々休みの日はそういう趣味だったし苦痛はなかった。
この一年でBLにもどっぷりハマってしまった。
画面や紙面のなかには理想の男がいるのだ。
そこにしか私にふさわしいような男がいないってことなわけ。
他にやることといえば……SNSで私可愛いでしょアピールしてる馬鹿な女どもに低評価をつけまくること。
際どい自撮りで男たちを釣るような性を売り物にしてる馬鹿女のせいで世の中の女の価値が下がってるんじゃないかと本気で思う。
そんな馬鹿とそれに群がる男たちは本当に気持ち悪い。
消えればいいのに。
と、怒りでまたお腹が空いてきた。
冷蔵庫にも食べ物が置いてある棚にも簡単に食べられるようなものはもうなかった。
だから近くのコンビニに買いに行くことにした。
いつも着ているジャージのまま外に出る事にも抵抗はなくなった。
顔を隠すようにマスクをしてキャップ(男性声優グッズ)を被ってクロックスを履いて外に出た。
コンビニまでは歩いて五分。
買い物をすませ、家へと帰る途中で…………私の意識はなくなった。
――――そして気がつけば私は異世界で聖女と呼ばれる絶世の美少女の王女様になっていた。
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