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物語の終わり、創造の始まり
アリシアとの対峙
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「もう少し右!うん、あってる!」
ナタリーに指示を出しながら、ガレンが使う土魔法で前方の枝を避けつつ、モンスターの森を直進する。
幸い実紗希たちの場所は動いていない。
「見えた!」
少し開けた森の出口で、ほんの一瞬、実紗希と目が合ったように感じた。
その手にはラディアント・エテルナと呼んでいた杖が握られている。
「実紗希!!」
ナタリーのグレイシャルスライドから着地して3人と対峙する。
アリシアの横には、そうしているのが当然のようにマリウスとセシルが立っていた。
「ここに来れたってことはセオドアは失敗したんだね。ま、復活なんてどのみちできないんだけどさ」
「実紗希!!なんでセオドア先生にあんなことしたの!?」
「うーん……?暇つぶし?」
「ひま……、暇つぶしで人を傷つけるなんて!」
実紗希が、はぁとため息をつく。
「あのさぁ……柚季は何か勘違いしてるよ?」
「何が!?」
「人?誰が?人なんかどこにいるの?」
「え……?」
実紗希が、杖を地面に刺して両手を広げた。
「この世界には人なんかいない。いるのは登場人物として創られたキャラクターだけだ」
実紗希が両手を上げて楽しそうに笑いながら言葉を続ける。
「この世界に人なんかいないよ。この世界のヒロインである俺を楽しませるためだけに作られたキャラクターだけだ」
アリシアの顔で、アリシアの声で、アリシアの姿で。実紗希がそう言った。
「人を傷つける?笑わせるなよ、俺がお願いすればみんな喜んでしてくれる。そういう風に創られてるからな!」
「実紗希……どうしちゃったの……?」
「どうもしないさ!この世界は俺が俺のために楽しむゲームの世界だ!だから!何をしてもいいんだ」
両手を広げ、空を仰いで狂ったように笑う実紗希。その目はどこか虚ろで焦点が合っていないように見える。
「ま、柚季のおかげで少し楽しかった。全然思い通りにならなくて、ちょっとイラつくこともあったけど」
「実紗希……」
「……ま、それもこれで終わりだけど」
実紗希が魔力を高めると、ラディアント・エテルナから眩い光が放たれ始めた。そのまま魔力が膨れ上がり、そして弾けた。
「ん、あとは勝手に暴走するんじゃないかな」
セレスティアル・アカデミーのほうを見てそう呟いた。改めて魔力探知をするまでもなく背中で感じる魔力が一層大きくなったのを感じる。
「で?柚季たちは何しに来たの?」
「決まってるでしょ!あんたのバカな計画を止めに来たのよ!」
「バカって言うなよ。別にシナリオ通りに進んでるだけだ。ゲームのヒロインである俺がマリウスと卒業式を迎えてハッピーエンドだろ?」
マリウスに対して、実紗希が慈しむような視線を向ける。
「……そんな【陽光の薔薇】なんて使っちゃって。自分の魅力じゃナタリーに勝てないって思ったの?」
ため息交じりに実紗希に話しかける。
一瞬空気が凍った。
「……俺が?そこのただのモブキャラに?」
ナタリーのほうを見て、実紗希が眉間にしわを寄せた。
「はっはっはっ!そんなわけないだろ?第一知らないのか?お前、この世界のただのキャラクターに過ぎないんだぜ?」
「――――知ってますよ?」
「は?」
実紗希が驚いたような顔でナタリーを見つめた。
「知ってますよ。この世界がどういったところなのか、そして、私がどういった位置づけの人物なのか。全部知ってます」
ナタリーがふわりと笑う。
「それでも私は私です。そして、レヴィアナさんの友達です」
ナタリーが私の手を取る。私もその手を握り返す。
「友達……?……また、柚季ばっかり……」
うつむいて実紗希はつぶやいた。
「ガレンも知って、知ったうえで柚季と一緒にいるって言うの?」
「あぁ、知ってる」
ガレンがうなずいて私と視線を交わしてにやりと笑った。
また森の中に沈黙が流れる。3人と3人が見合ったまま動かない。こんな状況でもなければ仲良し6人でモンスターの森散策をしているようにも見えるし、そうしたいとも思う。
沈黙を破ったのは実紗希だった。
「そっか。じゃ、最後にもう少し楽しませてもらおうかな?」
ぽそっとそう呟くと、私たちに背中を向け、マリウスとセシルの方を向く。
「ねぇ、マリウス、セシル。私、レヴィアナたちにいじめられてるの。怖いから……助けて……」
「当たり前だ。レヴィアナ、ガレン、ナタリー、何のつもりか知らんがアリシア様にそんなことをするのはやめろ」
マリウスが実紗希の言葉を受けてこちらに声を上げる。セシルも声こそは上げなかったが、明らかに魔力が高まり臨戦態勢に入ったことがわかる。
「あはは」
そんな様子を見て思わず笑ってしまう。
「ねぇ、あんな事言われてるわよ、ナタリー」
「困りましたね」
ナタリーも、私もお互いに笑いあった。
「マリウスと戦える?」
「はい、もう大丈夫です。マリウスさんに助けてもらいましたし、前にマリウスさんにもそう頼まれましたから」
「そっか。でも、あの【陽光の薔薇】を取り外して、それでも私よりアリシアさんを選んだらどうするの?」
「えっと……そうですね。その時はあと10回くらい告白して、それでもダメなら無理やりにでも奪ってみせます」
ナタリーが冗談交じりに言う。でも、その目は本気だった。今後のマリウスの事を思うと少し苦笑してしまう。
「わがままねぇ」
「はい。したいことがあるっていいですね」
少しだけきょとんとして、でもすぐにナタリーも満面の笑みで答えてくれた。
「じゃ、俺はセシル担当だな」
「お願いできる?」
「もちろん。俺、セシルのあの自由気ままで自己中心的なところあこがれてたんだよ。誰かに守ってなんて言われて素直に従ってるあいつは見たくねぇ」
ガレンが、ばきばきっと指の骨を鳴らす。
「ん、ありがと。じゃ、お願い」
「あぁ、任された!」
ガレンが威勢よく返事をする。
「と、言うわけよ。かかってきなさい!実紗希!」
「何がかかってきなさい、よ!ふざけんな!マリウス!セシル!あいつらから私を守って!!」
そうして最後の親友とのイベントが幕を開けた。
ナタリーに指示を出しながら、ガレンが使う土魔法で前方の枝を避けつつ、モンスターの森を直進する。
幸い実紗希たちの場所は動いていない。
「見えた!」
少し開けた森の出口で、ほんの一瞬、実紗希と目が合ったように感じた。
その手にはラディアント・エテルナと呼んでいた杖が握られている。
「実紗希!!」
ナタリーのグレイシャルスライドから着地して3人と対峙する。
アリシアの横には、そうしているのが当然のようにマリウスとセシルが立っていた。
「ここに来れたってことはセオドアは失敗したんだね。ま、復活なんてどのみちできないんだけどさ」
「実紗希!!なんでセオドア先生にあんなことしたの!?」
「うーん……?暇つぶし?」
「ひま……、暇つぶしで人を傷つけるなんて!」
実紗希が、はぁとため息をつく。
「あのさぁ……柚季は何か勘違いしてるよ?」
「何が!?」
「人?誰が?人なんかどこにいるの?」
「え……?」
実紗希が、杖を地面に刺して両手を広げた。
「この世界には人なんかいない。いるのは登場人物として創られたキャラクターだけだ」
実紗希が両手を上げて楽しそうに笑いながら言葉を続ける。
「この世界に人なんかいないよ。この世界のヒロインである俺を楽しませるためだけに作られたキャラクターだけだ」
アリシアの顔で、アリシアの声で、アリシアの姿で。実紗希がそう言った。
「人を傷つける?笑わせるなよ、俺がお願いすればみんな喜んでしてくれる。そういう風に創られてるからな!」
「実紗希……どうしちゃったの……?」
「どうもしないさ!この世界は俺が俺のために楽しむゲームの世界だ!だから!何をしてもいいんだ」
両手を広げ、空を仰いで狂ったように笑う実紗希。その目はどこか虚ろで焦点が合っていないように見える。
「ま、柚季のおかげで少し楽しかった。全然思い通りにならなくて、ちょっとイラつくこともあったけど」
「実紗希……」
「……ま、それもこれで終わりだけど」
実紗希が魔力を高めると、ラディアント・エテルナから眩い光が放たれ始めた。そのまま魔力が膨れ上がり、そして弾けた。
「ん、あとは勝手に暴走するんじゃないかな」
セレスティアル・アカデミーのほうを見てそう呟いた。改めて魔力探知をするまでもなく背中で感じる魔力が一層大きくなったのを感じる。
「で?柚季たちは何しに来たの?」
「決まってるでしょ!あんたのバカな計画を止めに来たのよ!」
「バカって言うなよ。別にシナリオ通りに進んでるだけだ。ゲームのヒロインである俺がマリウスと卒業式を迎えてハッピーエンドだろ?」
マリウスに対して、実紗希が慈しむような視線を向ける。
「……そんな【陽光の薔薇】なんて使っちゃって。自分の魅力じゃナタリーに勝てないって思ったの?」
ため息交じりに実紗希に話しかける。
一瞬空気が凍った。
「……俺が?そこのただのモブキャラに?」
ナタリーのほうを見て、実紗希が眉間にしわを寄せた。
「はっはっはっ!そんなわけないだろ?第一知らないのか?お前、この世界のただのキャラクターに過ぎないんだぜ?」
「――――知ってますよ?」
「は?」
実紗希が驚いたような顔でナタリーを見つめた。
「知ってますよ。この世界がどういったところなのか、そして、私がどういった位置づけの人物なのか。全部知ってます」
ナタリーがふわりと笑う。
「それでも私は私です。そして、レヴィアナさんの友達です」
ナタリーが私の手を取る。私もその手を握り返す。
「友達……?……また、柚季ばっかり……」
うつむいて実紗希はつぶやいた。
「ガレンも知って、知ったうえで柚季と一緒にいるって言うの?」
「あぁ、知ってる」
ガレンがうなずいて私と視線を交わしてにやりと笑った。
また森の中に沈黙が流れる。3人と3人が見合ったまま動かない。こんな状況でもなければ仲良し6人でモンスターの森散策をしているようにも見えるし、そうしたいとも思う。
沈黙を破ったのは実紗希だった。
「そっか。じゃ、最後にもう少し楽しませてもらおうかな?」
ぽそっとそう呟くと、私たちに背中を向け、マリウスとセシルの方を向く。
「ねぇ、マリウス、セシル。私、レヴィアナたちにいじめられてるの。怖いから……助けて……」
「当たり前だ。レヴィアナ、ガレン、ナタリー、何のつもりか知らんがアリシア様にそんなことをするのはやめろ」
マリウスが実紗希の言葉を受けてこちらに声を上げる。セシルも声こそは上げなかったが、明らかに魔力が高まり臨戦態勢に入ったことがわかる。
「あはは」
そんな様子を見て思わず笑ってしまう。
「ねぇ、あんな事言われてるわよ、ナタリー」
「困りましたね」
ナタリーも、私もお互いに笑いあった。
「マリウスと戦える?」
「はい、もう大丈夫です。マリウスさんに助けてもらいましたし、前にマリウスさんにもそう頼まれましたから」
「そっか。でも、あの【陽光の薔薇】を取り外して、それでも私よりアリシアさんを選んだらどうするの?」
「えっと……そうですね。その時はあと10回くらい告白して、それでもダメなら無理やりにでも奪ってみせます」
ナタリーが冗談交じりに言う。でも、その目は本気だった。今後のマリウスの事を思うと少し苦笑してしまう。
「わがままねぇ」
「はい。したいことがあるっていいですね」
少しだけきょとんとして、でもすぐにナタリーも満面の笑みで答えてくれた。
「じゃ、俺はセシル担当だな」
「お願いできる?」
「もちろん。俺、セシルのあの自由気ままで自己中心的なところあこがれてたんだよ。誰かに守ってなんて言われて素直に従ってるあいつは見たくねぇ」
ガレンが、ばきばきっと指の骨を鳴らす。
「ん、ありがと。じゃ、お願い」
「あぁ、任された!」
ガレンが威勢よく返事をする。
「と、言うわけよ。かかってきなさい!実紗希!」
「何がかかってきなさい、よ!ふざけんな!マリウス!セシル!あいつらから私を守って!!」
そうして最後の親友とのイベントが幕を開けた。
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