上 下
63 / 143
反乱

仲間からの逃走

しおりを挟む
「はあっ……はあっ……。ここならだれにも見つからないでしょう……」
「ここは……?学校にこんな場所あったんだな」

旧魔法訓練場の踊り場に2人を連れて逃げ込んだ。ミーナが大好きで、よく誘われていつもの三人で来ていた場所。

「で?お二方もナタリーに連れられてあそこへ?」
「あぁ……。昼になる前にナタリーが部屋に来てな。いきなり来てくださいと言われて……」
「それで、二人はナタリーにはなんて回答したんですの?」

イグニスもガレンも言い淀んでいる。当然と言えば当然だ。
2人には私の家に行った記憶も、屋敷が壊れていた記憶も、フローラが怪我を誰かにさせられたという記憶ある。そしてもしかしたら本当に自分が尊敬してやまないアルドリックを襲撃したのかもしれない……そういうことになっている。

「俺様が…俺様がそんなことをするわけがないんだが……でも……?」
「俺もそうだ。自分がしたとは思えない。こうならないように、こうならないようにしていたはずなのに……どうして……?」

特にガレンの狼狽ぶりは半端なかった。自分の両手をまるでこの世のものではないかのように見ている。

「じゃあ、信じましょう。わたくしも自分が自分のお父様を襲撃したとは思えませんわ!もちろんあなたたち二人もそんなことするわけがないですわ!」

私はそんなことをしていないという確信を元に努めて明るく2人にそういった。その一言で2人は少しだけ落ち着きを取り戻したように見えた。

「そう……だよな?俺様は絶対にアルドリックおじさんにそんな事」
「そうだよな……。レヴィアナもしてないよな?」

ガレンの問いに自信をもって首肯する。
それでもまだ2人の表情は未だに半信半疑と言ったところだろうか。

「つっても…どうするんだ…?ナタリーが先生から聞いた話だと星辰警団も出てくる大事になるかもしれないって言ってたぜ?」

(まぁ……本当に私たちがお父様を攻撃していたら……当然よね)

単純に高い戦闘力を持ったものの侵略行為、これは結構まずそうだ。
親に対しての反逆行為、きっとどの世界でもよいこととはされないだろう。
貴族同士での領土争い、これが問題としては一番ありそうだ。
傍から見たらイグニスのアルバスター家とガレンのアイアンクレスト家がヴォルトハイム家の領土の侵略戦争を仕掛けたともなりかねない。
もし本当に私たちがお父様を襲っていたのなら星辰警団が出てくる可能性なんて山ほどある。

今私が星辰警団につかまるとどうなるかはわからないけど、間違いなく良いことは起きないだろう。
なんとしても避けないといけない。

「もう一度確認しますわ。イグニス……あなた本当にお父様を襲撃したと思いますの?周りがどう言っているかではなくあなた自身がですわ」
「思わねぇ」
「ガレンはどうですの?」
「するわけないだろ」
「じゃあ決まりですわね。逃げましょう」

うつむいていた2人の視線が集まる。今日、初めてちゃんと目を合わせた気がする。

「星辰警団につかまってしまったら弁解の機会も得られないかもしれませんわ。だから一旦逃げましょう」
「逃げ……って、逃げてどうするんだ……?そもそもどこに逃げるんだよ……?」
「そうですわね。まずはお父様のところに行きましょう」
「はぁ?」

私の提案にガレンが驚く。それもそうだ。いきなり襲撃した渦中の相手のところに行きますだなんて普通なら言わないだろう。

「さっきのナタリーの話からするとお父様は味方の様ですし、お父様と話してそれからどうするかを考えましょう」
「もし、もしアルドリックおじさんに糾弾されたらどうするんだよ」
「ま、その時はおとなしく捕まればいいじゃないですか」

イグニスの不安げな言葉に私は平然とそう返した。
お父様に問い詰められたら、なんて今考えてもしょうがない。
だって今回のこの一連の出来事はきっと私一人ではどうしようもないのだから。

私の力には限界がある。昨日の戦闘も途中まで予想通りだったのに結局防御魔法1つ使っただけでダウンしてしまった。
変に玄人ぶって、知識人ぶって、経験者ぶった結果がアレだ。

もう一人であがくのは辞めた。素直に一番頼りになる人を頼ろう。
そしてあわよくば、私たちの無実を証明してもらいたい。三賢者のお父様にナタリーもほかのみんなも納得してくれるようなそんなストーリーを用意してもらおうじゃないか。

「あぁ……そうだな……。とりあえず……ここでじっとしてても何も好転しそうにないしな!」

イグニスはそういって立ち上がった。

「ガレン……あなたはどうしますの?ここでおとなしくしていたほうが刑は優しく済むかもしれませんわ」
「俺は……」

ガレンは自分の手に目線をやった。そしてゆっくりと手を顔の前に持ち上げて自分の拳を凝視する。

「俺は……この状況を改善できるなら……なんだってするさ……。そのために強くなったんだから」

ガレンも立ち上がる。その表情からは動揺とか、先ほどまでの怯えは感じられなかった。まるで憑き物が落ちたかのような表情だった。

ひとまずこれで私たち三人の当面の目標が決まった。お父様にこの騒動について話して、もしそれが冤罪だったなら私たちは無罪を証明してもらって堂々と学校に戻ってこよう。

「そうと決まれば急ぎましょう!」
「―――ちょっと待ってください!」

誰も来ないはずの旧魔法訓練場に声が響いた。
慌てて振り向くと、そこにはナタリーの姿があった。
ナタリーは全力で走ってきたのか、肩で息をして苦しそうだった。それでもしっかりした足取りで私たちに近づいてくる。

「やっぱりこでしたか……。レヴィアナさんが隠れるとしたら絶対にここだと思いました」
「ナタリー……」
「ねぇ……レヴィアナさん……?なんで逃げたんですか?本当にアルドリック公を……?夏休みあんなにやさしくしてくれたお父さんを?それにイグニスさんやガレンさんも……」

ナタリーは息をつきながら私を見、そしてイグニスとガレンを見た。

「悪いことしたなら……ちゃんと償わないと……ダメです。このままだとどんどん立場が悪くなってしまいます……。私……私友達が星辰警団につかまるなんて絶対に嫌です!!」


ナタリーの目には涙が浮かんでいた。その涙は恐怖や悲しみではなく、私たちを心配しているものだとわかった。

「で、マリウス。お前も俺様たちのことを捕まえに来たってわけか?」
「気配は消してたはずなんだけどな。よく気付いたな」
「まぁなんとなくな」

イグニスが声をかけると入り口からマリウスが姿を現した。

「レヴィアナさん……まだ間に合います。だから、だから早く先生のところに行きましょう?先生たちもレヴィアナさんたちの事探してます。きっと謝ったら許してくれます!逃げたなんて知られたら、きっともっと罪が重くなっちゃいます……だから……」

ナタリーが必死に引き留めようとする。友達としてはこの切実な訴えを受け入れたかった。

「ごめんなさい……ナタリー。少しの間、わたくしたちを放っておいてくださらないかしら?」

だが私は止まるつもりはなかった。
このまま先生のところに行けば、問答無用できっと私たちが犯人になってしまうだろう。
それにもしそんな疑いをかけられて一度でも捕まってしまったら、イグニスのアルバスター家や、ガレンのアイアンクレスト家にも影響が出てしまう。
最悪の事態としては、この見かけ上貴族同士の争いをきっかけに本当に平民が反乱を始めてしまうかもしれない。
だからせめて捕まるにしてもお父様に相談してから……。

「わかんない…!わかんない、わかんない!!全部わからないです!!」

そう説明しようと口を動かす前に、ナタリーが叫んだ。

「最近ずっと、ずっとわからないことばっかり!!!!3人で行く前に、どうして、どうして私にも相談してくれなかったんですか!?」

ナタリーは悲痛な声で叫ぶ。普段の大人しい彼女からは想像もできないような悲しい叫び声だった。

「このリボンもそうです!!!なんで私がこんなリボンを持ってるのかも分かんないんです!!でも捨てられもしないんです!!」

ナタリーが握りしめたリボンをこちらに突き出す。強く握りしめすぎた手は小刻みに震えていた。

「この場所も!!絶対ここだと思いました!!レヴィアナさんが隠れるならここだって!!でも!!なんで私がこの場所を知ってるかもわからないんです!!」

地団太を踏みつけながらナタリーは感情を爆発させた。

「このままレヴィアナさんたちを見送ったらもっと変なことが起きるんじゃないかって!!もう二度と会えないんじゃないかって!!不安で……不安で仕方がないんです!!」

ナタリーは自分の肩を抱いて震えだした。

「だからお願い……ここにいて……ください」

少しつついただけでも壊れてしまいそうなナタリーがそこにいた。いつものあの冷静なナタリーはどこにもいなかった。

気丈にふるまっていただけで、生徒会室でアイテムの仕分けをしていたときからずっと不安だったのかもしれない。
でも、それならなおさらここでじっとしているわけにはいかなかった。

「ごめんなさい……ナタリー……」
「――――っ!!!だったら、だったら力ずくで!!私のの氷魔法で拘束して先生のところに連れていきます!!!」

その顔が痛々しくて見ていられなかった。目の下のクマもひどい。私たちが出かけてからのこの3日間、心配でずっと眠れなかったのだろう。

ナタリーの腕が光る。アイシクルランスだ。
少し前までできなかった無詠唱魔法だった。
あれほどこの場所でミーナと三人で練習してた時はできなかったのに、ミーナがいなくなった今、この場所で無詠唱魔法を使ってくるナタリー。

私はそのままナタリーのもとへと歩いていく。

ナタリーのアイシクルランスは私の左腕をかすめて後方へと飛んでいった。

「―――これ以上、これ以上来たら次は直撃させます!!だから…!!だからもう止まってください!!!!」

私が愛したセレスティアル・ラブ・クロニクルにナタリーというキャラクターは出てこない。ゲームの中でもこんな一幕は無い。もしかしたらアリシアの知らないところでこんなイベントがあったのかもしれない。
でもこのゲームはこうじゃないはずだ。こんなただ悲しいだけのナタリーは見ていられない。

何が原因なんだろう……。もしかしたら私のせいなのかもしれない。でもミーナの事なんてとてもじゃないけど言えないし、なんて言ったらいいかも分からない。
誰の仕業なんだろう……。この状況を生み出した人がいるんだろうか。だとしたら誰がナタリーをこんなに追い詰めたんだろう。

次々に飛んでくるアイシクルランスは、制服を、髪を、肌をかすめるだけで、一発も私に当たらずに後方の壁を破壊していく。
ナタリーの目の前まで歩いていき、そのままナタリーを強く抱きしめた。

「ひっく……怖い……私怖いんです……。なんだかよくわからないけど……私……わたし……っ」
「えぇ……わかってますわ。ナタリーが次目を覚ました時には問題は解決してますわ。だから……だから……今は少しおやすみなさい」

バチィとナタリーに抱き着いたまま優しい雷魔法を放った。
そのままナタリーは気を失う。
涙でぐしゃぐしゃに崩れた表情だったけど、それでもいまは少しだけ、本当に少しだけ安らかな表情を浮かべているように見えた。
きつくリボンを握りしめた手からは血がにじんでいた。

「で……?お前はどうするんだ?俺様達と勝負するか?」

イグニスがマリウスに問いかける。その口調には恐怖心も脅すような感じもなく、友人に世間話でもするようにいつも通りだった。

「ふっ……馬鹿を言え。イグニスがアルドリックさんを襲った?そんなことあるはずがないだろうが」

マリウスも当然のように笑った。

「お、なんだ、お前との久しぶりの本気の勝負も楽しみだったんだけどな。じゃあやっぱりただの付き添いかよ」
「まぁあんな必死な表情で頼まれたら仕方ないだろう」

こちらに歩み寄ってきたマリウスに、ナタリーをそのまま預ける。

「マリウス。わたくしたちはこれからアルドリックさんのところに行きますわ。もし何かナタリーが不利になりそうなことがあったらわたくしがナタリーを攻撃して逃げた……とでも伝えておいてくださいし」

先ほどの雷魔法で多少は痕跡も残っているはずだ。言い訳としては十分通じる。

「そんなことをしたら俺がナタリーに怒鳴られてしまう。言い訳はこちらで考えておくから早く行け。本当に星辰警団が来るみたいだしな」

マリウスはナタリーを抱きかかえたまま旧魔法訓練場の入り口を指さす。
「ありがとうございます。恩に着ますわ!」

私たち三人は旧魔法練習場を飛び出しシルフィード広場へと向かった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました

天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。 平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。 家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。 愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

処理中です...