39 / 143
モンスターシーズン
モンスターの反撃
しおりを挟む
(これは……ほかのみんなは大丈夫です!?)
ミーナは焦っていた。
ディスペアリアム・オベリスクから出てきたモンスターは一体一体が本当に強かった。
急いでほかの生徒の安否を確認したいのだが、そのモンスターの群れが多すぎてなかなか前に進めないでいた。
「早くしないとレヴィアナさんたちが……!」
心配する気持ちが焦りを生む。何とかしたいが、セシルさんやナタリーさんの敏捷性、アリシアさんのオリジナル魔法をもってしてもこの数のモンスターを処理し続けることは不可能なように思えてしまう。
「グレイシャルウェーブっ!!!」
時折現れる巨大モンスターは本当に厄介だった。今もミーナがようやく体制を崩し、そこにナタリーさんの巨大魔法を直撃させることで倒すことができた。
こんなモンスターたちの猛攻の中、ディスペアリアム・オベリスクを破壊しにいったあの3人は本当に大丈夫なんだろうか?
今朝目が覚めた時からずっと嫌な予感が止まらなかった。もしかしてこのままレヴィアナさんたちが居なくなってしまうんじゃないか?そんな恐ろしい考えが脳裏にこびりついて離れない。
「はぁ……はぁ……」
焦りも相まって息が切れてくる。体中にモンスターの返り血を浴び、綺麗な緑髪もところどころ赤く染まってしまっている。
(ううん!だめだめっ……!ここでミーナが頑張らないとです!!)
そんな弱気な自分を叱咤し、必死に魔法の詠唱を始める。
「危ない!ストーンバリア!!」
飛んできた火球をガレンさんの防御魔法がはじいてくれた。
「ありがとうございますです!」
「あいつら3人なら大丈夫だって。俺たちは俺たちにできることをしよう!」
ガレンさんが頭にぽんと手を置いて励ましてくれた。
「絶対に、絶対に全員で生き残らないとな」
その言葉はどこか自分に言い聞かせているようにも聞こえた。
大きく深呼吸をして、再び機動力を上げるためにシルフィードダンスの詠唱を開始する。
セシルさんの様には出来ないけれどミーナだって攪乱させることくらいはできる。
大丈夫、マリウスさんもガレンさんもセシルさんもみんな強いんだから。
「はい!わかりましたです!」
何度も言い聞かせてそう返事したものの、ずっと不安は消えなかった。
ミーナ一人じゃ倒せない敵が現れたから?
モンスターが使ってくる攻撃がどんどん強くなってきたから?
―――それともこれほど探しているのに、クラスメイト一人とも合流できていないから……?
「はあっ……はあっ……ふっ!!ぁああっ!」
アリシアさんのブレイズワークスの一振りが、巨大なモンスターを炎と共に真っ二つに両断した勢いのままモンスターの群れを突っ切り、アリシアさんはまた次のモンスターの群れへと突っ込んでいく。
でもどう見ても疲労がすごい。さっきから呼吸もずっと荒い。
あれだけのオリジナル魔法を維持するだけでもどんどんとマナを使っていってしまうのだろう。
それにガレンさんの鉄壁の魔法も移動しながらでは効率が悪い。
先ほどからのストーンバリアの塹壕も使い捨てみたいになってしまっていて、いくら膨大な魔力を持っているとはいえ、このままだとガレンさんのマナも尽きてしまうかもしれない。
(レヴィアナさんも、イグニスさんも、ノーランさんも切り開いていったです。ミーナも……!)
もう一度大きく深呼吸をして、シルフィードダンスを展開する。
「皆さん!ここで拠点を作ってくださいです!ミーナが、ミーナが他のみんなを探して連れてくるです!」
アリシアさんとマリウスさんは何も言わずに頷いてくれた。ガレンさんは心配そうにミーナを見る。
「そしたら僕がいくよ。僕のほうが速い」
「セシルさんはここを守っていてくださいです!ミーナの魔法じゃモンスターを倒すことは出来ないです!」
拠点を守る役目としては役立たずだ。自分自身が一番理解している。
「でも、逃げることならできるです!セシルさんより小柄なミーナの方が得意です!!」
でも、誰かを探してくることなら出来る。それにレヴィアナさんたちがディスペアリアム・オベリスクを壊したとしても残ったモンスターもなんとかしないといけない。そのためにはみんなで集まる拠点が必要だ。
ミーナが分かるようなことだ、そのことはきっとみんなもわかってる。
「わかった!誰も見つからなくても少しでも危なくなったらすぐに逃げてくるんだよ!」
「はい!もちろんです!」
セシルさんの言葉に強く頷いて、ミーナは走り出した。
「まって!私も行く!!」
足元に氷の道ができ、そのうえをナタリーさんが滑って移動してくる。
「へへ、グレイシャルスライド。私もミーナみたい、ってほどじゃないけど機動力系の魔法使えるようになったの」
「あぶないです!ナタリーさんもみんなと一緒に居てくださいです!」
「危ないのはミーナも一緒でしょ?それに私ががいれば足止めもできるから」
そういいながらナタリーは襲ってきたモンスターの足を凍らせて動けなくしている。
「ね?だから2人で行こう」
本音を言うと1人きりでこのモンスター犇めく戦場を駆けるのは心細かった。
「ありがとうございますです!一緒にみんなを探しにいくです!!」
「うん!」
ナタリーさんと一緒に、今度は2人で走り出す。それだけで心が少しだけ軽くなった。
「みなさん、絶対に無事でいてくださいです……!!」
まだ見えないクラスメイトを想ってミーナは呟いた。
ミーナは焦っていた。
ディスペアリアム・オベリスクから出てきたモンスターは一体一体が本当に強かった。
急いでほかの生徒の安否を確認したいのだが、そのモンスターの群れが多すぎてなかなか前に進めないでいた。
「早くしないとレヴィアナさんたちが……!」
心配する気持ちが焦りを生む。何とかしたいが、セシルさんやナタリーさんの敏捷性、アリシアさんのオリジナル魔法をもってしてもこの数のモンスターを処理し続けることは不可能なように思えてしまう。
「グレイシャルウェーブっ!!!」
時折現れる巨大モンスターは本当に厄介だった。今もミーナがようやく体制を崩し、そこにナタリーさんの巨大魔法を直撃させることで倒すことができた。
こんなモンスターたちの猛攻の中、ディスペアリアム・オベリスクを破壊しにいったあの3人は本当に大丈夫なんだろうか?
今朝目が覚めた時からずっと嫌な予感が止まらなかった。もしかしてこのままレヴィアナさんたちが居なくなってしまうんじゃないか?そんな恐ろしい考えが脳裏にこびりついて離れない。
「はぁ……はぁ……」
焦りも相まって息が切れてくる。体中にモンスターの返り血を浴び、綺麗な緑髪もところどころ赤く染まってしまっている。
(ううん!だめだめっ……!ここでミーナが頑張らないとです!!)
そんな弱気な自分を叱咤し、必死に魔法の詠唱を始める。
「危ない!ストーンバリア!!」
飛んできた火球をガレンさんの防御魔法がはじいてくれた。
「ありがとうございますです!」
「あいつら3人なら大丈夫だって。俺たちは俺たちにできることをしよう!」
ガレンさんが頭にぽんと手を置いて励ましてくれた。
「絶対に、絶対に全員で生き残らないとな」
その言葉はどこか自分に言い聞かせているようにも聞こえた。
大きく深呼吸をして、再び機動力を上げるためにシルフィードダンスの詠唱を開始する。
セシルさんの様には出来ないけれどミーナだって攪乱させることくらいはできる。
大丈夫、マリウスさんもガレンさんもセシルさんもみんな強いんだから。
「はい!わかりましたです!」
何度も言い聞かせてそう返事したものの、ずっと不安は消えなかった。
ミーナ一人じゃ倒せない敵が現れたから?
モンスターが使ってくる攻撃がどんどん強くなってきたから?
―――それともこれほど探しているのに、クラスメイト一人とも合流できていないから……?
「はあっ……はあっ……ふっ!!ぁああっ!」
アリシアさんのブレイズワークスの一振りが、巨大なモンスターを炎と共に真っ二つに両断した勢いのままモンスターの群れを突っ切り、アリシアさんはまた次のモンスターの群れへと突っ込んでいく。
でもどう見ても疲労がすごい。さっきから呼吸もずっと荒い。
あれだけのオリジナル魔法を維持するだけでもどんどんとマナを使っていってしまうのだろう。
それにガレンさんの鉄壁の魔法も移動しながらでは効率が悪い。
先ほどからのストーンバリアの塹壕も使い捨てみたいになってしまっていて、いくら膨大な魔力を持っているとはいえ、このままだとガレンさんのマナも尽きてしまうかもしれない。
(レヴィアナさんも、イグニスさんも、ノーランさんも切り開いていったです。ミーナも……!)
もう一度大きく深呼吸をして、シルフィードダンスを展開する。
「皆さん!ここで拠点を作ってくださいです!ミーナが、ミーナが他のみんなを探して連れてくるです!」
アリシアさんとマリウスさんは何も言わずに頷いてくれた。ガレンさんは心配そうにミーナを見る。
「そしたら僕がいくよ。僕のほうが速い」
「セシルさんはここを守っていてくださいです!ミーナの魔法じゃモンスターを倒すことは出来ないです!」
拠点を守る役目としては役立たずだ。自分自身が一番理解している。
「でも、逃げることならできるです!セシルさんより小柄なミーナの方が得意です!!」
でも、誰かを探してくることなら出来る。それにレヴィアナさんたちがディスペアリアム・オベリスクを壊したとしても残ったモンスターもなんとかしないといけない。そのためにはみんなで集まる拠点が必要だ。
ミーナが分かるようなことだ、そのことはきっとみんなもわかってる。
「わかった!誰も見つからなくても少しでも危なくなったらすぐに逃げてくるんだよ!」
「はい!もちろんです!」
セシルさんの言葉に強く頷いて、ミーナは走り出した。
「まって!私も行く!!」
足元に氷の道ができ、そのうえをナタリーさんが滑って移動してくる。
「へへ、グレイシャルスライド。私もミーナみたい、ってほどじゃないけど機動力系の魔法使えるようになったの」
「あぶないです!ナタリーさんもみんなと一緒に居てくださいです!」
「危ないのはミーナも一緒でしょ?それに私ががいれば足止めもできるから」
そういいながらナタリーは襲ってきたモンスターの足を凍らせて動けなくしている。
「ね?だから2人で行こう」
本音を言うと1人きりでこのモンスター犇めく戦場を駆けるのは心細かった。
「ありがとうございますです!一緒にみんなを探しにいくです!!」
「うん!」
ナタリーさんと一緒に、今度は2人で走り出す。それだけで心が少しだけ軽くなった。
「みなさん、絶対に無事でいてくださいです……!!」
まだ見えないクラスメイトを想ってミーナは呟いた。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。
私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!
神桜
ファンタジー
小学生の子を事故から救った華倉愛里。本当は死ぬ予定じゃなかった華倉愛里を神が転生させて、愛し子にし家族や精霊、神に愛されて楽しく過ごす話!
『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!』の番外編を『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!番外編』においています!良かったら見てください!
投稿は1日おきか、毎日更新です。不規則です!宜しくお願いします!
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる