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デートではありません①

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 朝、目が覚めたらベッドの横にズラリと人が並んでた。ガルシアさんと……その他女性が六人ほど。

「……」

 しょぼしょぼした眼でざっくり眺める。皆、見たことのあるお顔ぶれ。以前もお世話になった外部のメイクアップ隊の方たちだった。みなさん瞳を閉じて控えていらっしゃる。

「…………」

 生活させていただいてる手前、こんなことをいうのは心苦しいのだけれど……。

 ここにはプライバシーってものがないのかしら。

 別に知られてマズイものは何一つないけど……びっくりするよ。眠気のままに再び掛布の中にモゾモゾと戻ると、ガルシアさんに剥ぎ取られた。

「ルミ様。本日は旦那様からのご予定が入っております」
「フェルが……?」

 内心不満だらけ。いろいろ落ち着いたから今日はダラダラするって決めていたのに。渋々ベッドから下りるとメイクアップ隊の皆様が一斉に目を開いた。くわっ!と。

「!!」

 びくっと肩が跳ねる。し、心臓に悪い……。

 そのうちの一人、先頭の方が満面の営業スマイルで手を差し出してきた。リーダーなのかしら。

「では、まずは湯浴みを。その後は全身に磨きをかけましょう」
「え、全身ですか……? なんで?」

 一体これから何をするのさ、とガルシアさんを見たらニコッと笑われた。

「……」

 結局答えはもらえないらしい。仕方がないと諦めて、メイクアップ隊の方の手を取る。すると、あれよあれよと湯殿に運ばれてお風呂に入れられた。

「ご加減はいかがです?」
「ちょうど良いですが……あの、ひとりで入れ」
「では次は香油に移りましょう」

 出たら出たで続き部屋に簡易ベッドのような木製の台が用意されいた。そこにかけられている柔らかい布の上に、うつ伏せに寝かされる。

 そのままマッサージされて二度寝の危機に陥り、なんとか復活した頃には薔薇っぽい香りが全身を纏っていた。

 服も街娘風にしましょう、と勧められ、淡い黄緑色のワンピース型の服を着用する。ヒラヒラと大きく開いた七分袖。肩口も開いていて、首まわりも大きく出ている。そして、ちょっと高い位置をコルセット状のベルトできゅっと締められる。

 髪も、今日はメイク隊の皆様にやっていただき、軽くアップにしてもらう。気づけば、ちょっと若くなった藤澤瑠美が出来上がっていた。

 正直、鏡の前で何度も確認しちゃうくらい。その鏡の端で、リーダーが笑顔のまま頭を傾ける。

「いかがでしょうか?」
「あ、凄く良いです! 驚きました」

 振り返るとリーダーの傍にいたガルシアさんと目が合う。彼も大きく頷いてくれた。

「素敵ですよ。では、いきましょうか」
「はい!」

 その言葉に促されて、そのまま部屋を後にした。

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