聖母のように笑う

結崎悠菜@w@

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母ではないが

子らよ

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 その幼児は不思議な魅力を持っていた。
声を立てず、ゆったりとした時間とともに笑顔を作る。
何も知らないはずの幼児はいつでもその笑顔で「だいじょうぶだよ」と囁いた。
  心を落ち着かせる声と笑みに、人々は母を見た。

 彼女は母であった。
皆を愛し、慈しみ、小さくあたたかな手で頭をなでる。
人々は彼女に甘えることを、縋ることを覚えてしまった。
親離れを待つには些か、子が多すぎる。

 彼女は生涯、血のつながった子を抱く事はなかった。
それでもやはり、彼女は母だった。
その証拠に彼女の死は多くのものを悲しませたのだから。
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