上 下
4 / 4

【完結】エピローグ

しおりを挟む
「意外でしたわ。 お兄様がになるなんて」
「ん。 そうか?」
「ええ、そうですわよ。 花婿様を気に入った妾に付き合っただけかと思っておりました」

 妖輝は自分の後ろから、もたれ掛かる妖華のお腹の膨らみを背中で感じながら、

「まぁ。 最初はそうだったのう」
「やはり。 そうでしたのね。 今では “ 愛妻家 ” になって、本当に意外でしたわ」
「何がだ?」
「いえ。 お兄様は “ 愛妻家 ” より、我に従え! と、 “ 亭主関白 ” なイメージが御座いましたので」
「そうか。 妖華も花婿には気を付けろよ」
「何がです?」

 妖華は妖輝の心配が分からず首をかしげる。

「妖狐化した “ 男性オス ” は欲に忠実で、血を分けた “ 女性メス ” も襲う可能性があるしな。 
「おほほ。 安心なさってお兄様。 そんなことを阻止するために婿を “ 座敷牢 ” に。 花婿様が愛するのは妾だけですわ」
「…………まぁ。 花嫁に害がないなら、何でもよい」
「ほほ。 それでは花婿様の元へ行って参ります」

 妖華は微笑みながら十二単で自分の口元を覆いながら、部屋から去っていく。 これから濃厚な一時を過ごすのだろう。

「妖輝様……」
「どうした? 花嫁よ」

 妖華と入れ違いに入ってきた遥香を妖輝は見つめる。
 遥香の頭には狐耳がピンッと、お尻からは狐しっぽが生えてくるくると動いている。

「先ほどお腹の子が動いたの。 触ってください」
「本当か。 どれどれ」

 妖輝は遥香の膨らんだお腹に頭を近づけ、胎動を感じる。

「おお。 蹴ったのか? それとも殴ったのか? もしやオスなのか? 遥香はどちらがよいか?」
「私は……どちらでも。 妖輝様が側にいてくれればそれだけで幸せですから」
「そうか。 そうか。 時折 “ 正気 ” を取り戻した、花嫁を愛することも大好きじゃが、現在いまの “ 正気 ” じゃない花嫁を愛することも楽しいぞ。 だが、妖狐化したとはいえ、花嫁は元人間だからのう。 腹の子に大事があってはいかぬ故、当分はお預けじゃ。 生まれたら存分に愛してやるからな。 楽しみにしておれ」
「……はい。 楽しみにしております」



 ーーーー



 陽太が過ごす妖華が用意した “ 座敷牢 ” は淫乱な空気で満ちていた。

「んっ、んん」
「はぁ。 はぁ」
「もう、花婿様。 落ち着いてくださいませ。 発情期で辛いのは分かりますが、そんなに突いてはぁ」

 妖狐化した陽太は “ 発情 ” して、やって来た妖華の十二単を脱がし、問答無用に繋がりはじめた。

「妾は妖狐ですので、どんなに激しくされてもお腹の子は無事ですが、もう少し労って下さいな。 花婿様」
「はぁ、はぁ。 。 ? 元の場所へ帰ったの?」
「あら? 今日は “  ” ですのね。 安心なさって。 遥香様は無事に帰られたわ。 さぁ、妾へのご褒美に愛して下さいな」

 この双子の姉弟は2度と出会うことがない。 お兄様も上手く花嫁を幽閉するだろうし、妖華は平然と嘘を本当のように陽太に囁く。

「あっ、あぁ。 花婿様ぁ! もっとぉ!! 」
「はぁ、はぁ。 。 愛してる!」
「妾も愛しております!!」

 再び “ 正気 ” をなくした陽太に妖華は満足するまで愛され続ける。








 妖狐の兄妹に気に入られ神隠しされた双子の姉弟の運命は淫らに乱れ逃れられない――……。

しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【R18】悪役令嬢(仮)、豪華な牢屋に監禁される-男性視点-

たかはし
恋愛
意識が浮上すると同時に「婚約破棄だ!」とイケメンに罵られた私は、1時間後には豪華な部屋へと監禁されてしまいました。 窓と唯一の出入り口である扉の前に鉄格子の柵があるけど豪華は豪華な部屋ではある…。でも明らかにここ牢屋じゃない?! その上、王弟殿下がハイドワーフの姫である私は秘宝のありかを知ってるはずだから、それの在処を話すまで監禁しておきますねって微笑まれてしまって?! …は?そんなの知らないんですけど! ・性行為をする話には#がついています 【R18】悪役令嬢(仮)、豪華な牢屋に監禁されるhttps://www.alphapolis.co.jp/novel/205245899/756335882 の男性視点のお話になります こっちの方がR18要素が多いかも…? 第13回恋愛小説大賞に参加しています。よろしくお願いします。

貴方にとって、私は2番目だった。ただ、それだけの話。

天災
恋愛
 ただ、それだけの話。

寝取りチンポ vs 異世界【邪神によって異世界に送り込まれた俺に与えられたスキルが寝取りチンポだった件】

第三世界
ファンタジー
邪神によって異世界に転移させられたユーリに与えられたスキルは寝取りチンポというよく分からないスキルであった。ほのぼのとした異世界生活をユーリは送っていく※この作品はノクターンノベルズ、pixiv、ハーメルンにも投稿しています。※2021年11月18日タイトル一部修正

冷徹女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女に呪われ国を奪われた私ですが、復讐とか面倒なのでのんびりセカンドライフを目指します~

日之影ソラ
ファンタジー
タイトル統一しました! 小説家になろうにて先行公開中 https://ncode.syosetu.com/n5925iz/ 残虐非道の鬼女王。若くして女王になったアリエルは、自国を導き反映させるため、あらゆる手段を尽くした。時に非道とも言える手段を使ったことから、一部の人間からは情の通じない王として恐れられている。しかし彼女のおかげで王国は繁栄し、王国の人々に支持されていた。 だが、そんな彼女の内心は、女王になんてなりたくなかったと嘆いている。前世では一般人だった彼女は、ぐーたらと自由に生きることが夢だった。そんな夢は叶わず、人々に求められるまま女王として振る舞う。 そんなある日、目が覚めると彼女は少女になっていた。 実の姉が魔女と結託し、アリエルを陥れようとしたのだ。女王の地位を奪われたアリエルは復讐を決意……なーんてするわけもなく! ちょうどいい機会だし、このままセカンドライフを送ろう! 彼女はむしろ喜んだ。

後妻を迎えた家の侯爵令嬢【完結済】

弓立歩
恋愛
 私はイリス=レイバン、侯爵令嬢で現在22歳よ。お父様と亡くなったお母様との間にはお兄様と私、二人の子供がいる。そんな生活の中、一か月前にお父様の再婚話を聞かされた。  もう私もいい年だし、婚約者も決まっている身。それぐらいならと思って、お兄様と二人で了承したのだけれど…。  やってきたのは、ケイト=エルマン子爵令嬢。御年十六歳! 昔からプレイボーイと言われたお父様でも、流石にこれは…。 『家出した伯爵令嬢』で序盤と終盤に登場した令嬢を描いた外伝的作品です。本編には出てこない人物で一部の設定を使い回した感じになると思います。外伝とはいえ独立した話です。 完結済み!

魔力ゼロの出来損ない貴族、四大精霊王に溺愛される

日之影ソラ
ファンタジー
魔法使いの名門マスタローグ家の次男として生をうけたアスク。兄のように優れた才能を期待されたアスクには何もなかった。魔法使いとしての才能はおろか、誰もが持って生まれる魔力すらない。加えて感情も欠落していた彼は、両親から拒絶され別宅で一人暮らす。 そんなある日、アスクは一冊の不思議な本を見つけた。本に誘われた世界で四大精霊王と邂逅し、自らの才能と可能性を知る。そして精霊王の契約者となったアスクは感情も取り戻し、これまで自分を馬鹿にしてきた周囲を見返していく。 HOTランキング&ファンタジーランキング1位達成!!

本物の恋、見つけましたⅡ ~今の私は地味だけど素敵な彼に夢中です~

日之影ソラ
恋愛
本物の恋を見つけたエミリアは、ゆっくり時間をかけユートと心を通わていく。 そうして念願が叶い、ユートと相思相愛になることが出来た。 ユートからプロポーズされ浮かれるエミリアだったが、二人にはまだまだ超えなくてはならない壁がたくさんある。 身分の違い、生きてきた環境の違い、価値観の違い。 様々な違いを抱えながら、一歩ずつ幸せに向かって前進していく。 何があっても関係ありません! 私とユートの恋は本物だってことを証明してみせます! 『本物の恋、見つけました』の続編です。 二章から読んでも楽しめるようになっています。

番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―

白雲八鈴
恋愛
 魔王が討伐されて20年人々が平和に暮らしているなか、徐々に魔物の活性化が再び始まっていた。  聖女ですか?わたしが世界を浄化するのですか?魔王復活?  は?ツガイ?5人とは何ですか?そんな者必要ありません!わたしはわたし一人でやり切ってみせる!例えその先にあるモノが…あの予言の通りであったとしても  主人公のシェリーは弟が騎士養成学園に入ってから、状況は一変してしまった。番とは分からないようにしていたというのに、次々とツガイたちが集まってきてしまった。他種族のツガイ。  聖女としての仕事をこなしていく中で見え隠れする魔王の影、予兆となる次元の悪魔の出現、世界の裏で動いている帝国の闇。  大陸を駆け巡りながら、世界の混沌に立ち向かう聖女とその番たちの物語。 *1話 1000~2000文字ぐらいです。 *軽い読みものとして楽しんでいただけたら思います。  が…誤字脱字が程々にあります。見つけ次第訂正しております…。 *話の進み具合が亀並みです。16章でやっと5人が揃う感じです。 *小説家になろう様にも投稿させていただいています。 *題名の副題変更しました。あまりにも進みが遅いので。

処理中です...