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シャーレイ〜定住の手続き⑴〜
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広場から駆け足で酒場へ向かう。大した距離ではないので顔を赤くしたまま、二人は酒場へと飛び込むことになった。
あわただしく開いた扉にオステリーアは驚いく。さらに二人が顔を赤くしていることに気づき目を丸くした。
「二人とも顔が真っ赤だけど……どうしたの?」
「えっと…なんでもないんです!」
「そ、そう!なんでもないの!ちょっと走って暑くなっちゃっただけ!」
誤魔化すオズウェルと、下手な言い訳をするアラナ。オステリーアは不思議そうな表情をしながらもそれ以上は深く追求せず、話題を変えた。
「そう……ところで慌てた様子だったけどどうかしたのかしら?」
「あ、そう!ほら、オズウェル。言って。」
「ええ。オステリーアさん、わたしこの国に定住します!」
そういうとオステリーアは嬉しそうな声を上げる。
「あら、本当!?それは嬉しいわ!それじゃあ帰化の手続きの仕方を教えないとね。」
「はい、よろしくお願いします。」
「と言っても私が手続してるわけじゃないのよ。図書室にいるセフェルがやっているの。」
「セフェルさんという方ですか?それに図書室はどこにあるんですか?」
「森の方に大きな建物があったでしょう?あの中にあるわ。」
「わかりました。それじゃあ早速行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
「一人で大丈夫?ついてこっか?」
「ありがとう、アラナちゃん。でも一人で大丈夫。」
「分かったわ。あたしもここで待ってるから。」
「ええ、行ってきます。」
オステリーアとアラナに見送られ、扉に手をかける。
開ようとした瞬間、扉が勝手に開き、ぶつかってしまった。
「きゃあっ」
「え、あ!すいません!大丈夫ですか!?」
扉にぶつかった衝撃で尻餅をつく。痛みに顔をしかめながら見上げると、深碧の髪に褐色の肌の青年―――実際には成人したての幼さがある―――がいた。
青年は慌てたようにこちらへ手を差し伸べる。
驚いたが遠慮はいらないとその手を取り、立ち上がる。
「怪我はないですか?大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。」
青年はオズウェルの返答にほっとしたように頬を緩めた。オズウェルも微笑むと、青年は少し頬を赤らめたように見えた。
「あらあら、チャーリー君、扉を開けるときは気をつけなきゃだめよ。」
少し笑いながら、オステリーアが言う。チャーリーと呼ばれた青年は再び謝った。
「気にしないでください、大丈夫です。それじゃあ。」
そう言ってオズウェルは出ていく。ベルの音と、扉が閉まった音で青年が呼び止めたことには気づかなかった。
残った酒場ではオステリーアがからかうような声をあげていた。
「あら、チャーリー君、さっきの旅人さんが気になるの?」
「え…えっと…」
褐色肌でもわかるくらいに顔を赤くする。
彼にとって、オズウェルは大層美しい人だった。透き通るような色白肌に翠色の髪を一つの三つ編みに結い、胸の方に垂らしていた。艶やかなで桜色に色づいた唇、大きな紺碧の瞳も魅力的だった。
その様子を見ていたアラナは考え込むような表情をする。これはオズウェルにとって成長の兆しになるかもしれないと、直感的に思った。
あわただしく開いた扉にオステリーアは驚いく。さらに二人が顔を赤くしていることに気づき目を丸くした。
「二人とも顔が真っ赤だけど……どうしたの?」
「えっと…なんでもないんです!」
「そ、そう!なんでもないの!ちょっと走って暑くなっちゃっただけ!」
誤魔化すオズウェルと、下手な言い訳をするアラナ。オステリーアは不思議そうな表情をしながらもそれ以上は深く追求せず、話題を変えた。
「そう……ところで慌てた様子だったけどどうかしたのかしら?」
「あ、そう!ほら、オズウェル。言って。」
「ええ。オステリーアさん、わたしこの国に定住します!」
そういうとオステリーアは嬉しそうな声を上げる。
「あら、本当!?それは嬉しいわ!それじゃあ帰化の手続きの仕方を教えないとね。」
「はい、よろしくお願いします。」
「と言っても私が手続してるわけじゃないのよ。図書室にいるセフェルがやっているの。」
「セフェルさんという方ですか?それに図書室はどこにあるんですか?」
「森の方に大きな建物があったでしょう?あの中にあるわ。」
「わかりました。それじゃあ早速行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
「一人で大丈夫?ついてこっか?」
「ありがとう、アラナちゃん。でも一人で大丈夫。」
「分かったわ。あたしもここで待ってるから。」
「ええ、行ってきます。」
オステリーアとアラナに見送られ、扉に手をかける。
開ようとした瞬間、扉が勝手に開き、ぶつかってしまった。
「きゃあっ」
「え、あ!すいません!大丈夫ですか!?」
扉にぶつかった衝撃で尻餅をつく。痛みに顔をしかめながら見上げると、深碧の髪に褐色の肌の青年―――実際には成人したての幼さがある―――がいた。
青年は慌てたようにこちらへ手を差し伸べる。
驚いたが遠慮はいらないとその手を取り、立ち上がる。
「怪我はないですか?大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。」
青年はオズウェルの返答にほっとしたように頬を緩めた。オズウェルも微笑むと、青年は少し頬を赤らめたように見えた。
「あらあら、チャーリー君、扉を開けるときは気をつけなきゃだめよ。」
少し笑いながら、オステリーアが言う。チャーリーと呼ばれた青年は再び謝った。
「気にしないでください、大丈夫です。それじゃあ。」
そう言ってオズウェルは出ていく。ベルの音と、扉が閉まった音で青年が呼び止めたことには気づかなかった。
残った酒場ではオステリーアがからかうような声をあげていた。
「あら、チャーリー君、さっきの旅人さんが気になるの?」
「え…えっと…」
褐色肌でもわかるくらいに顔を赤くする。
彼にとって、オズウェルは大層美しい人だった。透き通るような色白肌に翠色の髪を一つの三つ編みに結い、胸の方に垂らしていた。艶やかなで桜色に色づいた唇、大きな紺碧の瞳も魅力的だった。
その様子を見ていたアラナは考え込むような表情をする。これはオズウェルにとって成長の兆しになるかもしれないと、直感的に思った。
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