5 / 14
4人目-目を合わしてはいけない
しおりを挟む
会社の帰り
一人暮らしの俺はコンビニで買ったお弁当とビールを片手に帰路に着いていた。
昼は熱いが夜になると
多少は気温が下がり過ごしやすい
前を歩くカップルの横
電信柱に人の影があったように見えた
気にもせず歩を進める
電信柱を通り過ぎる時にはその影も気配も無くなっていた
駅前には沢山いた人も車も
住宅街を進むに連れて少しずつ静かになっていく
涼しい夜風と虫の声が夏を感じさせる
「今日は涼しくていいなぁ」
駅から家までの距離は徒歩で15分ほど
細い路地の住宅街に等間隔に街灯が灯っている
少し先の街灯が
薄暗い路地をぽぉっと照らしている
その街灯の横
また誰かが立っているように感じた
少し薄暗い為か離れたとこからでは分かりづらくはあったが人がいるそんな気がしたのだ
徐々に街灯が近づいてくるとその姿がはっきりと確認出来た
街灯のすぐ横
スーツを着た男が俯いて立っている
酔っ払っているのかな?
そのくらいにしか思わなかった
一瞬目が合ったような気がしたが
男の横を通り抜け自宅へとどんどん向かっていった
また街灯が見えてくる
あれ?また人がいるぞ?
その姿を通り過ぎる際横目で確認すると
先程と同じスーツの男のような気がした
まさか...
気のせいだそういい聞かせた
似たような人なのかも知れないし
次の街頭が近づいてきていたが確認するのが少し怖く感じ
下を向き足元に視線を落とした
街灯の横
スーツの裾革靴が視界の隅に映る
自分の前には誰も歩いていなかった
前を歩いて先に進んでいない限り
先回りをして街灯の下に立つなんて
不可能だ
また街灯が近づく
気付かないふり気付かないふり
街灯の下男とすれ違う
ブツブツと話す声
はっきりと耳に聞こえてきた
《見ェてマスヵ》
気付いては行けないものだ
咄嗟にそう感じ
歩くスピードを早めた
もう少し2つ先の街灯を左に曲がるともう自宅である
足早に向かい鍵をカバンから取り出すと
後ろを確認することなく
玄関へと駆け込んだ
意味も無いことは
何となく分かってはいたけれど
急いで部屋の鍵をかける
布団に包まり電気を消した真っ暗な部屋の中
身を隠しながら近くにあったゴルフクラブを握りしめ息を潜めた
ピーンポーン
ピーンポーン
静まり返った部屋にインターフォンが鳴り響く
モニターには誰も映し出されていない
ピーンポーン
ピーンポーン
《早く居なくなってくれ》
姿は見えないが
先程のあの男が付いてきた
そう感じていた
人間ではなかったんだ
どれほど息を殺して居ただろう
《見ぇテルンでショ》
ハッとモニターを見ると
モニーターを覗き込む
男の顔が全面に映し出されていた
その日から
毎日
時間になると男がやって来るようになった
日常に潜む闇人ならざる者が顔を覗かす事もある
確かめようとしたり
不要に目を合わしてはいけない
ピーンポーン
《 見ェテルンでしョ 》
一人暮らしの俺はコンビニで買ったお弁当とビールを片手に帰路に着いていた。
昼は熱いが夜になると
多少は気温が下がり過ごしやすい
前を歩くカップルの横
電信柱に人の影があったように見えた
気にもせず歩を進める
電信柱を通り過ぎる時にはその影も気配も無くなっていた
駅前には沢山いた人も車も
住宅街を進むに連れて少しずつ静かになっていく
涼しい夜風と虫の声が夏を感じさせる
「今日は涼しくていいなぁ」
駅から家までの距離は徒歩で15分ほど
細い路地の住宅街に等間隔に街灯が灯っている
少し先の街灯が
薄暗い路地をぽぉっと照らしている
その街灯の横
また誰かが立っているように感じた
少し薄暗い為か離れたとこからでは分かりづらくはあったが人がいるそんな気がしたのだ
徐々に街灯が近づいてくるとその姿がはっきりと確認出来た
街灯のすぐ横
スーツを着た男が俯いて立っている
酔っ払っているのかな?
そのくらいにしか思わなかった
一瞬目が合ったような気がしたが
男の横を通り抜け自宅へとどんどん向かっていった
また街灯が見えてくる
あれ?また人がいるぞ?
その姿を通り過ぎる際横目で確認すると
先程と同じスーツの男のような気がした
まさか...
気のせいだそういい聞かせた
似たような人なのかも知れないし
次の街頭が近づいてきていたが確認するのが少し怖く感じ
下を向き足元に視線を落とした
街灯の横
スーツの裾革靴が視界の隅に映る
自分の前には誰も歩いていなかった
前を歩いて先に進んでいない限り
先回りをして街灯の下に立つなんて
不可能だ
また街灯が近づく
気付かないふり気付かないふり
街灯の下男とすれ違う
ブツブツと話す声
はっきりと耳に聞こえてきた
《見ェてマスヵ》
気付いては行けないものだ
咄嗟にそう感じ
歩くスピードを早めた
もう少し2つ先の街灯を左に曲がるともう自宅である
足早に向かい鍵をカバンから取り出すと
後ろを確認することなく
玄関へと駆け込んだ
意味も無いことは
何となく分かってはいたけれど
急いで部屋の鍵をかける
布団に包まり電気を消した真っ暗な部屋の中
身を隠しながら近くにあったゴルフクラブを握りしめ息を潜めた
ピーンポーン
ピーンポーン
静まり返った部屋にインターフォンが鳴り響く
モニターには誰も映し出されていない
ピーンポーン
ピーンポーン
《早く居なくなってくれ》
姿は見えないが
先程のあの男が付いてきた
そう感じていた
人間ではなかったんだ
どれほど息を殺して居ただろう
《見ぇテルンでショ》
ハッとモニターを見ると
モニーターを覗き込む
男の顔が全面に映し出されていた
その日から
毎日
時間になると男がやって来るようになった
日常に潜む闇人ならざる者が顔を覗かす事もある
確かめようとしたり
不要に目を合わしてはいけない
ピーンポーン
《 見ェテルンでしョ 》
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄はいいですが、あなた学院に届け出てる仕事と違いませんか?
来住野つかさ
恋愛
侯爵令嬢オリヴィア・マルティネスの現在の状況を端的に表すならば、絶体絶命と言える。何故なら今は王立学院卒業式の記念パーティの真っ最中。華々しいこの催しの中で、婚約者のシェルドン第三王子殿下に婚約破棄と断罪を言い渡されているからだ。
パン屋で働く苦学生・平民のミナを隣において、シェルドン殿下と側近候補達に断罪される段になって、オリヴィアは先手を打つ。「ミナさん、あなた学院に提出している『就業許可申請書』に書いた勤務内容に偽りがありますわよね?」――
よくある婚約破棄ものです。R15は保険です。あからさまな表現はないはずです。
※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』にも掲載しています。
フリーの祓い屋ですが、誠に不本意ながら極道の跡取りを弟子に取ることになりました
あーもんど
キャラ文芸
腕はいいが、万年金欠の祓い屋────小鳥遊 壱成。
明るくていいやつだが、時折極道の片鱗を見せる若頭────氷室 悟史。
明らかにミスマッチな二人が、ひょんなことから師弟関係に発展!?
悪霊、神様、妖など様々な者達が織り成す怪奇現象を見事解決していく!
*ゆるゆる設定です。温かい目で見守っていただけると、助かります*
まばたき怪談
坂本 光陽
ホラー
まばたきをしないうちに読み終えられるかも。そんな短すぎるホラー小説をまとめました。ラスト一行の恐怖。ラスト一行の地獄。ラスト一行で明かされる凄惨な事実。一話140字なので、別名「X(旧ツイッター)・ホラー」。ショートショートよりも短い「まばたき怪談」を公開します。
公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】
佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。
異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。
幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。
その事実を1番隣でいつも見ていた。
一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。
25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。
これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。
何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは…
完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。
その少女、闇に魅入られて
栗須帳(くりす・とばり)
ホラー
交通事故で両親を亡くした奈津子は、過疎化の進む小さな村で新しい生活を始めた。
家族の温もり、優しい友達。彼女がずっと望んでいたものがそこにはあった。
新生活に胸躍らせる奈津子。そんな彼女をあざ笑うかのように「それ」は忍び寄ってきた。
決して逃れることの出来ない災厄に、奈津子はなす術もなく怯えるのだった。
全69話。
婚約破棄されて捨てられたけど感謝でいっぱい
青空一夏
恋愛
私、アグネスは次期皇后として皇太子と婚約していた。辛い勉強に日々、明け暮れるも、妹は遊びほうけているばかり。そんな妹を羨ましかった私に皇太子から婚約破棄の宣言がされた。理由は妹が妊娠したから!おまけに私にその妹を支えるために側妃になれと言う。いや、それってそちらに都合良すぎだから!逃れるために私がとった策とは‥‥
【完結】「別れようって言っただけなのに。」そう言われましてももう遅いですよ。
まりぃべる
恋愛
「俺たちもう終わりだ。別れよう。」
そう言われたので、その通りにしたまでですが何か?
自分の言葉には、責任を持たなければいけませんわよ。
☆★
感想を下さった方ありがとうございますm(__)m
とても、嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる