逢魔刻の旅人

ありす

文字の大きさ
上 下
4 / 14

3人目-来る

しおりを挟む
バイトが休みだった俺は
だらだらと過ごすのがルーティンになっていた
外に出る予定もなく
ボサボサの髪
ベットに横たわる俺をカーテンの隙間から入る
木漏れ日が照らしている

夏の気怠い昼下がりだ

重たい身体を動かしヤカンを火にかける
カップラーメンに湯を注ぐと
テレビの前に腰を下ろした。

「最近のテレビはつまらないなぁ」

俺の興味はテレビよりネットに向いていた
暇つぶしに2ちゃんねるをチェックするのが
最近の日課になりつつある

「何か面白い話ないかなぁ」

いろんなスレが立ち並ぶ中
一つのスレが目に入った

《夢に出る女から逃げる方法知ってる方いませんか?》


「ん?夢に出る女?」

スレの内容からすると

どうやらスレを立てた主は
度々夢に出てくる女に
追われているという
ギリギリ逃げ延びてはいるが毎回距離が縮まり
このままでは捕まってしまう助けてほしい

というものだった。

「どうせ夢だろ? そんな必死に逃げなくても」

そう思いつつも
やる事もないし暇つぶしにはなるだろうと
コメントを打ち込んだ

《はじめまして!夢に出てくる女をやっつけるっていうのはどうですか?》

「まぁ..どうせ向こうも冗談かなんかだろ」
返事なんてこないそう言えば思っていた

冷めてしまったカップラーメンを食べ終わるといつの間にやら時計の針は三時を指していた

しばらくBGMのようにテレビを流し
やっぱりつまらないからとまたネットに視線を落とす

「さっきの更新されてっかなぁ..」

スレへのコメントは

《美女?》
《かわいいなら捕まるのもアリ》
《助けてあげるよw住所教えてw》

「たしかに美女ならアリだよなw」

スレ主からの返事はない
やっぱり適当な暇つぶしのスレだったんだな

その日は気になるものもなくお腹もカップラーメンを食べたばかりで空いていなかった為

シャワーを浴びるとベッドに横になり携帯をいじり始めた

どれくらい時間が経っただろうか
いつの間にか眠ってしまっていたようで
テレビは砂嵐を映している

テーブルに目をやると先ほどのスレに1と返信が返ってきていた

なんだか気になり
スレを開く

《返事ありがとうございます
今日その女がやってくるんです
もう来てしまう夢からあいつが
やって.\\%○\あ\%3$°くル
たス◽︎⚪︎◁もゥ逃+〒々〆%
キタ来たキタキタ来たキタキタキタ
キタ来たキタキタ来たキタキタキタ..》
バグのようパソコンがチカチカし始め全面に文字が映し出された

「なんなんだよ!」

パソコンの電源を切っても画面は消えず
砂嵐に変わっかと思うと
見知らぬ部屋が映し出された

吸い込まれるように画面を見つめる

白黒の監視カメラのような映像には
髪も乱れ落ち着きのない様子で部屋をグルグル歩き回りながらぶつぶつ喋っている男が映つっている

何を喋っているんだろう
耳を澄ますと先ほどのスレの主と同じ

女が来る 助けて 来る 
とずっと言っていた
「もしかしてスレのやつか?」
画面が砂嵐のように歪む

ザザッ..!ザザっ!砂嵐の合間に見える映像
先程まで姿がなかった女がいた
座り込み後退りする男
ゆっくりと迫り来る女
背筋がゾクッと寒くなる
怖さで目を背けたい気持ちもあったが
何故か画面から目を離すことが出来なかった

男の姿と女の姿が重なった瞬間

ブッン!

パソコンの画面が急に真っ暗になった

「えっ....」

真っ暗にのパソコン画面にうっすら映る自分の顔
黒い布

黒い布..?

そこに置いてあるはずの棚が見えず
自分の真後ろに黒い布が見えていた

怖くて振り返ることが出来ない

背後に感じる気配
パソコンの画面から目を離すことが出来ない
耳元に感じる息遣い


《 むかえにきたよ 》



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『盆綱引き』

篠崎俊樹
ホラー
福岡県朝倉市比良松を舞台に据えた、ホラー小説です。時代設定は、今から5年前という設定です。第6回ホラー・ミステリー小説大賞にエントリーいたします。大賞を狙いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

ゾバズバダドガ〜歯充烏村の呪い〜

ディメンションキャット
ホラー
主人公、加賀 拓斗とその友人である佐々木 湊が訪れたのは外の社会とは隔絶された集落「歯充烏村」だった。 二人は村長から村で過ごす上で、絶対に守らなければならない奇妙なルールを伝えられる。 「人の名前は絶対に濁点を付けて呼ばなければならない」 支離滅裂な言葉を吐き続ける老婆や鶏を使ってアートをする青年、呪いの神『ゾバズバダドガ』。異常が支配するこの村で、次々に起こる矛盾だらけの事象。狂気に満ちた村が徐々に二人を蝕み始めるが、それに気付かない二人。 二人は無事に「歯充烏村」から抜け出せるのだろうか?

日常怪談〜穢〜

蒼琉璃
ホラー
何気ない日常で誰かの身に起こったかもしれない恐怖。 オムニバスの短編ホラーです。エブリスタでも投稿しています。

怪異に襲われる

醍醐兎乙
ホラー
様々な怪異に襲われる短編集です。 救いはありません。 人の抵抗など怪異の前では無力なのです。 それぞれが独立したお話で、繋がりはありません。 カクヨムにも投稿しています。

ちゃぼ茶のショートショート 「合わせ鏡」

ちゃぼ茶
ホラー
鏡の中で永遠に迷い込むなんて、想像しただけでも怖いちゃぼ茶です。合わせ鏡とネットで調べたところ都市伝説なんてものもあり余計に怖くなっております。このお話をお読みになった後、ぜひ最後の一文字から最初にお戻りくださると光栄です。ぜひあなたも合わせ鏡の世界へ…

お兄さん。オレのあいさつ……無視したよね?

どっぐす
ホラー
知らない子供から、あいさつをされた。 それを無視してしまい、12年のあいだ後悔し続けた男の話。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

深夜2時

まさみ
ホラー
ある男が見る累々と散らかる位牌の夢、絶対エレベーターに乗りたがらない友人、通学路で拾った泣き袋……。 日常と非日常の狭間に潜む怪異を描いた短編集。 オカルトからヒトコワまで原則一話完結でさくっと読めます。

処理中です...