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第7章 新たな進化

64話 冒険者ギルドの傲慢

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 王都に、久しぶりに肉や薬草などが大量に入荷して、人々は活気に溢れた。
 ヒロトシの言うように、平民達は肉が高い間、野菜を買っていたが、やはり肉を食べたかったのだ。

「久しぶりに思う存分肉が食えるぜ!」
「やっぱり、鍛冶をしてると野菜だけじゃな」
「体力つかねぇぜ」

 町の酒場には、鍛冶師や大工が久しぶりに酒を飲みに来ていた。また、平民の食卓にもご馳走であるオークソルジャーの肉が並んで、子供達は大喜びである。

 王都では、薬草の件もあり今回肉が入荷しなくて食材が高騰し、苦しい生活が続くと思い諦めも入っていた。
 子供達にとっても、毎日食卓にのぼる野菜をメインにしたおかずはがっかりするものだったのだ。
 しかし、ヒロトシのおかげで消費物が大量に入荷して平民が喜ぶのは当然だった。

 しかし、言わなくてもわかるが、この状況に焦ったのは冒険者ギルドだ。

「ちょっと待って下さい!肉や薬草はもう要らないと言われても困ります!」

「こちらとしても、こんな高い肉や薬草は購入できませんよ。今回は購入しますが、次回からは通常価格なら購入させていただきます」

「そんな!肉や薬草を買い取ってもらえなければ、うちの売り上げは!」

「しかし、今の王都の肉の価格はあなた方も知っていますよね?誰が今の現状で普通のオークの肉を、4倍の値段で買うというのですか?」

「それは・・・・・・」

「オークソルジャーやマジシャンの肉が、ノーマルオークの肉と同じ値段なんですよ?」

「むぐぐぐ・・・・・・」

「つまり、このノーマルオークの肉は、今の王都ではもっと安くしてもらわないと、こっちが大損してしまいます」

「そんな!」

「そして、薬草にいたっても冒険者に採取指導していただけますか?」

「採取指導だと?」

「ええ!今、王都に大量入荷した薬草はこちらで、あなた方が持ってきたのはこれです」

「うっ・・・・・・」
 
 ヒロトシが卸した薬草は、根がギリギリの所までついて魔の森で採取したので、魔力を含んだ最高品質の薬草だった。
 一方、冒険者ギルドが持ってきたものは、冒険者が無造作に引きちぎった感じの薬草だった。
 冒険者達も、薬草採取ばかりさせられうんざりしている為、採取方法が雑になっていたのだ。
 ヒロトシの卸した薬草は、魔の森の薬草で最高品質だが、冒険者達の薬草も丁寧に採取していたら、高品質の薬草だったはずである。

 生産ギルドは、冒険者ギルドの持ってきた薬草には低品質の評価を査定したのだった。

「そんな!そんな価格で買い叩かれたら!」

「今までは、こんな低品質でもこの薬草しかなかったから、こちらとしてもしょうがなしに買い取っていただけです。しかし、今や普通にこの最高品質の薬草が手にはいるのです。冒険者ギルドの低品質の薬草は使い道がないんですよ。もっと丁寧に採取してください」

「だが、今までこの薬草でポーションが作れていたのだろ?」

「いいですか?製作方法は教えれませんが、この最高品質の薬草でポーションを作れば、グレーターヒールポーションが作れますが、冒険者ギルドが持ってきたものは、低品質のヒールポーションしか作れません」

「うぐっ!」

「これらヒールポーションは、冒険者達の生命線でもあるんです。自分達の為にも丁寧に採取してください!今後、このような低品質の薬草はこの値段でしか買い取れません。いいですね!」

 冒険者ギルドの人間は、生産ギルドのカウンターで項垂れた。そして、そこに更に衝撃的な光景を目にするのだった。

「こんにちは!薬草と肉の入荷です!」

「ご苦労様です」

 その声に、冒険者ギルド職員が大声をだした。

「あっ!お前はアーセルドか?それにマーブル!」

「冒険者ギルドか?見たくないやつに会ったぜ」

「なんでお前がここに!それに欠損していたのになんで!」

「あんた達に言う必要ないね!」

「なんだと!」

「おっと、いけねぇ!用事の途中だった。あんた達に構ってられねぇや。生産ギルドさん、今回はこれだけだ」

「今回もこんなにいい品を!本当にありがとうございます」

「いえいえ、俺らはタダ品物を納品しているだけでご主人様がすごいんです」

「でも、この薬草はあなた達が採取しているのですよね?丁寧に採取していますよ。冒険者ギルドは優秀な人材を手離しましたね。あははははは」

「そのおかげで、俺は今幸せですよ」

「ぬぐぐぐぐ!」

 冒険者ギルド職員は、幸せそうに笑っていたアーセルドとマーブルの顔を見て、悔しそうな顔をして生産ギルドを出ていってしまった。

「アーセルド、マーブル、みんなも少しは気が晴れたか?」

「「「「「「はい!」」」」」」
「ご主人様、スカッとしました!」

「生産ギルドの皆さんも、話を合わせてくださりありがとうございます」

「いえいえ、私達も冒険者ギルドの態度をよく思ってなかったので、スカッとしましたよ」

 生産ギルドの買い取り業務をしていた職員も、日頃から冒険者ギルドの品物に苦情を入れていた。しかし、冒険者ギルドからしか品物が入らなかったので、我慢して買い取っていたのだ。
 ヒロトシの品物が手に入り、今日は言いたかった事が言えて、生産ギルド職員もスッキリした顔になっていた。
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