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第7章 新たな進化
21話 犠牲になった奴隷達
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スティーブの薬草問屋がつぶれてしまい、ヒロトシのポーション屋は更に人気が上がった。
今なら、聖教国でも薬草の卸売業ができると、諦めていた商人達が出てきたのだ。この事で聖教国の商人ギルドは、ヒロトシに感謝したのだ。
「ヒロトシさん、このたびは本当にありがとうございます」
「シャインさん、礼なんかいいですよ。俺はやりたいようにやっているだけですからね」
「いえいえ、ヒロトシさんのおかげで薬草の価格が元に戻りつつあります」
ヒロトシ以外の商人が、薬草問屋を始めれば価格は安定してくれるはずだからだ。
今は、ヒロトシが赤字覚悟でギルドや錬金術師達に卸している。赤字覚悟でと言ったがヒロトシ自身は、ちゃんと利益を出している。他の業者がヒロトシと同じ価格で売った場合、完全に大損害になるという事だ。
「それより、シャインさんに聞きたい事があるんだかいいかい?」
「ヒロトシさんなら、なんでもお聞きしますよ」
「スティーブの薬草問屋で働いていた人間で迷惑がかかった従業員はいなかったかい?」
「それは・・・・・・何人か出ています。給料が未払いで生活がままならなくなり、いろんな支払いがある方は特に・・・・・・」
「その人達はどうなった?」
「はい・・・・・・言わなくても分かるかと思いますが奴隷に落ちました」
「その人達が、売られた奴隷商人を教えてほしい」
「まさか!ヒロトシさん、その奴隷達を購入するつもりですか?」
「まあ、全員じゃないけどね。従業員の中には本当にスティーブの薬草問屋の事を知らなかった人間もいるだろう。後、家族を守る為にしょうがなかった人なら購入を考えようと思ってね」
「ヒロトシさん・・・・・・」
シャインは、後日ヒロトシにスティーブの犠牲者を教えた。ヒロトシは早速奴隷商人の元に出掛けたのだった。
「これはヒロトシ様、ようこそおいでになられました」
聖教国の奴隷商人は、胡散臭い雰囲気を持つ小柄な男だ。しかし、ヒロトシの姿を見るやいなや揉み手をしながら近づいてきた。
「まさか、ターラの奴隷商会がスティーブの従業員を買い取っていたとは思わなかったよ」
「ヒロトシ様には、いつもお世話になっとります。それでギルドから聞いていますが、本当に購入を考えているので?」
「なんかおかしいか?」
「いえ、ヒロトシ様が購入する事に異論があるわけではないんですが、必要のない奴隷を善意で購入するのはオススメはいたしません」
ターラは、ヒロトシとの付き合いでそういった購入の仕方は、ヒロトシの為にならないと奴隷を諦めさせようとした。
「ターラの気持ちは、ありがたく受け取らせてもらうよ。確かに、他人から見たら偽善者と言われてもしょうがないからな」
「だったら、今回の購入は止めておいた方がよろしいかと」
「いや、そういう訳にもいかないんだ」
「どういう事ですか?」
「ターラは、俺が王国領でサンライトを経営しているのを知っているだろ?」
「まさか、聖教国でもサンライトを?」
「ああ、土地も買ってあるしな」
「じゃあ、ポーション屋の土地を買った時に、違う場所の土地を買ったのは、薬草問屋の為じゃなかったのですか?」
「ターラは、俺が他にも土地を買っていたのを知っていたのか?」
「こう見えても、私も商人で情報は命ですよ。じゃあ今回の奴隷購入は、サンライト3号店に?」
「そういう事だ。スティーブの店の従業員なら計算もできるだろ?」
「しかし、私がおすすめしなかったのは理由があるのです」
「理由?」
「確かに、今回の従業員で犠牲者になった奴隷は真面目に働いてきた者達です。そして、店を潰れたことで家族と別れ離れとなった者ばかりで、人生に絶望しています」
「購入しても役に立たないと?」
「それもありますが、ヒロトシ様を恨んでいる節があるからです。私としては、オススメはいたしません」
「なるほどね」
「それならば、見た目のいい奴隷が揃っているのでヒロトシ様の所に行けば更に接客業に役立つ奴隷に育つかと思います」
「まあ、俺も慈善事業でサンライトを開く訳じゃないし、自分は偽善者でもないよ」
「えっ?」
「俺の事を恨んでいる節がある奴隷は、いくら薬草問屋の犠牲者でも購入はしないという事だ」
「ギルドからは真面目に働いてきた犠牲者を買いたいと聞いていたのですが?」
「いくら俺がそう言っても、俺の事を恨んでいたり信じられないのなら、その人間とは縁がなかったんだろう?」
「た、確かに!」
「だったら、その人間にこだわってもしょうがないだろ?それならば、気持ちよく働いてくれる人間の方がお互いの為だよ」
「わかりました」
「とりあえずは、犠牲者の奴隷達と面会させてほしい。購入するのはそれからだ」
「承知いたしました」
ターラは、ヒロトシの事を侮っていた事を反省して、ヒロトシと今回の犠牲者の奴隷と面会させて、ただ黙って見ていた。
すると、ヒロトシは奴隷に落ちた者達と面会をしているのを見て、ターラはヒロトシの人を見る目に驚愕した。
少しでも違和感があれば、縁がなかったと言ってその人間を購入をしなかったのだ。
それまで、丁寧に答えてなんの違和感もなかったのに、その奴隷も笑顔でヒロトシの意見に答えていた。
「あなたの購入はやめておきます。ご苦労様」
「えっ?なんで?」
「ターラさん、次の人をお願いいたします」
「なんで、俺がはじかれるんだ。俺を購入してくれよ!」
「あなたは俺の店にはいらない」
「ちくしょう!お前のせいで俺は!」
最後にヒロトシに罵倒しながら、部屋から出されてしまったのだ。
そして、ヒロトシが選んだ奴隷は75人面会して男性6人女性4人のたった10人であった。
今なら、聖教国でも薬草の卸売業ができると、諦めていた商人達が出てきたのだ。この事で聖教国の商人ギルドは、ヒロトシに感謝したのだ。
「ヒロトシさん、このたびは本当にありがとうございます」
「シャインさん、礼なんかいいですよ。俺はやりたいようにやっているだけですからね」
「いえいえ、ヒロトシさんのおかげで薬草の価格が元に戻りつつあります」
ヒロトシ以外の商人が、薬草問屋を始めれば価格は安定してくれるはずだからだ。
今は、ヒロトシが赤字覚悟でギルドや錬金術師達に卸している。赤字覚悟でと言ったがヒロトシ自身は、ちゃんと利益を出している。他の業者がヒロトシと同じ価格で売った場合、完全に大損害になるという事だ。
「それより、シャインさんに聞きたい事があるんだかいいかい?」
「ヒロトシさんなら、なんでもお聞きしますよ」
「スティーブの薬草問屋で働いていた人間で迷惑がかかった従業員はいなかったかい?」
「それは・・・・・・何人か出ています。給料が未払いで生活がままならなくなり、いろんな支払いがある方は特に・・・・・・」
「その人達はどうなった?」
「はい・・・・・・言わなくても分かるかと思いますが奴隷に落ちました」
「その人達が、売られた奴隷商人を教えてほしい」
「まさか!ヒロトシさん、その奴隷達を購入するつもりですか?」
「まあ、全員じゃないけどね。従業員の中には本当にスティーブの薬草問屋の事を知らなかった人間もいるだろう。後、家族を守る為にしょうがなかった人なら購入を考えようと思ってね」
「ヒロトシさん・・・・・・」
シャインは、後日ヒロトシにスティーブの犠牲者を教えた。ヒロトシは早速奴隷商人の元に出掛けたのだった。
「これはヒロトシ様、ようこそおいでになられました」
聖教国の奴隷商人は、胡散臭い雰囲気を持つ小柄な男だ。しかし、ヒロトシの姿を見るやいなや揉み手をしながら近づいてきた。
「まさか、ターラの奴隷商会がスティーブの従業員を買い取っていたとは思わなかったよ」
「ヒロトシ様には、いつもお世話になっとります。それでギルドから聞いていますが、本当に購入を考えているので?」
「なんかおかしいか?」
「いえ、ヒロトシ様が購入する事に異論があるわけではないんですが、必要のない奴隷を善意で購入するのはオススメはいたしません」
ターラは、ヒロトシとの付き合いでそういった購入の仕方は、ヒロトシの為にならないと奴隷を諦めさせようとした。
「ターラの気持ちは、ありがたく受け取らせてもらうよ。確かに、他人から見たら偽善者と言われてもしょうがないからな」
「だったら、今回の購入は止めておいた方がよろしいかと」
「いや、そういう訳にもいかないんだ」
「どういう事ですか?」
「ターラは、俺が王国領でサンライトを経営しているのを知っているだろ?」
「まさか、聖教国でもサンライトを?」
「ああ、土地も買ってあるしな」
「じゃあ、ポーション屋の土地を買った時に、違う場所の土地を買ったのは、薬草問屋の為じゃなかったのですか?」
「ターラは、俺が他にも土地を買っていたのを知っていたのか?」
「こう見えても、私も商人で情報は命ですよ。じゃあ今回の奴隷購入は、サンライト3号店に?」
「そういう事だ。スティーブの店の従業員なら計算もできるだろ?」
「しかし、私がおすすめしなかったのは理由があるのです」
「理由?」
「確かに、今回の従業員で犠牲者になった奴隷は真面目に働いてきた者達です。そして、店を潰れたことで家族と別れ離れとなった者ばかりで、人生に絶望しています」
「購入しても役に立たないと?」
「それもありますが、ヒロトシ様を恨んでいる節があるからです。私としては、オススメはいたしません」
「なるほどね」
「それならば、見た目のいい奴隷が揃っているのでヒロトシ様の所に行けば更に接客業に役立つ奴隷に育つかと思います」
「まあ、俺も慈善事業でサンライトを開く訳じゃないし、自分は偽善者でもないよ」
「えっ?」
「俺の事を恨んでいる節がある奴隷は、いくら薬草問屋の犠牲者でも購入はしないという事だ」
「ギルドからは真面目に働いてきた犠牲者を買いたいと聞いていたのですが?」
「いくら俺がそう言っても、俺の事を恨んでいたり信じられないのなら、その人間とは縁がなかったんだろう?」
「た、確かに!」
「だったら、その人間にこだわってもしょうがないだろ?それならば、気持ちよく働いてくれる人間の方がお互いの為だよ」
「わかりました」
「とりあえずは、犠牲者の奴隷達と面会させてほしい。購入するのはそれからだ」
「承知いたしました」
ターラは、ヒロトシの事を侮っていた事を反省して、ヒロトシと今回の犠牲者の奴隷と面会させて、ただ黙って見ていた。
すると、ヒロトシは奴隷に落ちた者達と面会をしているのを見て、ターラはヒロトシの人を見る目に驚愕した。
少しでも違和感があれば、縁がなかったと言ってその人間を購入をしなかったのだ。
それまで、丁寧に答えてなんの違和感もなかったのに、その奴隷も笑顔でヒロトシの意見に答えていた。
「あなたの購入はやめておきます。ご苦労様」
「えっ?なんで?」
「ターラさん、次の人をお願いいたします」
「なんで、俺がはじかれるんだ。俺を購入してくれよ!」
「あなたは俺の店にはいらない」
「ちくしょう!お前のせいで俺は!」
最後にヒロトシに罵倒しながら、部屋から出されてしまったのだ。
そして、ヒロトシが選んだ奴隷は75人面会して男性6人女性4人のたった10人であった。
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