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第6章 研磨という職

54話 ロドン王国が変わる日

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 ローベルグは、ヒロトシの言葉に大笑いした。その笑い声に宰相達が呆けていた。

「ヒロトシよ。お主はあくまでも媚びぬ事はしないのだな?」

「媚びる必要性はないかと思いますし、俺は平民達というより、俺が納得行く事に力を使うだけですからね」

「という事はだ、余は余の思い通りにする」

「それは当然ですよ。しかし、それが俺達平民が不当な扱いを受けるようなら、俺が持つ力を行使するだけですから!」

「それでは、国王様が平民達の言いなりではないか?」

「宰相様、まだわからないのですか?」

「何がだ?」

「つまりですね。貴方達貴族は平民達に媚びるのではなく、平民達の生活の為に仕事を頑張る。そうすれば、平民達は貴族に感謝しより働き税金を納めるでしょう」

「なんだと!貴族が平民達の為に仕事だと!」

「そうすれば、国王の威厳が確立しローベルグ様は上とか下とか下らない価値観を考えることなく平民達に支持されて敬われる存在となるのです」

「そのような事をしなくとも国王様は敬われる存在だ」

「じゃあ。そうすればいいですよ。俺はそんな傲慢な指導者に力を貸したくないから、王都から撤退する」

「馬鹿な!ヒロトシ殿は国王様に聖教国に交渉してもらった恩があるはずだ」

「ふっ!」

 ヒロトシは宰相の言葉に鼻で笑った。

「何が可笑しい」

「じゃあ、俺が魔の森の進行を止めた城壁はどうしますか?そして、その城壁を守る魔道砲のメンテナンスや護衛したレベルの派遣費はどうしますか?」

「待て待て!それは・・・・・・」

「はい。そうですね。俺が好意で、シャーロットの夫としてやった事です」

「もうよい・・・・・・宰相も控えよ。王国は今までヒロトシには数多くの恩がある。余が聖教国と交渉しなくとも、ヒロトシならなんとかできただろうしな」

「さすがローベルグ様、よくわかってらっしゃる」

「馬鹿な!ヒロトシだけで聖教国を?」

「宰相、聖教国の使者が来るまで、確かに余が聖教国とギルドの通信機で交渉したが、使者が一回訪問しただけで、ミトンの町から撤退すると思っているのか?」

「それは・・・・・・国王様が交渉したから」

「余の予想では、ヒロトシは女神ミレーヌ様に交渉していたはずだ」

「その辺は想像に任せますよ」

「何が想像に任せますだ。宰相、もうヒロトシに張り合うのはやめた方がよい」

「そんな!」

「お主達の気持ちはありがたい。しかし、ヒロトシ相手では部が悪すぎる」

「ぅぐっ・・・・・・」

「とにかく、ヒロトシの指示に従って行動するしか我らにはない。それに、ヒロトシは我らを見下しているわけではない」

「ヒロトシの指示に従って、平民達の事を思って政をする」

 ローベルグの言葉に、宰相達上級貴族は渋々頭を下げたのだった。
 ヒロトシは、国王ローベルグに聖教国と交渉してくれた事に、お礼を言って後にした。
 そして、ローベルグは王都に幸運の龍が戻って来たことを公式に発表した。この事は、ローベルグが町の問題を解決し、ヒロトシを説得できたとして更に支持率が上がった。

「聞きたか?」
「ああ。さすが国王様だよな。貴族様の不正を積極的に取り締まり、遂に幸運の龍を連れ戻したんだからな」
「あたし、サンライトに行ってきたよ」
「どうだった?」
「それがドラゴンって言っても、小さくてモフモフで本当に可愛いの」
「へえ。俺も早くサンライトに行ってみたいな」
「だな。俺も行ってみるか」

 幸運の龍は、王都の名所の一つとなった。そしてこの公式発表をした時、ローベルグは貴族達に口を酸っぱくして忠告した。

「皆の者に告ぐ!幸運の龍が王都に戻った。これで半年もすれば、この地は徐々に元に戻るだろう。しかし、この地が元に戻っても今までのように、この地に住む者の為に人力を尽くせ」

「「「「「「はっ!」」」」」」

「決して、平民達を不当な扱いをせぬように!上級貴族は下級貴族とちゃんと話し合い評価せよ。絶対に裏の取引をするな」

「「「「「はい!」」」」」

 賄賂での昇進が発覚した場合、王都が終わる事を説明した。
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