上 下
251 / 347
第6章 研磨という職

50話 女神ミレーヌと相談

しおりを挟む
 ヒロトシが、天界に来てミレーヌと話して今後の事を説明していた。

「な、なるほど!そういう事をしてくれるつもりだったのですね」

「まぁ、ミトンの町からは聖教国の教会はなくなってしまうけどな」

「まぁ、ミトンの町だけだし大丈夫でしょう」

「ああ。頑張って見るよ。マリアさん達には申し訳ないが、ミトンの町にいても危ないから撤退してもらいます」

「ヒロトシ様は、教会関係者達の心配じゃなく、ミトンの町の人達の心配ですね」

「まぁ、それは当たり前だな」

「あの、ヒロトシさん」

 ヒロトシが女神ミレーヌと今後の事を話していたら、ジェシカが話に入ってきた。

「どうしました?」

「個人的な事なのですが、王都の事です。ローベルグに力を貸してあげてもらえないでしょうか?」

 ジェシカは、冒険者だった頃にローベルグと同じパーティーの仲間である。
 王都は、賄賂で国民が大変な思いをして、ヒロトシに愛想をつかされたと思っており、今は枯れた土地と改革で大変な事になっていた。

 その事が、ジェシカは気になっていたのだった。やはり、昔の仲間の事が心配だったので、ヒロトシにお願いをしたのだった。

「大丈夫ですよ。報告によればローベルグ様はいろんな改革をしているみたいですしね」

「しかし、王都の土地は前のような豊穣の土地ではなくなってしまってます」

「だからこそ、王族や貴族が自分の保身に走らなければいいんですよ。賄賂で私腹を肥やすなんてもっての他ですよ」

「じゃあ、ヒロトシさんは王都の事はこのまま放っておくつもりですか?」

「そんな事はしないよ」

「本当ですか?」

「ああ。それは約束するよ。今、悪徳商人や貴族の賄賂を積極的に取り締まっているのは確かだ。今まで王国が目をつむっていた事を取り締まって、平民達に還元されているのは確かだからね」

「それなら良かったです」

「心配させて申し訳ないね。王都にはサンライトの2号店もあるから大丈夫だよ」

 ジェシカの心配は杞憂に終わった。ヒロトシは王都の事をちゃんと考えていた。
 ヒロトシはいつも思っていた。国の権力者達はいつも、自分がやらないといけない事を後回しにして
厄介事を丸投げしたり、おいしいところだけをとって、都合が悪くなれば都合の良い事言ってうやむやにしてしまうのだ。
 それなら、多少でも強引な手を使い危機感を募りやらないと権力者自身が自滅すると思い込ませる事にしたのだ。

「なるほど!王族に危機感を持たせたのですね」

「まぁ、俺からしたらこんな事にならないと動かない王族ってどうかと思うんだけどな」

「それでも、ヒロトシ様のおかげで平民達が感謝をして、ミトンの町では教会よりヒロトシ様の人気が高いことが分かりましたからね」

「まぁ、これもミレーヌさんの幼なじみですよ」

「私は何もしてませんよ。今までヒロトシ様が平民達の事を考えていたからです」

「いやいや、ミレーヌさんが俺に研磨スキルと道具召喚を与えてくれて、独占企業にしてくれたからだよ」

「それはあるかもしれませんが、それを扱うのはヒロトシ様ですよ。良い物を活かすのも殺すのもその人次第です」

「そう言ってくれて嬉しいです」

「いえいえ。そろそろ時間のようですね。ミトンの町は頼みましたよ。聖教国の方は私に任せてください」

「はい。ミトンの町を撤退する聖職者達は任せますよ。それだけは気になっていましたから」

「本当にヒロトシ様は優しい人ですね。平民達から人気があるのがわかります。それではよろしくお願いいたします」

「ヒロトシさん。王都の方もよろしくお願いいたします」

「わかった!任せておけ」

「「ありがとうございます」」

 そう言ったところで、ヒロトシの姿が天界から消えたのだった。

「ご主人様、熱心にお祈りご苦労様です」

「ああ。やっぱり、ミレーヌ様は下界の事を見てくれていたよ」

「そうですか。それは良かったです。あたしも後ろめたくないよう頑張って生きたいですね」

「お前達は、十分町の治安の為になっているから安心してもいいよ」

「なら嬉しいですね」

 ヒロトシの護衛として、一緒に行動していたミランダは笑顔となった。ミランダ達は、シュガーの村で魔の森の捜索や訓練の他、ミトンの町の護衛もシルフォードの兵士達と一緒にやっていた。
 その為、ミランダはもちろん、ミルデンス達も奴隷の立場ではあるが、主人のヒロトシがいなくとも自由に町の治安を守っていた。
 
 そして、ミランダはヒロトシに教会の事を報告した。

「シルフォード様が教会の関係者達に、損害賠償として教会を開け渡す手続きをとってくれたそうです」

「そうか」

「それと同時に、シルフォード様が王国に今回の事を報告して、ロドン王国から聖教国に正式に苦情を申し入れたそうです」

「わかった。じゃあ教会に行くか」

「はい。しかし、ご主人様お聞きしたいのですがよろしいですか?」

「なんか気になることがあるのか?」

「ええ。今更、聖教国の教会を手に入れてどうするのですか?」

「そりゃ、今回の事で教会に不信感を持った人も少なくないから、女神様は何も関係はないと思ってもらわないといけないだろ?」

「だったらご主人様が、聖教国に協力した方が早かったのでは?」

「聖教国の為に動く必要はないだろ?俺はあくまでもミレーヌ様の為に動くんだよ」

「な、なるほど!」

「さてと、これから忙しくなるぞ」

「はい!」

 ヒロトシは、聖職者達に会い教会を手に入れてしまった。そして、教会のイメージを回復する為に動き出したのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

 社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依
ファンタジー
 山本優(やまもとまさる)45歳はブラック企業に勤め、 残業、休日出勤は当たり前で、連続出勤30日目にして 遂に過労死をしてしまい、女神に異世界転移をはたす。  そして、あまりな強大な力を得て、貴族達にその身柄を 拘束させられ、地球のように束縛をされそうになり、 町から逃げ出すところから始まる。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

完結【清】ご都合主義で生きてます。-空間を切り取り、思ったものを創り出す。これで異世界は楽勝です-

ジェルミ
ファンタジー
社畜の村野玲奈(むらの れな)は23歳で過労死をした。 第二の人生を女神代行に誘われ異世界に転移する。 スキルは剣豪、大魔導士を提案されるが、転移してみないと役に立つのか分からない。 迷っていると想像したことを実現できる『創生魔法』を提案される。 空間を切り取り収納できる『空間魔法』。 思ったものを創り出すことができ『創生魔法』。 少女は冒険者として覇道を歩むのか、それとも魔道具師としてひっそり生きるのか? 『創生魔法』で便利な物を創り富を得ていく少女の物語。 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※カクヨム様にも掲載中です。

異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依
ファンタジー
主人公 山道賢治(やまみちけんじ)の通う学校で虐めが横行 そのいじめを止めようと口を出した瞬間反対に殴られ、後頭部を打ち 死亡。そして地球の女神に呼ばれもう一つの地球(ガイアース)剣と魔法の世界 異世界転移し異世界で自由に楽しく生きる物語。 ゆっくり楽しんで書いていけるといいなあとおもっています。 更新はとりあえず毎日PM8時で月曜日に時々休暇とさせてもおうと思っています。 星マークがついている話はエッチな話になっているので苦手な方は注意してくださいね。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...