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第6章 研磨という職
44話 聖教国所属の教会
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子供達は、その日の給金を孤児院の責任者に渡した。この事に驚いた孤児院の責任者や教会の神父やシスターは、次の日ヒ美研にやってきた。
「ヒロトシ様、子供達に給金を渡したと聞き、これは本当ですか?」
「そりゃ、子供達には養鶏場で鶏の世話をしてもらいこちらは助かったんだ。働いてもらったんだから給金を払わないのは違うだろ?」
「しかし、ヒロトシの手伝いをする対価として、子供達手に職をつけてもらう条件だったのに」
「それは違うよ。子供達は日頃ギルドで依頼を受けてその依頼料を孤児院に渡していた。孤児院の役に立とうとしていただろ?」
「それはそうですが・・・・・・」
「だったら、子供達が1日働いた報酬を払うのは当たり前です」
「でも、それだとヒロトシ様はタダで子供達に職を斡旋する形になるのでは?」
「そんなことはないよ。これは先行投資だ。子供達が育てば、俺にとってありがたい事だからな」
「先行投資?」
「ああ、そうだよ。子供達が冒険者になれば、装備品の事で世話になるだろうし、生産者になれば依頼を受けてもらえるだろう?」
「な、なるほど」
「人は一人でやれることは限られているからな。助け合いながらが一番だよ」
ヒロトシの意見を聞いた孤児院の責任者達は、ヒロトシがやれることは限られているからと言って、苦笑いを浮かべたのだった。
「なんだよ。そのぎこちない笑いは・・・・・・」
「旦那様、旦那様がやれることは限られているからと言っても説得力がないですよ」
セバスはヒロトシに呆れながらツッコミをいれたのだった。
「まぁ、ヒロトシ様の好意はありがたく受けさせていただきます。本当にありがとうございます」
そう言って、孤児院の責任者達は帰っていった。そして、ヒロトシは自分の仕事に戻った。
数日後、ヒロトシはミランダを連れて教会に来ていた。
「これはヒロトシ様。どうしてこのような場所に来られて?」
「ちょっとここが気になってね」
「わたくし達の上司がご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。それで子供達はどうしていますか?」
「ああ、元気に将来の目標を立てて頑張っているから心配しなくても大丈夫だ」
ヒロトシはミランダと、聖教国所属の教会に訪問していた。そして、今はいない上司達に代わって教会の信頼を取り戻そうと、奮闘しているシスターに話をしていた。
聖教国所属の教会は、全ての聖職者が悪いわけではない。スラムの子供達を保護した時、子供達の待遇をよくしてほしいと、上司に訴えていたのはブカニあたるシスターや神父達だった。
しかし、上司の命令は絶対だった為逆らう事が出来ず、歯がゆいおもいをしていた。
なので、司祭や聖騎士達が逮捕され、子供達眼ヒロトシの孤児院に保護された時、一番喜んだのがここで奮闘をしている聖職者達だった。
ここで疑問に思う事は、聖職者達が罪に問われなかった事だと思う。
実は、聖職者を庇ったのは、スラムの子供達だったからだ。
シスターや神父達は、子供達に謝りながら自分達の食事を与えたり、内職を意図的にノルマを減らし、子供達を庇っていたことを証言したことにあった。
「しかし、この状況はやばいんじゃないか?」
「それもしょうがありません。上司達がやった事は子供達を利用した不正需給です。町の人達の税金を自分達の為にかすめ取ったのですから」
「だが、信頼を取り戻そうとしても今は無理だろ?」
「はい・・・・・・」
シスターが教会を掃除していたのは、心ない者による落書きだった。本来なら神罰があたる行為として取り締まる犯罪だが、今回の事で兵士も積極的に動いてくれていなかったようだ。
しかし、聖教国所属の教会を否定する人間もいたが、やはり教会に世話になった人間の数多くいたのも事実で、一緒に落書きを消してくれる人間もいたのだった。
「ヒロトシ様、この落書きを消してくれませんか?」
ヒロトシは、クリーンの魔法を唱えて壁一面の落書きを消してしまった。聖職者達もクリーンが唱えてることができるが、ヒロトシのように一発で壁一面の落書きを消す事はできなかった。
「ありがとうございます」
「いや、かまわないよ。それにしてもこういう嫌がらせはなんとかしないとな」
「しかし、今は聖騎士達もいないし、ガードできる人間がいないので耐えるしかないのです」
神父達は、もうすぐ本国から新たな上司がやって来ると思い、今を頑張っていた。
しかし、本国の聖教国も出張してくれる上役を探していたが、誰も承諾してくれなかったのだ。
「でも、本国から新たな上司がやって来ると思います」
「もっと必死に要求した方がいいよ。このままでは上役がやって来るのは数年単位で来ないと思う」
「そんなはずはないと思います」
「まぁ、俺が上役の立場なら断ると思うよ」
「ですが、この町は今や王国領では代表となる大きな町ですよ」
「それはそうだが、今やこの町で聖教国の教会のイメージは最悪と言っても過言じゃない。そんな町へ出向したい上司は栄転じゃなく左遷だよ」
「あっ・・・・・・」
「だから、貴方達は本国に必死に訴えて上役を要求した方がいい」
「た、たしかに・・・・・・」
ヒロトシは、神父達に今の状況を説明して、危機感を煽ったのだった。
「ヒロトシ様、子供達に給金を渡したと聞き、これは本当ですか?」
「そりゃ、子供達には養鶏場で鶏の世話をしてもらいこちらは助かったんだ。働いてもらったんだから給金を払わないのは違うだろ?」
「しかし、ヒロトシの手伝いをする対価として、子供達手に職をつけてもらう条件だったのに」
「それは違うよ。子供達は日頃ギルドで依頼を受けてその依頼料を孤児院に渡していた。孤児院の役に立とうとしていただろ?」
「それはそうですが・・・・・・」
「だったら、子供達が1日働いた報酬を払うのは当たり前です」
「でも、それだとヒロトシ様はタダで子供達に職を斡旋する形になるのでは?」
「そんなことはないよ。これは先行投資だ。子供達が育てば、俺にとってありがたい事だからな」
「先行投資?」
「ああ、そうだよ。子供達が冒険者になれば、装備品の事で世話になるだろうし、生産者になれば依頼を受けてもらえるだろう?」
「な、なるほど」
「人は一人でやれることは限られているからな。助け合いながらが一番だよ」
ヒロトシの意見を聞いた孤児院の責任者達は、ヒロトシがやれることは限られているからと言って、苦笑いを浮かべたのだった。
「なんだよ。そのぎこちない笑いは・・・・・・」
「旦那様、旦那様がやれることは限られているからと言っても説得力がないですよ」
セバスはヒロトシに呆れながらツッコミをいれたのだった。
「まぁ、ヒロトシ様の好意はありがたく受けさせていただきます。本当にありがとうございます」
そう言って、孤児院の責任者達は帰っていった。そして、ヒロトシは自分の仕事に戻った。
数日後、ヒロトシはミランダを連れて教会に来ていた。
「これはヒロトシ様。どうしてこのような場所に来られて?」
「ちょっとここが気になってね」
「わたくし達の上司がご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。それで子供達はどうしていますか?」
「ああ、元気に将来の目標を立てて頑張っているから心配しなくても大丈夫だ」
ヒロトシはミランダと、聖教国所属の教会に訪問していた。そして、今はいない上司達に代わって教会の信頼を取り戻そうと、奮闘しているシスターに話をしていた。
聖教国所属の教会は、全ての聖職者が悪いわけではない。スラムの子供達を保護した時、子供達の待遇をよくしてほしいと、上司に訴えていたのはブカニあたるシスターや神父達だった。
しかし、上司の命令は絶対だった為逆らう事が出来ず、歯がゆいおもいをしていた。
なので、司祭や聖騎士達が逮捕され、子供達眼ヒロトシの孤児院に保護された時、一番喜んだのがここで奮闘をしている聖職者達だった。
ここで疑問に思う事は、聖職者達が罪に問われなかった事だと思う。
実は、聖職者を庇ったのは、スラムの子供達だったからだ。
シスターや神父達は、子供達に謝りながら自分達の食事を与えたり、内職を意図的にノルマを減らし、子供達を庇っていたことを証言したことにあった。
「しかし、この状況はやばいんじゃないか?」
「それもしょうがありません。上司達がやった事は子供達を利用した不正需給です。町の人達の税金を自分達の為にかすめ取ったのですから」
「だが、信頼を取り戻そうとしても今は無理だろ?」
「はい・・・・・・」
シスターが教会を掃除していたのは、心ない者による落書きだった。本来なら神罰があたる行為として取り締まる犯罪だが、今回の事で兵士も積極的に動いてくれていなかったようだ。
しかし、聖教国所属の教会を否定する人間もいたが、やはり教会に世話になった人間の数多くいたのも事実で、一緒に落書きを消してくれる人間もいたのだった。
「ヒロトシ様、この落書きを消してくれませんか?」
ヒロトシは、クリーンの魔法を唱えて壁一面の落書きを消してしまった。聖職者達もクリーンが唱えてることができるが、ヒロトシのように一発で壁一面の落書きを消す事はできなかった。
「ありがとうございます」
「いや、かまわないよ。それにしてもこういう嫌がらせはなんとかしないとな」
「しかし、今は聖騎士達もいないし、ガードできる人間がいないので耐えるしかないのです」
神父達は、もうすぐ本国から新たな上司がやって来ると思い、今を頑張っていた。
しかし、本国の聖教国も出張してくれる上役を探していたが、誰も承諾してくれなかったのだ。
「でも、本国から新たな上司がやって来ると思います」
「もっと必死に要求した方がいいよ。このままでは上役がやって来るのは数年単位で来ないと思う」
「そんなはずはないと思います」
「まぁ、俺が上役の立場なら断ると思うよ」
「ですが、この町は今や王国領では代表となる大きな町ですよ」
「それはそうだが、今やこの町で聖教国の教会のイメージは最悪と言っても過言じゃない。そんな町へ出向したい上司は栄転じゃなく左遷だよ」
「あっ・・・・・・」
「だから、貴方達は本国に必死に訴えて上役を要求した方がいい」
「た、たしかに・・・・・・」
ヒロトシは、神父達に今の状況を説明して、危機感を煽ったのだった。
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