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第6章 研磨という職

20話 サンライトにも迫る高騰の被害

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 ヒロトシは、1週間に一度のペースで王都に出向き2号店の様子を確認していた。もう毎日王都に顔を出す必要はないと判断したのだった。ミトンの町では、研磨業務がより忙しくなっていたのも、その要因の一つだった。

 そんな時、王都ではローベルグ達王族は緊急会議を開いていた。貴族達の賄賂についてのことだった。そして、ヒロトシがハボリムに報告した神官と貴族の詐欺行為についてのことだった。

 ローベルグは、それを聞きすぐに諜報部隊を送り証拠を集めると、とんでもない事が起こっていた。信者となっていた被害者は札やアミュレットを購入させられ借金をつくらされており、その借金返済のために麻薬草を密輸させられていた。

「今日はこれだけしか見つけることが出来ませんでした……」

「おいおい!約束の本数は50本だったはずだぞ?見つかるまで帰ってくんじゃねえ!借金返す気があるのか?」

「日が暮れてから、森をうろつくと魔物が活発化するのでしょうがなかったので……」

「そうか、じゃあ奴隷に落ちるか?せっかく奴隷に落とさず、借金返済させてやろうと言う旦那様の気持ちを踏みにじりやがって!」

「す、すいません!明日は必ずもっと採取してきます」

「本当だろうな?」

「はい!」

「じゃあ、今日は勘弁しておいてやる!今日の駄賃だ!受け取れ」

 冒険者風の男は100ゴールドを渡されたのだった。100ゴールドしか貰えなかった男は、酒場で満足に食べる事も出来ず、町でリンゴを3個買って飢えをしのいだ。

「くっそお……こんなんじゃ腹の足しにもならねえ」

 当然宿屋に泊まる金もなく、町の広場で野宿して過ごす事になった。ある者は、恋人や子供を人質に取られていた者もいた。大事な人間が奴隷に落とされるかもしれないと思ったら逃げることもできず、必至に麻薬草を森の中で集めていた。

 こういう事をする貴族は下級貴族達ばかりだった。早く昇進し、準男爵から男爵に、そして子爵にあがり土地を貰い領主になる為である。
 男爵の地位にあっても土地を貰い領主となっている貴族もいるが、そう言った貴族は親が功績を残し貰った土地を受け継いだ貴族である。

 そして、昇進するには自分の上司に気に入ってもらう必要があるため、賄賂を贈るのである。仕事が出来るよりゴマを擦った方が早いのだ。要は、まじめに働いた貴族が損をする構図が出来上がってしまっていた。

「レハイン様、少し耳に入れたいことが……」

「なんだ?」

「レッシュの奴がこういうミスをしまして……それに何人ものの職員の女性にいいよっているのです」

「それは本当か?」

「ええ。女性達も迷惑をしていると、私に相談をしてきてどうしたらよろしいでしょうか?」

「すぐにレッシュを呼んでくるのだ!」

「はっ!わかりました」

 こうして、真面目に仕事をしている貴族は地方に左遷されてしまうのである。上司のレハインの周りには、自分が可愛がっている部下だけで構成されて、その部下達からは賄賂が届くのだ。
 そして、レハインは昇進時期になると、その賄賂を使ってさらに昇進し自分の席を、より多く賄賂を贈った部下に譲ることになる。



 この報告を受けたローベルグは、唖然となりその場に固まってしまった。ヒロトシが言ったように、平民が犠牲のうえに貴族達は私腹を肥やしていた。

「これはどうすれば……」

 ローベルグ達はこういう貴族達を次々に取り締まった。そして、人材が無くなる事を恐れて、ブロッケン家のような対処をしたのである。

 すると、今度は自分は知らなかったと、部下のせいにして責任を全て部下のせいにしだしたのである。つまり、平民の中でも計算や文字をかける者を雇い、その人間に圧力をかけて言いなりにした。

 貴族から指示をされたら、それが横領だと分かっていても、言いなりになるしかなかったのだ。逆らうと不敬罪と言われれば従うしかなかったのだ。
 そして、その捜査の手が伸びると、貴族達は自分達がやったのではないと証言する。確かに直接手を出していたのは、雇われていた平民達なのだ。そうなれば逮捕されるのは貴族達ではなく平民である。



 1年が過ぎて、王都はとんでもない町となっていた。頭のいい住民は王都から離れだしていた。

「ご主人様……申し訳ありません」
「ごめんなさい……」

 ヒロトシに謝罪していたのはナミとララだった。2号店の店長を任されていたのだが、店の売り上げが芳しくなかったからだ。

「そんな謝る必要はないよ。平民達が犠牲になりつつある王都で、平民達に余裕があるはずがないからな」

「余裕ですか?」

「ああ。特にサンライトではスイーツとお茶を提供する店だ。生活に余裕があって、最後にその余裕で楽しむ場所だろ?」

「はい……」

「今は貴族達が賄賂や横領が横行しているんだ。そのしわ寄せが全部、平民に重くのしかかっているんだぞ?そんな事でお茶やスイーツを楽しめるわけないじゃないか」

 王都では、貴族がやりたい放題していた。ローベルグも必死に取り締まっていたが、塩が高沸したり綿花が取れなくなってきて糸の生産が停まったり、平民の生活を直撃していたのだ。

 そんな時、サンライトではお茶の取引が今の値段では無理という事になり、3度目の値段を上げてほしいと、お茶を取り扱っている店から要望があった。

「ちょっと待ってください。値段をあげられたらうちも困ります。小麦も値段が上がりそこにお茶まで言われたら、サンライトはやっていけなくなります」

「申し訳ありません……うちも頑張ってやってきたのですが、これ以上は……うちもやっていけないのです」

「それでは取引は中止させてください」

「そ、そんな!待ってください……サンライトに切られたらうちは倒産してしまいます」

「うちもギリギリで頑張っているのです。今までお世話になっていたので2度の値上げは目をつむりましたが、3度目となるとうちもやっていけません」

「しかし、サンライトではこのご時世でも値上げをしていませんよね?お客も減ってきたとはいえ、他の店に比べれば少しぐらい商品の値上げを……」

「うちの店では、お客様が日々の生活で疲れた体を癒してもらいたい為に、営業させてもらっています。それなのに値上げとなれば、お客様が気軽利用できなくなります。商品の値上げは、オーナーであるヒロトシ様も望んでおりません」

「しかし、取引が中止となれば店の営業も出来なくなるのでは?」

「お客様にそんな無理をさせてまで店に来てほしくはありません。営業できるようにこちらで考えます」

 お客が少なくなってきているとはいえ、王都でもその売り上げはあるのがサンライトである。それに、輸送費がかからない事を知っているのはローベルグ達ぐらいなのだ。その為サンライトではいくらでもやり用はあるのである。

「うちを切って後悔するのはそちらの方だぞ?」

「ようやく本当の顔を見せましたね」

「その余裕どこから来るのか分からぬが、王都のお茶はうちが取り仕切っているんだ。後日、頭を下げに来てももう遅いぞ」

「そうですか?そちらがそうならない事を祈りますよ」

「くっ……口の減らない奴隷が!」

 そういって、お茶の業者は帰っていってしまった。

「ナミ?ようやく帰ったか?」

「ご主人様、あの業者はやはり貴族と繋がっていたようです」

「やはりか……短期間で2度も値上げをしてくるから、シアン達に調べさせたらバックに貴族がいたよ」

「それで、その貴族は訴えるのですか?」

「いや、放っておいたらいいよ。俺はもう口出しはしないと決めたからね」

「よろしいのですか?それと小麦の方も値上げが決まって……」

「小麦業者の方は大丈夫みたいだよ。バックに貴族はいないみたいだ。もう一度値上げを要望してきても、取引に応じてくれ」

「わかりました。それでお茶はどうすれば?」

「それは、ミトンの町の業者に大量発注するから大丈夫だよ」

「なるほど!1号店のお茶の業者に」

「そういうこと。業者も大量発注したら喜ぶはずだしね」

 サンライトから、お茶の発注を断られた王都の業者は頭を抱える事になる。お茶は貴族達が楽しむために自宅でお茶会をしていたが、今ではサンライトに来てお茶会を楽しんでいたからだ。
 スイーツもあり、王都の貴族婦人たちはこの場所で楽しんでいた。それと、平民の間でも、お手軽に楽しめると好評だったのだ。

 そこに目をつけた貴族はお茶の組合を作らせ、販売させたのだった。つまり個人ではなくサンライトのようなお店は、組合を通して購入する仕組みをつくったのだ。

「くかかかかか!サンライトめ。大きな口を叩いた事を後悔させてやる」
「そうだな、あの店を運営するお茶の量をどこから仕入れるつもりだか……」
「行商人はこちらで確保しているのに馬鹿な奴らだ」
「たしかに、冒険者に自生しているお茶を持ってこさせても、個人で楽しむ量しかとれませんものね」
「そういうことだ!」

 しかし、次の日からもサンライトは通常業務を続けていた。そればかりか、持ち帰り用の王都には無い珍しいお茶まで販売を始めたのだった。最初は在庫を放出していると思っていたのに、在庫が切れる事は一向になかったのだ。
 これには王都の業者が焦り始めたのだ。お茶を一手に取り仕切る為、行商人から安くお茶を買い占めているのである。それを高い値で売る算段が全て崩れ去ることになった。




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