352 / 361
第8章 人類の厄災
44話 大魔王スルトと死聖獣
しおりを挟む
ズドンと大きな地響きを立てて倒れるガウディ。
「やっと倒れたか」
「みんなよく頑張ったね」
「マルク、ケルベロスに燃やされた時は焦ったわ。大丈夫なの?」
シオン達がマルクにすぐさま駆け寄ってくる。
「うん。大丈夫だよ。この羽根がある限りそう簡単にはくたばらないよ。それよりクレア、ケルベロスの解体よろしくね」
「わかっているわ。こんだけ巨体なので時間がかかるわよ」
クレアはそう言って、ケルベロスの真ん中の首から器用にナイフを扱い牙を抜き取る。マルクは、シオン達に周りを警戒させるのだった。
『なかなかやるではないか!』
魔王スルトは、こめかみをピクピクさせながらこの状況を見ていた。その様子に側近にいた悪魔達は震えあがる。
《《《だ、大魔王》》》
『誰が発言を許した?』
《ち、違うので、ギャアアアアアアアア!》
その悪魔は真っ暗な毛並みの犬の獣人の姿をしている。誰が見てもガウディの部下のように察する事が出来るだろう。
『貴様達の頭は人間すら満足に殺せないみたいだな』
《《《違うのであります》》》
《ガウディの奴は下等生物と侮っただけで、私共なら必ずや大魔王の期待に応えてみせます》
『ほぅ。それは面白い。ガウディより弱いお前達がどのようにだ?』
《《《そ、それは・・・・・・》》》
『なぁ?お前達このような状況どこかで見なかったか?』
《へっ?》
ガウディの部下達は顔を青ざめる。周りにいるガウディの部下じゃない悪魔達もまた同様に、顔が真っ青になり直立不動になりながらも、足がガクガクと震えている。
『へっ?じゃない。この状況をどこかで見なかったか?と聞いている。答えよ』
大魔王スルトの声は、静かながらもその迫力はガウディの部下の体を震え上がらせた。
《申し訳ありません!我等がガウディの汚名を張らせてみせます。どうか御慈悲を!》
『我の部下に無能は要らぬ!』
《《《ギッ》》》
そう言って大魔王スルトは、土下座するガウディの部下達を睨んだ。その瞬間、ガウディの部下達は絶叫をあげる間も無く潰れて絶命してしまった。
《《《ひっ》》》
周りにいるガウディの部下以外の悪魔達は小さな悲鳴をあげる。
『無能は我の為の餌でしか役に立たぬな』
そう言って大魔王スルトは、もう形がなくなった悪魔達の残骸に手のひらを広げる。大魔王スルトは念動力を悪魔達の残骸にかけると悪魔達の死骸が宙に浮かび、大魔王スルトが拳を握ると悪魔達の死骸は一つの肉塊の玉なった。
『無能共ではこの程度の魔力にしかならぬか』
魔王スルトはニヤリと笑いながらその魔力の玉を食べてしまった。
『さて、次は誰があの人間を始末するんだ?』
『死聖獣が一人このダガリスがあの人間を始末してみせましょう』
『ぬしが行くというのか?』
名乗りをあげたのは、死聖獣の位につくダガリスという、漆黒の肌を持ち頭からはドラゴンのような立派な角を生やし、体型もグラマーな女性だ。
『必ずや大魔王スルト様にご満足できる結果をお約束いたします』
『お前のいうご満足できる結果というのはどうでもよい』
『えっ?』
『人間など我の前に立つ事も不可能だからな。要はお前達が我をどれだけ楽しませるかだけだ』
魔王スルトにとって、死聖獣の位につくガウディやダガリスは只の駒の一つに過ぎない。信頼関係など無く、大魔王スルトにとってダガリスも餌でしかない。
『はっ!大魔王スルト様を楽しませるよう努力いたします。それでは早速・・・・・・』
『あ~~~~~ちょっと待て』
『何かございましたか?』
『シラー、お前も一緒に行くがよい』
『大魔王スルト様。人間など私一人で十分でございます』
『ほぅ。お前は我に意見するのだな?』
『い、いえ・・・・・・そういうつもり・・・・・では・・・・・・』
『お前は自分の立場をわかっているのか?』
『ギャアアアアアアアア!大魔王スルト様申し訳ありません!』
大魔王スルトはダガリスに手のひらを向けると、ダガリスは身動きが出来ず宙に浮かびその場で拘束される。そして、ダガリスの肉体は縮み始める。
『だ、大魔王様ぁ!お許しください!わ、私が悪うございましたぁ!』
大魔王スルトは、ダガリスがだんだん縮み始めるのを見てニヤリと不気味に笑う。
『自分の立場がわかったか?』
『は、はい!私は大魔王スルト様の駒です。だ、だからお許しください!』
ダガリスは抵抗すら出来ず、肉体はミシミシと嫌な音がなる。目鼻耳からは血が溢れ死を覚悟するしかなかった。
『だ、大魔王様ぁ!お許しを~~~~~~~!』
ダガリスは渾身の力で、大魔王スルトに謝罪の言葉を叫ぶ。その必死に叫ぶダガリスを見た大魔王スルトは、ダガリスの姿を笑い念動力を止めた。
『グハハハハハハハ!ダガリスよ。面白い!面白かったぞ。その姿に免じて許してつかわそう』
念動力を止められたダガリスは、ストンと床に力無く落ちた。
『許してやろうと言うのだ。返事をせぬか。それともこのまま死にたいのか?』
大魔王スルトは、動く事もままならないダガリスに返事を求める。すると、ダガリスは残った体力を使い、土下座をして小さな声で感謝の意をとなえた。
『大魔王スルト様、愚かなるこのダガリスをお許しいただき感謝でしかありません。ありがとうございます』
『そうかそうか。そんなに嬉しいか。なら、さっさとシラーと共に人間を八つ裂きにしてこい!』
その大魔王の言葉に、シラーはダガリスの肩を支えながら、大魔王スルトに一礼をして大広間から退室するのだった。
「やっと倒れたか」
「みんなよく頑張ったね」
「マルク、ケルベロスに燃やされた時は焦ったわ。大丈夫なの?」
シオン達がマルクにすぐさま駆け寄ってくる。
「うん。大丈夫だよ。この羽根がある限りそう簡単にはくたばらないよ。それよりクレア、ケルベロスの解体よろしくね」
「わかっているわ。こんだけ巨体なので時間がかかるわよ」
クレアはそう言って、ケルベロスの真ん中の首から器用にナイフを扱い牙を抜き取る。マルクは、シオン達に周りを警戒させるのだった。
『なかなかやるではないか!』
魔王スルトは、こめかみをピクピクさせながらこの状況を見ていた。その様子に側近にいた悪魔達は震えあがる。
《《《だ、大魔王》》》
『誰が発言を許した?』
《ち、違うので、ギャアアアアアアアア!》
その悪魔は真っ暗な毛並みの犬の獣人の姿をしている。誰が見てもガウディの部下のように察する事が出来るだろう。
『貴様達の頭は人間すら満足に殺せないみたいだな』
《《《違うのであります》》》
《ガウディの奴は下等生物と侮っただけで、私共なら必ずや大魔王の期待に応えてみせます》
『ほぅ。それは面白い。ガウディより弱いお前達がどのようにだ?』
《《《そ、それは・・・・・・》》》
『なぁ?お前達このような状況どこかで見なかったか?』
《へっ?》
ガウディの部下達は顔を青ざめる。周りにいるガウディの部下じゃない悪魔達もまた同様に、顔が真っ青になり直立不動になりながらも、足がガクガクと震えている。
『へっ?じゃない。この状況をどこかで見なかったか?と聞いている。答えよ』
大魔王スルトの声は、静かながらもその迫力はガウディの部下の体を震え上がらせた。
《申し訳ありません!我等がガウディの汚名を張らせてみせます。どうか御慈悲を!》
『我の部下に無能は要らぬ!』
《《《ギッ》》》
そう言って大魔王スルトは、土下座するガウディの部下達を睨んだ。その瞬間、ガウディの部下達は絶叫をあげる間も無く潰れて絶命してしまった。
《《《ひっ》》》
周りにいるガウディの部下以外の悪魔達は小さな悲鳴をあげる。
『無能は我の為の餌でしか役に立たぬな』
そう言って大魔王スルトは、もう形がなくなった悪魔達の残骸に手のひらを広げる。大魔王スルトは念動力を悪魔達の残骸にかけると悪魔達の死骸が宙に浮かび、大魔王スルトが拳を握ると悪魔達の死骸は一つの肉塊の玉なった。
『無能共ではこの程度の魔力にしかならぬか』
魔王スルトはニヤリと笑いながらその魔力の玉を食べてしまった。
『さて、次は誰があの人間を始末するんだ?』
『死聖獣が一人このダガリスがあの人間を始末してみせましょう』
『ぬしが行くというのか?』
名乗りをあげたのは、死聖獣の位につくダガリスという、漆黒の肌を持ち頭からはドラゴンのような立派な角を生やし、体型もグラマーな女性だ。
『必ずや大魔王スルト様にご満足できる結果をお約束いたします』
『お前のいうご満足できる結果というのはどうでもよい』
『えっ?』
『人間など我の前に立つ事も不可能だからな。要はお前達が我をどれだけ楽しませるかだけだ』
魔王スルトにとって、死聖獣の位につくガウディやダガリスは只の駒の一つに過ぎない。信頼関係など無く、大魔王スルトにとってダガリスも餌でしかない。
『はっ!大魔王スルト様を楽しませるよう努力いたします。それでは早速・・・・・・』
『あ~~~~~ちょっと待て』
『何かございましたか?』
『シラー、お前も一緒に行くがよい』
『大魔王スルト様。人間など私一人で十分でございます』
『ほぅ。お前は我に意見するのだな?』
『い、いえ・・・・・・そういうつもり・・・・・では・・・・・・』
『お前は自分の立場をわかっているのか?』
『ギャアアアアアアアア!大魔王スルト様申し訳ありません!』
大魔王スルトはダガリスに手のひらを向けると、ダガリスは身動きが出来ず宙に浮かびその場で拘束される。そして、ダガリスの肉体は縮み始める。
『だ、大魔王様ぁ!お許しください!わ、私が悪うございましたぁ!』
大魔王スルトは、ダガリスがだんだん縮み始めるのを見てニヤリと不気味に笑う。
『自分の立場がわかったか?』
『は、はい!私は大魔王スルト様の駒です。だ、だからお許しください!』
ダガリスは抵抗すら出来ず、肉体はミシミシと嫌な音がなる。目鼻耳からは血が溢れ死を覚悟するしかなかった。
『だ、大魔王様ぁ!お許しを~~~~~~~!』
ダガリスは渾身の力で、大魔王スルトに謝罪の言葉を叫ぶ。その必死に叫ぶダガリスを見た大魔王スルトは、ダガリスの姿を笑い念動力を止めた。
『グハハハハハハハ!ダガリスよ。面白い!面白かったぞ。その姿に免じて許してつかわそう』
念動力を止められたダガリスは、ストンと床に力無く落ちた。
『許してやろうと言うのだ。返事をせぬか。それともこのまま死にたいのか?』
大魔王スルトは、動く事もままならないダガリスに返事を求める。すると、ダガリスは残った体力を使い、土下座をして小さな声で感謝の意をとなえた。
『大魔王スルト様、愚かなるこのダガリスをお許しいただき感謝でしかありません。ありがとうございます』
『そうかそうか。そんなに嬉しいか。なら、さっさとシラーと共に人間を八つ裂きにしてこい!』
その大魔王の言葉に、シラーはダガリスの肩を支えながら、大魔王スルトに一礼をして大広間から退室するのだった。
50
お気に入りに追加
460
あなたにおすすめの小説
異世界転移した町民Aは普通の生活を所望します!!
コスモクイーンハート
ファンタジー
異世界転移してしまった女子高生の合田結菜はある高難度ダンジョンで一人放置されていた。そんな結菜を冒険者育成クラン《炎樹の森》の冒険者達が保護してくれる。ダンジョンの大きな狼さんをもふもふしたり、テイムしちゃったり……。
何気にチートな結菜だが、本人は普通の生活がしたかった。
本人の望み通りしばらくは普通の生活をすることができたが……。勇者に担がれて早朝に誘拐された日を境にそんな生活も終わりを告げる。
何で⁉私を誘拐してもいいことないよ⁉
何だかんだ、半分無意識にチートっぷりを炸裂しながらも己の普通の生活の(自分が自由に行動できるようにする)ために今日も元気に異世界を爆走します‼
※現代の知識活かしちゃいます‼料理と物作りで改革します‼←地球と比べてむっちゃ不便だから。
#更新は不定期になりそう
#一話だいたい2000字をめどにして書いています(長くも短くもなるかも……)
#感想お待ちしてます‼どしどしカモン‼(誹謗中傷はNGだよ?)
#頑張るので、暖かく見守ってください笑
#誤字脱字があれば指摘お願いします!
#いいなと思ったらお気に入り登録してくれると幸いです(〃∇〃)
#チートがずっとあるわけではないです。(何気なく時たまありますが……。)普通にファンタジーです。
異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
転生領主の領地開拓 -現代の日本の知識は最強でした。-
俺は俺だ
ファンタジー
今年二十歳を迎えた信楽彩生《しんらくかやせ》は突如死んでしまった。
彼は初めての就職にドキドキし過ぎて、横断歩道が赤なことに気がつかず横断歩道を渡ってしまった。
そんな彼を可哀想に思ったのか、創造神は彩生をアルマタナの世界へと転生させた。
彼は、第二の人生を楽しむと心に決めてアルマタナの世界へと旅だった。
※横読み推奨 コメントは読ませてもらっていますが、基本返信はしません。(間が空くと、読めないことがあり、返信が遅れてしまうため。)
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる