役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした！

本条蒼依

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第８章　人類の厄災

２５話　マルクの考え

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　マルクのところに、息を切らせて飛び込んできたのは、王都の屋敷を管理していたメイドのララベルだ。ララベルはセバスチャンと同じ日に、マルクに仕える奴隷で頼りになる女性である。

「ご主人様！王都が大変でございます」

「どうしたんだよ？ララベルがそんなに慌てて珍しいな」

　ララベルはマルクに言われて、一つ咳払いしてスカートの裾を直した。

「コホンッ、失礼いたしました。ご主人様、王都が大変です！ただいま、王都の北の森にアンデッド集団が出現！王国騎士団王国魔法師団が対応！冒険者ギルドは緊急召集が発令されました」

「それなら大丈夫なんじゃないのか？」

「しかし！冒険者ギルドの報告では魔王が王国を侵略始めたんじゃないかと！」

「ララベル達は屋敷からでなければ大丈夫だよ。屋敷には独自の結界を敷いているからね」

「ご主人様は王国を見捨てるおつもりですか？」

「他国の事だよ」

「そ、そんな・・・・・・」

「ララベルも知っているはずだろ？王国は帝国からの難民を自国の民じゃないと見捨てたんだよ」

「で、でも・・・・・・」

「そんなに僕に王国の介入を望むのかい？」

「確かに、大国は難民を受け入れませんでした。しかし、王国の民には関係ないではありませんか？」

「そうだね。だから、王国騎士団や魔法師団がなんとかするのが仕事だろ？」

「では、ご主人様は王都の住民を・・・・・・」

「ララベル、確かに僕は君達に王都の屋敷の管理を任せている。僕も王都の屋敷に顔はちょくちょく顔を出して、近所の住民と付き合いはあるよ」

「・・・・・・」

「ララベルも近所付き合いがあって情はあるのもわかる。しかし、今の僕が王都の人間を守るより、この町の人間を守る事の方が優先事項だよ」

「でも、今王都に迫り来る魔物の数は王都を滅亡させる勢いだと！」

「それはあくまでも予想だろ？町の公共施設に避難している人間達の噂が拡散したものだよ」

「では、ご主人様は今迫り来る魔物は防げると？」

「まあね。あのスタンピードが魔王の軍勢なら王国を攻めてる余裕はなくなるはずだよ」

「どういう事ですか？」

「僕は王国を救うつもりはないが、結果救う事になるだけだよ。シオン達も強くなったからね。ララベルは王国の民の事を心配しなくてもいいから、屋敷の管理をしっかり頼んだよ」

「ご主人様！」

　ララベルは笑顔になった。マルク達暁月の明星が大魔王討伐する事がわかった。そうなれば、王国に侵略する魔物が引く事になるのがようやく理解できたのだ。

「私ごときが、ご主人様の考えに口出しして申し訳ありませんでした」

　ララベルは、マルクに土下座で謝罪する。マルクは慌ててララベルの土下座を止めさせたのだ。

「ララベル、土下座はやめなさい」

「しかし、私は・・・・・・」

「実際、僕は王国を救うつもりじゃないと言ったはずだよ。だけど、大魔王の存在は人間界に害悪でしかないから、町を守る為に討伐するだけなんだよ。ララベルが僕に忠告したくなる気持ちはわかるよ」

「本当に申し訳ありません！」

「それに、何回も言うが謝罪する必要はないよ。魔王討伐した暁には王国には、十分すぎるほどに利用させてもらうんだからね」

「それはどういう事ですか？」

「まあ、後のお楽しみって事で！とにかく、ララベルは安心して王都にかえって屋敷を頼んだよ」

「わかりました」

　ララベルは、マルクの言う事を聞いて王都に帰るのだった。ララベルが王都にかえって三日後北の森に出現したアンデッド集団はマルクの言ったように魔の森に引き返したのだった。

「どういう事だ？」

「申し上げます！魔王城に向かう勇者が現れたそうです！」

「大魔王様の伝言では、王都の侵略は命じてはいないとの事！勇者の捜索を命じていたとご立腹と・・・・・・」

「そんな・・・・・・・私はただ・・・・・・」

　大魔王の側近は、大魔王の怒りを受けてその場に立ち尽くした。側近の部下はこのままでは不味いと思い、すぐに魔王城に帰還する事を提案した。

「デミリッチ様！このままではどうしようもありません！魔王城に帰還いたしましょう」

「しかし・・・・・・なんの成果もあげず帰還しようものなら・・・・・・」

　デミリッチは言葉を止めて考えをめぐらせた。

「いえ！デミリッチ様も気づきましたか？」

「なるほど！勇者らしき者が魔王城に向かうとあったな。それを食い止めれば！」

「はい！魔王城周辺は大魔王様の魔力の影響で歩くしかありません。十分間に合うかと！」

「うむ！全軍魔王城に帰還する！」

　デミリッチは、あれほどのアンデッド集団を一瞬で土に還した。デミリッチのアンデッド集団の秘密は低ランクのアンデッドを召還するアニメイドデッドだった。そして、高ランクアンデッド集団は、デミリッチと共に魔王城周辺に転移したのだった。
　これは魔王の部下だけが使用できる召集魔法リターンである。魔王城周辺は大魔王の魔力により、ダンジョン化されており転移魔法が使えないのだ。

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