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第8章 人類の厄災

20話 聖教国、女神の元滅亡する

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 聖教国の各町に、聖なる雲が立ち込めていた。しかし、聖なる雰囲気の雲だがその様相は雷鳴り響きまったく穏やかではない。その雲から、女神クローディアの姿が現れたのだから、聖教国の住民達は女神の巨大な影だけだが、その神々しい雰囲気に感動しまた雷の恐怖におののき、手を合わせ膝をつきお祈りをしていた。

「女神様がお怒りじゃ!」
「何をそんなにお怒りなんだ」
「教会にお祈りすると暖かい雰囲気に包まれるのに何をそんなにお怒り?」
「誰かが女神様を起こらせたのじゃ」

 聖教国の各町や村では、雷が鳴り響く雲から降臨した女神クローディアの姿を見て必死でお祈りをした。この事は当然聖都でも起こっていて、傷の手当てを済ました教皇も女神の巨大な影に顔を青くして見ていた。

「教皇に告ぐ。すぐに外に出てきなさい。なぜ、聖女を殺害したのですか?」

 この女神の言葉に、聖教国の各町の住民達は騒然となる。

「教皇様が聖女様を殺害?」
「いったいどういう事だ?」
「聖女様が死んだ?殺されてしまったのか?」

「教皇!貴方は自分の保身に聖女が邪魔となり殺害しましたね」

「や、やめろぉ!でたらめをいうな!」

 女神の言葉は、聖都だけでなく聖教国全域にしらされた。教皇が顔の真っ青になりながら女神の言葉を否定するが、教皇の側にいた神官や聖騎士は教皇を不信な目でみていた。

「国のトップが、このような人間がいる国が聖教国で私の教えをするのはあり得ません!」

「わ、私は!私は聖教国の事を考えて、聖女の言う事は諸外国にも混乱を与えるものだから!」

「だから、聖女を殺したというのですか?」

「聖女は私を殺そうとしたのです。私は正当防衛でした!」

 教皇は、必死に言い訳をしていた。こんな巨大な女神が聖都中に響き渡るように言われてはどうにもならないからだ。

「愚か者!私がなにもわからないとでも思っているのですか?」

「うっ・・・・・・」

「私は聖教国を見放します」

 女神クローディアは、聖教国全域に聖教国は要らないと宣言する。その言葉に聖教国の住民はもちろん、教会にいた神官や聖騎士は騒然となる。

「「「「「「女神クローディア様!」」」」」」
「ワシ等を見捨てないでください!」
「「「「「「ごめんなさい!」」」」」」

「教皇!貴方をどうこうするつもりはありません」

「ほ、本当ですか?」

「しかし、私は聖教国が私を信仰する国だと認めません。いいですね」

「そ、それは・・・・・・」

 それを聞いた教皇は顔から冷や汗が滝のように流れた。これは神官や聖騎士から睨まれたからだ。聖教国はこれから存在する限り、女神信仰国ではなく女神から見捨てられた国になるからだ。

「女神様!私達を見捨てないでください!」

 大司教や大司祭、教会関係者の位の高い神官達は女神の影に向かって謝罪する。当然だが、聖教国の各町や村でも住民達から謝罪がされた。

「私を信仰する子供達。よく聞きなさい!私は聖教国は認めないと言ったのです」

「「「「「「えっ?」」」」」」

「いいですね。私を信仰するのに国は必要ありません。他国にも私を信仰する子供達がたくさんいるのです。わかりましたか?」

 聖教国の住民達には、女神の巨大な影からは教会でお祈りをあげている時と同じ暖かい波動が降り注いだ。しかし、教皇やそれに荷担した聖教国の中枢を担う人間達には、その暖かい波動は降り注ぐ事はなかった。

「「「「「・・・・・・」」」」」

「教皇に告ぐ。あなたは聖教国を解散させなさい!」

「そ、そんな!」

「私は聖教国は認めません!これからは聖女を中心とした信仰で国は必要ありません!」

「聖女は私が殺・・・・・・」

「私を誰だと思っているのですか?私は聖女に加護を与えて生きています」

「なっ!ば、馬鹿な!あの時確かに・・・・・・」

「よろしいですね。聖教国は認めません。新たな国を興しても絶対に繁栄する事は努々忘れぬよう!」

 女神クローディアの巨大な影は、真っ白な雲の中に消えていった。消え行くさいに女神クローディアは、自分の信者こども達に言葉を残す。

「子供達よ。私はあなた達をいつも見てますよ。私を信仰するのに国は関係ありません。あなた達個人が信じれは良いのですよ」

 聖教国の住民達は、あえて聖教国にいなくても女神は見てくれているのを教えてもらった。今までは聖教国でお祈りする事で、幸せになれると信じて疑わなかった。
 しかし、女神クローディアから直接どこで信仰しても変わらないと聞かされ、また聖教国を認めないと宣言されたとなれば、聖教国から出る選択するしかなかった。
 そして、この女神クローディアの言葉に納得できないのが、聖教国の中枢を担う人間達だ。

「ば、馬鹿な・・・・・・」
「私達が女神クローディア様から見捨てられた」
「教皇!あなたは聖女が乱心したと嘘をついていたのか?」
「私達はあなたに騙された。どう責任をとるつもりだ!」

「余は聖教国の事を考えて・・・・・・」

「考えた結果がこれか?」
「そうだ!聖教国5000年の歴史が崩壊したのだぞ!」
「教皇わかっているのか?」

 教会関係者の幹部達は教皇を責め立てたが、しかしもう後悔しても遅かった。それから1ヶ月も経たずに、聖教国は解散を発表するまでもなく滅亡してしまった。
 そして、教皇は聖教国を潰した責任を取らされ奴隷におとされた。国を潰した特級犯罪奴隷となり、教皇の人生は終わる事になった。
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