役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした ！

第７章 覚醒

５８話 ボスモンスターは元皇帝ではなかった

　元皇帝はアークデーモンを呼び出す。アークデーモンは自我を失っているようで、出現したと同時にシオンに襲いかかった

「悪魔！きゃあああ！」

　その巨体でシオンに殴り掛かりシオンは吹き飛んだ。

「ふはははははは！アークデーモンのパワーを受け流す事はできまい！」

　元皇帝は、勝利を確信して大笑いした。しかし、マルクはシオンをすぐさま回復した。

「シオン大丈夫か？」

「マルクありがと」

　シオンは召還魔法に驚いていた。まさか、アークデーモンを呼び出すとは思っていなかった。マルクから聞いて、召還魔法にはその魔物の素材、要は呼び出す為の触媒が必要になり、アークデーモンの素材はそう簡単に手に入るものではないのだ。しかし今の元皇帝には造作もない事である。

「何であなたがアークデーモンを呼び出せるのよ」

「いいだろう！死ぬ前に特別に教えてやろう！感謝して死ぬがよい！」

　元皇帝は、アークデーモンの角を５本取り出した。

「「「「「なっ！」」」」」

「出でよ！アークデーモン。サモンアークデーモン！」

　元皇帝は、アークデーモンを５体も呼び出した。これはマルクも驚愕した。

「ふはははははは！驚いたか？余に召還できぬ魔物はない！」

「何でアークデーモンの角がそんなに！」

「お前達人間にはわからない。余はダンジョンマスターになったのだ。魔物の王だ。魔物の素材など簡単に手に入るのだよ」

「まさか、素材の為だけにアークデーモンを？」

「ふはははははは！そのような考えしかできぬ愚か者が！」

　ダンジョンマスターはダンジョンポイントさえあれば何でも創造する事ができる。マルク達にはわからないが、冒険者をダンジョンに誘き寄せる為に宝箱の中身もまた、ダンジョンポイントで作った物である。魔物の素材はもちろんマジックアイテムもダンジョンポイントで創造する。
　元皇帝はダンジョンダンジョンポイントを使い、低予算でアークデーモンの触媒となる角を創造していた。これでアークデーモンは簡単に呼び出す事ができる。しかし、この方法は元皇帝が魔法勇者の末裔だからできる事だ。レベルが足りないと触媒があってもサモン系の高ランクの魔物は呼び出せないからだ。

「皇帝、いやダンジョンマスターか・・・・・・あんたは何か忘れてはないか？」

　元皇帝のダンジョンマスターは、マルクの言葉に訝しげな顔になる。

「何が言いたい？アークデーモン五体に気が触れたのか？」

「確かにあんたの魔法の腕は大したもんだよ。しかし、しょせんアークデーモンがシオン達に勝てる訳がないだろ」

「ふはははははは！愚か者が！アークデーモンはグレーターデーモンとは比べ物に・・・・・・」

「アークデーモンが何だって？」

　元皇帝は言葉を失ってしまった。勝ち誇ったように勝利宣言をしたのだったが、目を離した隙にカノンとオウカがアークデーモンを討伐してしまったからだ。

「ぐぬぬぬ！いつの間に・・・・・・」

「私達をなめすぎだ！」

　カノンが元皇帝に槍を構えていた。

「ふはははははは！アークデーモンは役に立たなかったのは誉めてつかわす。しかし、この魔物はアークデーモンとは比べ物にならんほど強いぞ」

　元皇帝は、後ろに下がり駆け出した。

「ま、待て！逃げるなぁ！」

「逃げる訳あるまい！余は愚か者共が死ぬのを見物するだけだ」

　元皇帝は、後ろの扉に逃げる。ダンジョンオーブの部屋だとすぐにわかった。マルク達が追いかけようとすると、魔方陣が現れて漆黒の巨体な魔物が現れた。

「ま、まさか！こいつが最深部のボスモンスターか？」

『ぐおおおおおおおお！』

　その魔物の咆哮は部屋全体をふるわせたのだ。

「マ、マルク、こいつは一体なに？」

　マルクは、シオンに聞かれて一言つぶやいた。ベヒーモスと。