役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした！

本条蒼依

文字の大きさ

大中小

295 / 349

第７章　覚醒

４７話　効率化のダンジョン

しおりを挟む

　ダンジョンの出入口に、ゲートを開いたマルクは早速ダンジョンに侵入を開始した。

「ここが元皇帝のダンジョンか？」

　マルク達がダンジョンに入ると、そこは洞窟のような感じではなく、壁はブロックが積み上げられた廊下だった。

「マルク、一階層からこんな感じはなんか装いが違うね」

「そうだね。慎重に行こうか」

「みんな、ここは踏まないで！罠があるわ」

　先行するクレアがみんなに指示をだす。

「こんな入り口に罠があるの？」

「石畳だからわかりづらい」

　クレアが、その石畳を避けながら通りすぎるとまさかの出来事が起こる。

「クレア危ない！」

「えっ？」

　クレアが通りすぎると天井から石が落ちてきて、クレアが罠があると言った石畳に命中したのだ。これを見たクレアは血の気が引く。しかし、クレアが言ったような罠は発動しなかった。

「はっ？」

「罠はなかったのか？」

　すると、クレアのとなりに一人の人間の姿がスッと現れたのだ。

「クレア！離れて！」

　システィナが叫び、その現れた人影に矢を放つと矢はその人影をすり抜けた。

「システィナ落ち着いて。あれは、イリュージョンだよ」

　マルクは落ち着いて、クレアを側に呼び寄せた。
　すると、その人影は話し始める。

『よくぞ余のダンジョンに参ったな。そして、余の使い魔を殺してくれたな！』

「ダンジョンマスターに成り下がった元皇帝だな？」

『成り下がったとは可笑しな事を！余は魔王となり大陸の覇者となる者である！成り下がったなどこの無礼者が！』

「何が無礼者だ？お前はもう帝国のトップでもないし人間ですらない！人類にとって厄災なんだ。僕からしたら魔王どころかダンジョンから沸き出た魔物なんだよ」

『よ、余が魔物だと！』

「そうだ！お前は人間を辞めて魔物に成り下がったんだよ！」

『ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ！貴様はもう許さぬ！お前にはこの世の苦痛を浴びせ、余のポイントにしてやろう！』

「訳のわからない事を！すぐにお前を討伐してやるから、その首を洗って待っていろ！」

『口の減らない冒険者無勢が！まあよい。貴様が余の前に立つ事は万に一つもない』

「そう言ってろ！すぐにお前のところに行ってやるよ」

『ふははははははは！楽しみしておいてやろう』

　そう言って元皇帝の姿は消えたのだった。そして、マルクはクレアにもっと慎重に罠発見をするように言って、ダンジョンの奥に進んだ。
　そして、クレアは慎重に罠発見をしながら進んだのだが、このダンジョンがいかにイレギュラーな存在か思い知らされる。

「どういう事よ・・・・・・」

　クレアは驚愕していた。入り口からここまで一本道だった。しかも、最初のダンジョンマスターのイリュージョンに引っ掛かった以外罠がなかったのである。
　そして、クレアの目の前にはどう考えてもボス部屋の扉があった。

「マルク、このダンジョンは何か変よ」

「この先に何かあったのか？」

「分かれ道はなく罠もない。そして、ボス部屋の扉があった・・・・・・」

「なるほどね」

「何かわかるの？」

「クレア、元皇帝は何を差し出せと帝国に要求したんだ？」

「生け贄・・・・・・」

「そういう事だ。人類は元皇帝を魔王と恐れていただろ？」

「うん・・・・・・」

「って事で、効率化したんだよ！生け贄をそのボス部屋に捧げたら、皇帝の要求は済むだろ？」

「人類をなめすぎじゃない？」

「まあしょうがないさ。帝国は他国の協力が得られない状況だからね」

「それにしたって！」

「だが、みんな気合いは入れていくぞ。罠もなくし効率化を求めているこのダンジョンは、魔物を強力にしないと成り立たない事だからね」

「そ、そうか！」

　そういうとシオン達は大声をだす。そして、マルクの言う事は正解だった。
　ダンジョンマスターは、一階層をシンプルにしてボス部屋を生け贄の間として設置し直していた。
　今までは、他種族を奴隷にしたりしてダンジョンに送っていたので普通の洞窟にしていた。ダンジョンの資材を持ち帰らせたりするためだ。他種族の冒険者達にも、帰還できるようにしていた。

　しかし、今はもう帝国平民を犠牲にしてダンジョンポイントもあり得ない程稼ぎ、生け贄を要求する事なったので一階層を作り替えたのだ。

『ふははははははは！ダンジョンオーブ楽しみよのう』

『マスターの考えには感服いたします。まさか、こんな短期間でこれほどまでダンジョンポイントを貯めるだなんて』

『ふははははははは！亜人族はヒューマン族の役に立つだけの存在だからの。いくらでもその命を使えばいい！』

　キャハハハ。元皇帝も馬鹿な下等種族だ。このダンジョンポイントも、お前の為じゃなく私の本当の主の為のものよ。

　ダンジョンオーブは心の中で、皇帝を嘲笑ったのだ。

しおりを挟む