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第7章 覚醒

6話 マルクの秘策

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 ディクトの言い分に、シオンの怒りが爆発した。カノン達もマルクの元パーティーメンバーの事とはいえ、ディクトの身勝手な考えに怒りを爆発させたのだ。

「「「「あんたは私達の敵だ!」」」」

 シオンが、ディクトの剣を弾き返した瞬間、カノン達もディクトを怒鳴りつけ攻撃を仕掛けた。
 シオンがディクトの剣を弾き、ディクトの腹ががら空きになった所をカノンの槍が襲う。

「ぐはっ!」

 ディクトは、カノンの槍に前のめりとなる。そこにオウカの踵落としがディクトの後頭部に決まる。

「ごっ!」

 そして、うつ伏したディクトに、システィナのアローシャワー降り注いだのだ。

「ぐぎゃあああああああああああああ!」

 ディクトは、がら空きになった背中に弓矢を全弾受け絶叫した。しかし、さすが元英雄候補の冒険者だ。体力も化け物級である。あれだけのダメージを受けても気絶する事はなく、地面を転がりシオン達と距離をとる。やはり、シオン達のダメージはマルクに比べてまだ軽いようだ。

「貴様等ぁ!調子に乗りやがって!」

「ディクトもう諦めろ」

「マ~ル~クゥ~~~~~~!貴様、誰に向かってほざいているんだ!」

「もうお前一人だけだ!抵抗しないなら、苦しくないように介錯してやるよ」

「ほざけ!」

『マスター!お待ちください。このままでは、マスターが死んでしまいます』

「今は黙ってろ!」

 いきなりディクトが、ダンジョンの天井を見て怒鳴ったので、マルク達は呆然とする。ディクトは誰に向かってしゃべっているか分からなかった。

『マスター。私のダンジョンポイントを使い回復とバフする許可をお願いします』

「な、なるほど!」

『しかし、ソフィア達のダンジョンポイントを使えば、その侵入者を倒せるのですよね?』

「それは大丈夫だ!ダンジョンポイントを使う許可をする」

 ディクトは、ダンジョンオーブに自分の回復するように許可を出した。すると、ダンジョンオーブはダンジョンポイントを使い、ディクトを完全回復をする。

「うはははははははははは!」

 ディクトはいきなり体が虹色に輝いた。ディクトはHPとMPは満タンになり強化魔法がかかる。

「一体どういう事よ!」

「シオン!貴様から血祭りにあげてやろう!」

 ディクトがなぜ回復したか分からなかったが、ディクトの傷は治り、瞬時にシオンとの間合いを詰めてきた。

「シオン構えろ!」

 マルクはシオンに指示をとばし、ディクトにディスペルマジックをかける。

「うはははははは!無駄だ!」

 ディクトの付与魔法は、かなりレベルの高いもので、マルクのディスペルマジックをレジストしたのだ。本来なら、ディクトの付与魔法のいくつかは解除されるはずである。
 しかし、ダンジョンオーブの使った付与魔法はSランク級だったのか、ディクト付与魔法は一つも解除されなかったのだ。

「シオン死ねぇ!インフィニティーブレイク!」

「きゃああああああああああ!」

 ディクトの必殺技が炸裂した。これこそがディクトが英雄候補やその先にある勇者になれるかもと言われた必殺技である。
 ディクトを中心に半径10mの全ての敵に極大ダメージを与える。シオンは、ディクトのインフィニティーブレイクをまともに受けてしまった。イージスの盾だから、シオンは命を取り止めたといえた。
 マルクも、ディクトのインフィニティーブレイクからカノン達を守るので精一杯だった。カノン達はディクトの攻撃を一・二発食らってしまい瀕死状態だ。

「「「「きゃあああああああ!」」」」

「カノン!エリアヒール」

 マルクはすぐにシオン達を回復した。

「うはははははははははははははは!万全な状態ならお前達に負ける訳がないのだ!」

「ディクトォ!」

 マルクは、ディクトを怒鳴りつけた。

「マルク、お前は甘いんだよ!ギャハハハハハハハハ!」

「お前は絶対に許さない!」

「じゃあ、どうするつもりだ?俺様が逃がすつもりはないぞ」

「お前に屈辱をあわせてやるよ!みんなは下がっていて!」

 シオン達はマルクに言われて後方に下がった。

「まずはマルク!お前が死にたいのか?」

「ディクト、お前に勝ち目はもうないよ。インフィニティーブレイクは当分使えないはずだ」

「馬鹿め!俺様をなめるな!インフィニティーブレイク!」

 インフィニティーブレイクのクールタイムは一時間のはずが連発してきたのだ。

「「「「「マルク!」」」」」

 離れた場所からシオン達が大声を上げる。しかし、マルクはディクトの攻撃を回避する。インフィニティーブレイクを全て避ける事は不可能だが、カノン達を庇う事がなくなれば精神的に楽である。

「お前の魔法はレジストできるからな。連発すればいずれ殺せるからな。その後、シオン達に後を追わせてやるよ」

 ディクトの付与魔法は、スキルのクールタイムを縮める魔法もあった。その為、インフィニティーブレイクを連発できたのだ。

「ディクト、死ぬ覚悟はできたか?」

「魔法が通じないお前は怖くねぇよ。反対に殺してやるよ」

「何か気がつかないか?」

「はっ?」

「お前の魔剣はどんな能力があったんだ?」

「そういえば、何で呪いにかからねぇんだ?」

「お前のやる事はタネが分かれば大したことがないをだよ。僕の魔法が効かない?だったら僕は魔法をお前には使わず倒してやるよ。屈辱的だろ?」

「馬鹿な!剣士の俺様を、魔法使いのお前が魔法を使わず倒せるわけがないだろうが!」

 マルクは、自分にアンチマジックシェルをかけたのだ。ディクトは驚愕する。アンチマジックシェルは、魔法を使えなくする魔法だったはずだからだ。それをマルク自身にかける事で、魔法が唱える事ができなくなったのだ。

「貴様ぁ!何を考えている!」

「これで、僕の周りは無魔力空間だ。覚悟はできたか?」

「ま、まさか!貴様・・・・・・・」

 ディクトは、マルクの作戦が分かり後退りして、額から汗が流れた。
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