役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした ！

第６章 異世界転移

５７話 猛獣王ダイガロスの脅威

　マルクは、世界地図を開きリベリア王国を検索して猛獣王を探した。すると王都ギルダンの東に広がる荒野に確認できた。
　マルクが、猛獣王を討伐しに行こうとした時、声をかけられる。獣人族達でバナーのパーティーメンバーや仲間達だ。

「「「「「兄貴！」」」」」
「「「「「マルクさん！」」」」」

「なんだよ？依頼は断っただろ？」

「マルクの兄貴。この通りだ！故郷のリベリア王国を助けてくれ。俺達全員兄貴の奴隷になるからそれを依頼報酬としてお願いします」

「マルクさん。あたし達を好きにしてもいいからお願いします！」

　バナー達は、冒険者としてレベルも高く、戦闘奴隷として役に立つので高額なのだ。その上獣人族の女奴隷は人気も高いので価値は高い。
　マルクに声をかけてきたのは、１０人の獣人族で価値として最低５億になるだろう。

「お前達は馬鹿か！」

「「「「「なっ！」」」」」

「僕はお前等を奴隷にするつもりはないよ」

「だ、だか、このままじゃ・・・・・・」

「お前達からの依頼は受けない！受けたら報酬を貰わないとならないからな」

「だから、俺達が兄貴の奴隷になるからいいだろ？１０人もなれば十分な報酬額になるじゃねぇか」

「わからんやつだな・・・・・・ちょっとそのデカイ耳をよこせ！」

「痛っ！」

　マルクは、バナーの耳を引っ張り小声で話し、バナーの仲間達はマルクに顔を寄せた。

「今から、僕はリベリア王国に行ってくる」

「「「「「あ、兄貴！」」」」」
「「「「「マルクさん！」」」」」

「いいかい？これはお前達からの依頼じゃない！僕が勝手に討伐するだけだからな」

「じゃあ、兄貴は最初から！」

「あんなみんなが集まるギルドのホールで目立つような交渉するなよな！もっと頭を使えよ」

　マルクは、バナーの頭をコツコツと指でつついていた。バナー達はマルクの心遣いに感謝をしたのだった。

「いいかい？僕はリベリア王国に行ってくるが、バナー達はギルドで今の事は他言無用だよ」

「「「「「えっ？」」」」」

「え？ってなんなんだよ・・・・・・僕がリベリア王国に行った事を、ギルド言いふらしたら絶対駄目だからね。この事がみんなに知られたら、これから僕に泣きつけばタダで依頼を受けてもらえると勘違いするだろ？」

「そ、そうか・・・・・・・」

「いいかい？ブレスにも言った事があったがヒューマン族はずる賢いんだ。お前達多種族は純粋過ぎるんだから気をつけろよ」

「わ、悪い・・・・・・」

「いいかい？もし、僕がリベリア王国に行った事を言いふらしたら駄目だよ。僕が勝手に討伐したと言っても誰も信じないからね」

「だが、実際兄貴は俺達のお願いを聞いてくれるんじゃないか」

「言いふらしたら、僕は君達に一生かかっても払えない報酬を請求するからな」

「「「「「一生・・・・・・」」」」」

「当たり前だろ。結果リベリア王国を救う依頼なんだ。君達が逆立ちしたって見合う報酬が払える訳ないだろ？」

「「「「「・・・・・・」」」」」

「返事は？」

「「「「「分かりました」」」」」

「じゃ、バナー達はブリーナッシュで大人しくしていてくれ」

　マルクはバナー達に注意して、リベリア王国に転移したのだった。

「「「「「はっ？兄貴が消えた」」」」」
「「「「「嘘でしょ・・・・・・」」」」」

　マルクは、転移魔法でリベリア王国の荒野に表れる。すると、リベリア王国騎士団であろう獣人族が、猛獣王ダイガロスに翻弄されていた。

「な、なんだこの速さは・・・・・・」

「隊長！撤退の指示を出してください。敵は最終防衛線を越えました」

　猛獣王ダイガロスは、サーベルタイガーが進化した魔物で風の魔力を操るのだ。その為、ヘイスト（攻撃回数）スプリント（移動速度）を倍加して襲ってくるのだ。
　ＳＳＳランクの魔物は基本能力値が高い上に、倍加して襲ってくるのだ。隊長クラスの騎士団には手も足も出ないのは当たり前だった。

「化け物め・・・・・・団長達が敵わない訳だ！」

『ガァアアアアア！』

　リベリア王国騎士団は、猛獣王ダイガロスからすでに逃げる事もできない状況が分かり、猛獣王ダイガロスは雄叫びを上げて勝ち誇っていた。

「「「「「ぎゃあ！」」」」」

　一瞬で五人の騎士が、猛獣王ダイガロスの爪に殺られる。ダイガロスの前足は大木のように太くその爪は鋼鉄のように固く、騎士の鎧は簡単に引き裂かれ破壊された。

「「「「「た、隊長・・・・・・」」」」」
「早く逃げてください・・・・・・そして、陛下に他国に救援要請を・・・・・・」

「ナダァ～～～～～～～～ン！」

　隊長は部下が目の前で次々殺られるのを見ているしかなかった。部下達は自分を犠牲にして、隊を逃がそうとしていた。

「隊長！このままでは！」

「こ、これまでか・・・・・・」

「隊長！しっかり気を持って下さい。隊長は生き延びて陛下に！」

「お前達だけ置いてはいけない！」

「「「「「駄目です！」」」」」

　隊長は、猛獣王の討伐をかって出たことを後悔していた。団長は何とか生き延びて帰還できた事で、猛獣王の脅威を訴えかけた。しかし、周りの獣人達は更なる人員を投入して、猛獣王の討伐にかけたのだ。しかし、今はそれを後悔していた。
　猛獣王ダイガロスは狡猾で頭がよく、団長率いる第一陣をわざと殺さなかったようだ。今の強さなら団長達は生き残れないのが隊長にはわかったのだ。

　猛獣王ダイガロスは、第二陣の騎士達を次々に殺していく。そして、最後の部下がダイガロスの牙に倒れた。

「くそぉ～～～～～～～～！」

　なすすべもない隊長は、雄叫びを上げて地面を打ち付けた。それを聞いた猛獣王ダイガロスは勝ち誇り、隊長の眼前に現れその太い丸太のような腕を振り下ろした。