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第6章 異世界転移

44話 マルクの圧勝

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 バトロスは呪いが解けて、顔には赤みが差し血色がよくなり直ぐにうごけるようになった。
 しかし、ずっと寝ていたこともあり立ち眩みが起きて治療班に抱き抱えられた。

「殿下、まだ安静にしていてください」

「しかし・・・・・・」

「殿下。後は体力を元に戻さないといけないですよ」

「だが、父上達はこれから・・・・・・」

「大丈夫です。国王様にあのように言いましたが、古代竜はここまで来ることはまずありませんよ」

「なぜそう言いきれる?俺だって戦えるんだ」

「今は安静にしていてください。僕が古代竜を討伐してきますから。皆さん、殿下をよろしくお願いします」

 マルクが治療班にお願いすると、全員が任せて下さいと言って、バトロスをベッドに強制的に寝かせたのだった。
 それを見たマルクは笑顔でバトロスの部屋を出ると、世界地図を開けて古代竜の場所を表示した。

「なるほど!こんな場所にいたのか」

 マルクは、古代竜のいる場所に瞬間移動した。

『ギャオオオオオオオオオ!』

 古代竜は、いきなり何が起こったか分からず咆哮をあげていた。いきなり呪いが自分に降りかかってきたからだ。

『何が起こったのだ?ワシの呪いが解呪されるとは!』

 古代竜となれるほど長い年月を生きてきたブルードラゴンは、いろんな言葉を話す事が出来るようになっていた。

『一体どうなっておるのだ!』

 ブルードラゴンは、水の魔力を使い自分の呪いを浄化しようと懸命だった。

『クリアウォーター』

 古代竜は水属性魔法を唱え、自分の呪いを消滅させてしまった。

『おのれ!あのドラコニア族半端種族めが!今から出向いて滅亡させてやるわ!』

 古代竜は自分の寝ぐらで絶叫していた。ドラゴンにとって、ドラコニア族は半端種族みたいだ。マルクは呆れたように声を発した。

「青蜥蜴!何、訳のわからんことを言っているんだ!」

『誰だ!』

 古代竜が辺りを見回していた。そして、石元にいるマルクを発見して驚いていた。

『いつここまでやってきたのだ?』

 古代竜が驚くのも無理はなかった。古代竜の寝床に侵入するには、数々のトラップや野生の魔物を突破しないとここには辿り着けないからだ。
 そして、それらの罠を回避するにはこの場所に直接これる頭上にぽっかり空いた噴火口だけであった。この場所は休火山の噴火口である。
 ヒューマンがこの場所に直接侵入してきたなら、古代竜がわからないはずかないのだ。
 又、侵入経路からきた場合は騒がしくなり、アラートがなる仕組みとなっていて気づかないはずかなかった。

「おとなしく冬眠していればまだ長生き出来ていたのに馬鹿な青蜥蜴だ」

『誰が蜥蜴だぁ~~~~~!我は伝説と言われた古代竜である!』

 蜥蜴と言われた古代竜は、いきなりマルクめがけて氷のブレスを吐いたのだ。
 古代竜のブレスは一瞬にして、寝床を氷点下にした。

『グハハハハハハハハ!ヒューマンが一人でこのような場所に来るからだ!』

 古代竜の寝床は、氷のブレスで白く輝き先が見通せなくなる。ようやく氷が落ち着き寝床は氷でキラキラ凍りつき、そこには氷像が1つ出来上がっていた。

『ふっ!半端種族を滅亡させてやるか』

 古代竜は、マルクの氷像を見て死亡を確認すると、その大きな翼を広げ噴火口から飛び出そうとした。

『ぐおおおおおおおおおおおおおお!』

 古代竜が翼を広げ、宙に浮いた瞬間古代竜の翼がブチっと千切れ、その巨体がズシンと大きな音を立てた。いきなり自分の翼が千切れた激痛に、古代竜は咆哮をあげた。

『我の翼がぁ!』

「おいおい。僕を放って一体どこにいくつもりだ」

『おのれ!まだ死んでいなかったのか?』

「あんなそよ風で誰が死ぬんだよ」

 そんなことは絶対あり得ない事だった。古代竜となったブルードラゴンのブレスは、絶対零度のブレスで原子レベルで運動が停止するのである。

『どうなっておるのだ!ヒューマンが我のブレスを食らったのに』

 古代竜が驚愕するのも無理はなかった。マルクは古代竜がいきなりブレスを放つのはわかっていた。なので、マルクはブレスを放たれた瞬間、風属性の魔力で自分の周りに空気の膜を張りめぐらせたのである。
 その時、一緒に火属性の魔力も込めることでマルクの周りには、暖かい空気の膜ができた事で、マルクの細胞は凍りつかなかった。
 古代竜はマルクの空気の膜が凍ったのを見て、死んだと勘違いしたのだ。

『我のブレスを食らったのに・・・・・・』

「長生きしていたのに残念だったな!プリズムレイ!」

『ギャオオオオオオオオオオオオオ!』

 マルクは、古代竜にプリズムレイを撃ち込んだ。古代竜はその熱線に悶絶した。古代竜の鱗は水の魔力が多く含まれる。その為、ヒューマンごときの魔力では弾き返すのは容易なのだ。
 しかし、マルクの放つ熱線はその古代竜の鱗を意図も簡単に溶かし、肉体に大ダメージを与えたのだ。
 これには、マルク自身も驚いていた。世界樹の精霊にもらった加護で聖光属性の魔力が跳ね上がっているのはわかっていたがここまでとは思ってもいなかったのだ。

「ほう!自分でもここまでとは思っていなかったな」

 古代竜は、マルクの魔法に恐怖した。マルクの表情からしてまだ全然本気を出していないのがわかったからだ。
 そんな古代竜に対して、マルクは右手の人差し指を古代竜に向けた。

『ま、待て!』

「待て?」

『い、いや・・・・・・待って下さい。撃たないで下さい』

 マルクのプリズムレイは、光を圧縮して撃ち出す魔法で、光の速さでは避ける事は不可能である。そして、その人差し指は古代竜の頭を指されていた。

『あの半端種族の町はもう襲わん。だから、命だけは・・・・・・』

「お前は兵士達を何人も殺したのに、自分が殺されると助けてくれと懇願するんだ?」

『あれはあいつらが、我を殺そうとここに乗り込んで来たんだ!だから、あいつらが悪い!』

「お前は、あの国の皇太子殿下に呪いをかけたからだろ?」

『それは、あの半端種族が我を目覚めさせたから悪いのだ』

「お前の言う事は、全部自分中心に考えているんだな」

『我は太古の時代から生きているのだ!力がありそれは当然である!』

「じゃあ、お前より力を持つ僕の言う事は絶対だな?」

『何で我が、ヒューマンのお前より上なんだ。馬鹿にするでなっ・・・・・・』

 古代竜が、そう言って事切れて、古代竜の寝床はズシンと地響きが起こった。マルクは古代竜の言葉を聞き終わる前に、古代竜の眉間にプリズムレイを撃ち込んだ。
 プリズムレイの傷は小さく眉間を撃ち抜き、古代竜の脳を焼き瞬殺したのだった。

「お前の考えは反吐が出る」

 マルクは古代竜の死骸を、インベントリに収納したのだった。
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