役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした！

本条蒼依

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第６章　異世界転移

４３話　殿下の解呪

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　カイザーと宰相は、口をパクパクさせて鯉のようになっていた。

「これは内密にお願いします。この後、兵士達には頑張ってドラグーン王国を守護してもらわないといけないので！」

「マ、マルク！お主は死者蘇生ができるのか？」

「まあ、死者蘇生というのかわかりませんが、正確に言えばこの人達はまだ黄泉の世界に行っていなかったのかもしれませんね」

「どういう事だ？」

「よく見てください。目覚めていないドラコニア族の人もいるでしょ？」

　カイザーと宰相は、目覚めていない兵士を確認した。全体を見ると４０％ほどが目を覚ましていたのだ。
　フェニックスヒールは、死亡してから２４時間以内にかけると５０％の確率で蘇生が可能となる。つまり、その対象者の運が悪いと失敗に終わるのだ。

「「た、確かに・・・・・・」」
「つまり、この者達はまだ完全に死んでなかったというのか？」

「心臓は止まっていたから死んではいたのかもしれませんね。ただ、僕の回復魔法の威力が高い為、蘇生できたと思ってもらえると助かります」

「目を覚まさなかった兵士達は？」

「残念ですが、完全に死亡していると思っていただくしか・・・・・・」

「そ、そうか・・・・・・しかし、私の兵士をよく助けてくれた。本当に礼を言う」

　カイザーと宰相は、改めてマルクに頭を深々下げた。それと同時に目覚めた兵士達を膝をつきマルクに頭を下げたのだった。

「それで、本命といきましょうか？」

「本命？」

「ええ、国王様。殿下の治療をしますよ」

「な、なるほど！死者蘇生が出来るほどのマルクなら、息子のバトロスの呪いを解ける！」

「まだ見てみないと分かりませんよ？解呪はものによっては厄介な物が多いですからね」

「そ、そうだな。じゃあバトロスの治療室に行こう。お前達は、クバートの所に行き指示を聞け」

「「「「「はっ！」」」」」

　マルクは、カイザーと宰相にバトロスの元に案内された。マルクは、バトロスの姿に驚きを隠せなかった。

「こ、これは・・・・・・」

「ああ・・・・・・見ての通りだ」

　バトロスはベッドに寝かされ体には管がいくつも繋がれていた。カイザーの説明では血液欠乏症のような呪いらしい。
　ブルードラゴンは、水属性を持つドラゴンで血液を枯らしていく呪いをかけたそうだ。その為、治療班はバトロスを２４時間体制で看ていた。その管で輸血されていた。その間に増血剤を飲まされたりもしていた。
　唯一の救いは、この呪いは即効性がない事で徐々に血液がなくなっていく事だった。
　しかし、即効性がない分強力な呪いで、エルフ族の聖女クラスの解呪能力が必要だった。また、解呪の方法は術者の死亡である。ドラコニア族はエルフ族に頼れないなら、ブルードラゴンの討伐を選んだが、相手がまさか古代竜に進化したとは思わなかったのだ。
　そして、ブリーナッシュ王国のマルクの情報をつかみ助けを求めたのだった。

「これならなんとかなるかな」

「それは本当か？」

「やはり、殿下の前に騎士団を治療しておいて良かったですよ」

「それはどういう事だ？」

「国王様は、騎士団に国の防衛を強化をお願いできますか？」

「何を言っておるのだ？」

「いいですか？僕はこれから殿下の解呪をします。そうしたらすぐに古代竜の討伐に向かいます」

「バトロスが治れば古代竜はもう関係ない。災害級の魔物は放っておけばよい。わざわざこれ以上古代竜の逆鱗に触らずとも・・・・・・」

「国王様、解呪した場合その呪いは術者に跳ね返ります。これがどういう意味かわかりますか？」

「まさか！」

「はい。そのまさかです。呪いは古代竜に跳ね返りそれを阻止するために、古代竜はここ王都ブリガンダインに攻めてくるはずです」

「それは本当か？」

「まぁ、その前に僕が討伐すると思いますが、何事も用心はした方がいいです。国王様は王都ブリガンダインの事を第一優先でよろしくお願いします」

「わ、わかった」

　マルクはカイザーに、それだけ言ってバトロスの解呪を始めた。カイザーはすぐに宰相と共に、騎士団の戦闘配置を話し合うのだった。

「バトロス殿下、もう大丈夫ですからね」

「君がマルクかい？わざわざ、ドラグーン王国まですまないな。それに俺が調子に乗ってあんな山奥に入らなければ・・・・・・」

「反省は呪いが解けてからでよろしくお願いします」

　マルクは、バトロス殿下にそう言って解呪の魔法を唱えた。

「リムーブカース」

　マルクが、バトロスに唱えた魔法は解呪する魔法で、聖属性の高位スペルだ。その上マルクの魔法はノーマルの１０倍の威力で、バトロスの呪いを解呪した。

「か、体が！」

「もう大丈夫ですよ」

　マルクも、呪いの浄化は慎重になり上手く浄化出来てホッと息を漏らした。バトロスの呪いは消え、バトロスの血色はよくなったのが見てとれて、治療班は歓喜していた。

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