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第6章 異世界転移

38話 新たな依頼

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 マルクがブリーナッシュ王国に帰還して、暇な日は自分のステータスを確認していた。

 やはり、この世界に来て力がついてきている感じだな・・・・・・

 マルクはそう思い、体内にめぐる魔力の強さを感じていた。特にアダマンタイマイを倒し土属性、世界樹を救い聖と光属性は強さを増していた。

 と、いう事は今度は水か風か火の魔物が何かしら騒ぎを起こすかもしれないな・・・・・・

 マルクがそう思ったのには、何かしらの確信があった。あんな巨大なアダマンタイマイは、ここ数百年出現していなかった。
 また、世界樹が枯れそうになった記録などエルヴィス王国にはなかったのだ。つまり、マルクがこの世界に来て次々に災害が起こっていたからだ。
 マルクは偶然かもしれないが、そこに賭けていた。魔法属性が飛躍的に上がり魔法(EX)が、強力なスキルが作れるようになると願っていた。

 そんなある日、マルクはブリーナッシュ王国王都エンリダムでFランクの依頼をこなして、冒険者ギルドに帰って来ると何やら騒がしかった。
 マルクが冒険者ギルドに入ると、エンリダムの町では見かけないドラコニア族がギルド受付嬢と話していた。

「あっ!帰ってきた。あの人がマルクさんですよ」

 そう言った受付嬢が、マルクの側にパタパタと駆け寄ってきた。

「マルクさん。あなたにお客様です」

 そこには、立派なスケイルメイルを身に纏ったドラコニア族が立っていた。

「私はドラグーン王国から来ましたマークといいます」

 マークと名乗った男性は人間のようだが、頭に角を生やし腕には鱗を纏った竜人である。
 マークは、ドラグーン王国で騎士団に所属し第23番隊長と言った。

「これはご丁寧にありがとうございます。僕はエンリダムを拠点に活動している冒険者マルクといいます」

「早速で申し訳ないが、ドラグーン王国に来ていただけないでしょうか?」

「ドラグーン王国の騎士団がヒューマン族の僕に頼み事ですか?」

「貴方の活躍はドラグーン王国にも届いております!貴方は只のヒューマン族で無い事もわかっています。どうか我が国の殿下を救って頂きたいのです」

 マークはエルフ族の時のような傲慢な態度はなく、マルクに対して低姿勢で救いを求めて来たのだ。

「理由をきいてもいいですか?」

 マークの話はこうだった。殿下は趣味の野性動物を狩りに行った時、たまたま目覚めたドラゴンと遭遇したそうだ。
 ドラコニア族にドラゴンは脅威ではなく、殿下は部下と共にそのドラゴンを討伐したそうだ。しかし、そのドラゴンは古竜であり、止めをさした殿下は呪われてしまったそうだ。しかもそのドラゴンは古竜の分身体だったそうだ。

「呪われてしまったのならエルフ王国に頼んだ方が早いんじゃないのか?」

「そ、それが・・・・・・・」

「あー・・・・・・断られたのか」

「は、はい!エルフ国が大変だった時、我々もその古竜の討伐に手が離せなかったのです」

「と、いう事は僕は殿下の呪いを解呪する依頼ですか?」

「いえ・・・・・・その古竜の討伐をして頂きたいのです」

「えっ?」

「情けない話なのですが・・・・・・古竜の力は絶大で我々ドラグーン王国にはどうにもならなかったのです」

「その古竜ってまさか?」

「はい・・・・・・そのまさかでエンシェントドラゴンです」

 ドラグーン王国で調べたところ、殿下は古竜を目覚めさせた段階で、古竜から古代竜に進化させてしまったようだ。

「いや、エンシェントドラゴンはいいんだけど聞きたいのはそこじゃないんだ」

「へっ?」

 マークは、エンシェントドラゴンの名を聞いても冷静でいたことにびっくりして変な声が漏れてしまった。

「そのドラゴンはブルードラゴンが進化したドラゴンですか?」

「は、はい!その通りです。何で知っているのですか?」

 マークは古竜とは言ったが、ブルードラゴンとは一言も言っていない。そして、マルクはブルードラゴンと聞いて指を鳴らし喜んでいた。
その様子に、マークはもちろんだがギルド受付嬢や冒険者達は言葉を失っていた。

「そうかそうか!やっぱりブルードラゴンだったか!この依頼受けさせてもらうよ」

「本当ですか!」

 マークは、マルクが依頼を受けてくれなかった場合、自決するつもりで交渉に挑んでいた。しかし、マルクがこんな簡単に受けてくれるとは思ってもいなかった。

「依頼を受ける条件だけど、もうドラグーン王国はわかっているよね?」

「それはもう!ブリーナッシュ王国との和平条約。他国と変わらない交流、又ヒューマン族の不正な奴隷の解放をさせていただきます」

「ドラグーン王国にはもうひとついいかな?」

「なんでしょうか?」

「冒険者ギルドの事です。冒険者ギルド総本部がドラグーン王国にあると思います」

「ちょっとマルクさん、何を言うつもりですか?」

 話を聞いていた受付嬢達が騒然となった。

「ブリーナッシュ王国の冒険者ギルドを左遷先ではなく、同じ冒険者ギルドとして扱ってほしいんですよ」

「それはちょっと・・・・・・・」

 マークは言葉を濁らせた。建前上だがギルド組織には国が介入できないとあるからだ。
 
「そんな事言わないでくださいよ。僕は、ドラグーン王国の跡取りを救うんですから、ドラグーン王国も無理を承知で頑張って下さいよ」

「ぐっ・・・・・・」

 マークはわかっていた。マルクに依頼すればエンシェントドラゴンはわけなく解決出来ることを。なので国王陛下からは多少の無理も聞くように言われていたが、まさか国が介入できないと言われるギルドに介入してほしいと言われるとは思ってもいなかったのだ。
 当然だが、ギルド受付嬢や職員、冒険者達からは熱い視線を送られていた。
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