役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした！

本条蒼依

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第５章　最強への道

２３話　飛竜討伐される

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　そして、マルクが緑飛竜りょくひりゅうと戦っていた時、別の場所で立ち往生している集団が町の外にもいた。
　その集団は、町の外からオーバルの町を心配していた。

「おい・・・・・・どうするんだよ？」
「そんなこと言ってもどうしようもないだろ？お前はあの状況に飛び込んでいけるのか？」
「それは・・・・・・」

　町の外には、その日朝早く町を出発した冒険者達が、緊急召集を聞いて舞い戻ってきていた。しかし、オーバルの町の上空に飛竜が旋回していて戻るに戻れなかった。
　町から離れてその様子を見ていたので、マルクの姿を確認できず、飛竜が町の上空で旋回していてどうしようもなかった。

　マルクは、空中から町の様子を見ていた。冒険者達が急いで南の城門に向かっていたのが見えた。

「さて、そろそろお遊びは終わりにしようか」

『ギャオオオオオオオオオ！』

　飛竜は、マルクの余裕の顔つきが気にくわない感じで咆哮をあげた。その咆哮は地上の民衆に轟とどろき子供達は大人に抱きつき泣き出してしまうほどだった。大人達は、子供を抱き抱え神に祈り続けた。

　緑飛竜りょくひりゅうは上空を旋回して、オーバルの町の北からマルクに突撃を仕掛けようと狙いを定めた。

「かかったな！」

　マルクは飛竜のスピードが落ちたのを見落とさなかった。飛竜も自分のスピードが落ちた事に気づいたがもう遅かった。

「ストーンバレット！」

　マルクは余裕で飛竜のスピードを回避して、すれ違い様に、巨大なストーンバレット二発を緑飛竜りょくひりゅうの翼に命中させたのだった。

　地上の兵士や冒険者達は、飛竜の翼に穴が空いた瞬間、地面が震えるような歓声をあげた。

「「「「「「オオオオオオオオ！」」」」」」
「ナイス、マルク！」
「さすがだな！」
「「「うんうん！」」」

　シオン達もマルクの活躍に笑顔となった。そして、翼を失った飛竜はどうしようもなく南の空き地に墜落してしまった。
　ワイバーン種のドラゴンは、飛ぶ事に特化した魔物だ。地上降りてしまえば胴体に対してその長い腕はバランスが悪くスピードは遅い。後は、数の暴力でなんとかなるのだ。

「これからは俺らの番だ！」

「「「「「オオオオオオオオ！」」」」」

　南の空き地に墜落した飛竜に向かって、数多くの冒険者達が突撃を仕掛けた。飛竜は焦ったように、腕をバタバタ羽ばたかせたが翼には大きな穴が空いており、宙に浮く事ができない。

「無駄なあがきはもうやめろ！」

　ギルドマスターの一撃が緑飛竜りょくひりゅうに当たった。

『ギャオオオオオオオオオ！』

　飛竜の皮は固くさすがドラゴン種である。マルクも飛竜の翼を狙っていたのは、高速で飛ぶ飛竜には薄い幕のような翼しか攻撃が通じなかったからだ。
　とはいえ、その翼もマルクだから穴を開けられたのは言うまでもなく、ワイバーンの翼は高級素材でレザーアーマーは大人気商品だ。

「硬い！」

　冒険者達は、ギルドマスターの一撃を弾かれるのを見て、パワーアタックのようなダメージが出るスキルで攻撃しだした。
　
「なんて硬い皮なの？」
「刃が通らない！」

　しかし、飛竜にはダメージは通っている。皮が硬くてダメージ量が少ないだけだ。

「みんな頑張れ！」

　ギルドマスターは、皆の士気を上げて率先的にダメージを与え続けた。その気合いに冒険者達は勇気をもらいダメージを与え続ける。

　くっ！もっと人数がいれば・・・・・・

　ギルドマスターは歯を食い縛る。すると、町の郊外から地響きと共に雄叫びが聞こえてきた。

「仲間を援護するぞ！」
「「「「「オオオオオオオオ！」」」」」

「お、お前達！」

「ギルドマスター！遅れてすまない。町に近づけなかったんだ」

　冒険者の主力が帰ってきて、冒険者の士気が更に上がった。飛竜の防御力は非常に固く、主力である冒険者達も手を焼いていた。

「なんだこの固さは！」
「魔法もレジストされる！」

　その中でも、シオン達はダメージを与えていた方だったが雀の涙である。シオン達は敵である飛竜をあっぱれと思ったと同時に、自分達ももっとレベルアップすると誓った。
　
「デビルズカース！」

　その時、上空からマルクの魔法が飛竜にかけられた。デビルズカースは、マルクが事前に作っておいたオリジナルスペルで、攻撃力・防御力・魔法抵抗力・ステータスを５０％低下させるとても強力な魔法だ。唯一の弱点は射程が短い事にある。
　デビルズカースをかけられた瞬間、冒険者達の剣の刃が弾かれなくなった。

『ギャオオオオオオオオオオオオオ！』

　飛竜は、いまだかつてない大ダメージをその身に受け、苦痛の雄叫びをあげた。この場にいる冒険者の刃が飛竜の身に突き刺さるのだ。

「なんだこれ！」
「飛竜の皮がステーキのように切れるぜ！」
「ファイヤーアロー！魔法も通るわ！」

「これならいける！みんな一斉攻撃だ！」

「「「「「「オオオオ！」」」」」」

　あれほど脅威だった緑飛竜りょくひりゅうはなすすべもなく、冒険者達の攻撃に倒れた。

『ギャオオオオオオオオオｵｵｵｵ・・・・・・』

　緑飛竜りょくひりゅうは力なくその場に力尽きた。

「倒れた・・・・・・のか？」
「や、やったのか？」
「あの飛竜をたおせたのか？」

「皆さんお疲れ様です！飛竜は死にました！」

「「「「「やったぁ～～～～～！」」」」」
「俺達は勝ったんだぁ！」

　上空からのマルクの声に、正気を取り戻した冒険者達の歓喜に町は震えた。その声は、町の住民にも聞こえて、教会の中は抱き締める家族や、笑顔ではしゃぐ子供達がいた。

　そして、マルクはギルドマスターの側に降り立ち、その手はしっかり握手されていた。

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