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第5章 最強への道
14話 ようやくダナーを確保に向かう
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マルクは、カレンを屋敷にメイドとして雇い入れて、セバスチャンの指導を受ける事になった。
「旦那様、お茶をどうぞ」
「もう慣れたかい?」
「はい。最初、この辺りに住み込みになり緊張しましたが、セバスにいろいろ教えてもらってもう大丈夫です」
「この辺りは、貴族様や大豪商の人間がいるからね。僕も最初、家の管理をしてもらうために人を雇おうとしたけど、人が集まりにくいって商人ギルドに言われたんだよ」
「確かに緊張はしますが、周りにいる人達は優しい方が多くて安心しました」
「なら、良かったよ」
カレンは、マルクの事を旦那様と呼び、セバスチャンから指導を受けて、今ではハナと安心して生活ができていた。そして、改めてマルクにお礼を言った。
「本当に旦那様のおかげで、ハナも笑顔が増えました。この恩は一生をかけて返していきたいと思います。本当にありがとうございます」
「僕は何もしてないよ。前にも言ったけどお礼はシオン達にしてくれたらいいよ」
「それはもう!シオン様達にも恩を返していきたいと思います」
「だったら、それでいいよ。それでカレン達もここの生活に慣れてきたし、そろそろ動こうと思うけど覚悟はいいかな?」
「は、はい・・・・・・」
「一応、ここに連れてくるから言いたいことがあれば考えておいて。あと、ハナちゃんは最後の面会となるかもしれないから、会わすなら今回が最後だからね」
「わかってます。ハナは結構しっかりした娘なんで、旦那様に悪い事をしたと理解しています。あの娘なりに覚悟を決めたみたいです」
この世界シン・アース、ダイン大陸に住む子供は自立するのが早い。10歳で冒険者ギルドの雑用依頼をし始めて、家計の足しに頑張る子供も少なくない。
その為、ハナのように七歳でも周りがよく見えて理解していた。
今もハナは、母カレンの負担を減らしたい気持ちで、中庭の草むしりをしていた。
「そういえば、ハナちゃんは神聖の儀は?」
「私が寝込んでいたから、まだ行ってないんですよ」
ここは王都なので、教会に行けば受ける事ができる。マルクやシオンは名もない村の為、司祭様が年に一回出張してくれて、神聖の儀が生誕七年祭として村はお祭り騒ぎとなっていた。
「じゃあ、休みの日ににでも、教会に行って来なよ」
「休みの日?」
「えっ?週に一回休んでないの?」
「こんな高待遇で雇われているのに休みまでいただけませんよ!」
「セバス!ちょっときて!」
マルクは、呼び鈴を鳴らすとセバスチャンが飛んできた。
「なにかありましたか?」
「なにかありましたかじゃないよ!なんでカレンに休日を与えてないんだよ」
「あっ、いえ・・・・・・それは」
「旦那様。私は休日は要りません。私は旦那様に恩を返していきたいと思っていますから」
セバスチャンは、世間と同じ待遇で考えていた。基本、従業員は休みはないのが普通で、休日があるような職場は、ギルドのような大きな組織や大陸中に店を持つ商会ぐらいだからだ。
「セバス!」
「は、はい!」
「カレンに週に一回休みを与えて。わかったね?」
「旦那様、私は・・・・・・」
「駄目だよ。カレンは住み込みの従業員だからね。休みの日にハナちゃんとコミュニケーションをとって上げてください。セバスもわかったね?」
「承知いたしました。申し訳ありません」
「ありがとうございます」
カレンはマルクの配慮に、涙を流して感謝した。カレンもハナとコミュニケーションを取りたかったが、仕事が終わり部屋に戻るとハナはもうベッドで寝息を立てていたからだ。
そして、カレンとハナは次の休みの日には、町に出掛けて教会で神聖の儀を受ける事が出来たのだった。
マルク達暁月の明星は、次の日にダナーを捕まえる為に王都を出た。
「マ、マルク!やっぱりファントムスティードで行くの?」
「今回は大丈夫だよ」
「「「「でも・・・・・・」」」」
「今回は上空を飛ばないよ。街道を走るからそれならいいだろ?」
「でも、あのスピードなんでしょ?」
「そんなわけないよ。上空を飛べば一直線で最短距離で行けるけど、街道であのスピードは危ないから、スピードは大分落とすよ」
「「「「だったら大丈夫かな」」」」
「まぁ、早馬よりかは速いけどね」
シオン達は恐る恐るファントムスティードに乗ったが、地上を駆けるファントムスティードは気持ち良かった。
「「「「「気持ちいい!」」」」」
街道を駆けるファントムスティードの乗り心地は最高だった。落ちる事はないし普通の馬の高さだし、超低空飛行でお尻へのダメージも皆無だった。
そして、ダナーが潜伏している大きな町に、マルク達はたった三日で到着した。
「旦那様、お茶をどうぞ」
「もう慣れたかい?」
「はい。最初、この辺りに住み込みになり緊張しましたが、セバスにいろいろ教えてもらってもう大丈夫です」
「この辺りは、貴族様や大豪商の人間がいるからね。僕も最初、家の管理をしてもらうために人を雇おうとしたけど、人が集まりにくいって商人ギルドに言われたんだよ」
「確かに緊張はしますが、周りにいる人達は優しい方が多くて安心しました」
「なら、良かったよ」
カレンは、マルクの事を旦那様と呼び、セバスチャンから指導を受けて、今ではハナと安心して生活ができていた。そして、改めてマルクにお礼を言った。
「本当に旦那様のおかげで、ハナも笑顔が増えました。この恩は一生をかけて返していきたいと思います。本当にありがとうございます」
「僕は何もしてないよ。前にも言ったけどお礼はシオン達にしてくれたらいいよ」
「それはもう!シオン様達にも恩を返していきたいと思います」
「だったら、それでいいよ。それでカレン達もここの生活に慣れてきたし、そろそろ動こうと思うけど覚悟はいいかな?」
「は、はい・・・・・・」
「一応、ここに連れてくるから言いたいことがあれば考えておいて。あと、ハナちゃんは最後の面会となるかもしれないから、会わすなら今回が最後だからね」
「わかってます。ハナは結構しっかりした娘なんで、旦那様に悪い事をしたと理解しています。あの娘なりに覚悟を決めたみたいです」
この世界シン・アース、ダイン大陸に住む子供は自立するのが早い。10歳で冒険者ギルドの雑用依頼をし始めて、家計の足しに頑張る子供も少なくない。
その為、ハナのように七歳でも周りがよく見えて理解していた。
今もハナは、母カレンの負担を減らしたい気持ちで、中庭の草むしりをしていた。
「そういえば、ハナちゃんは神聖の儀は?」
「私が寝込んでいたから、まだ行ってないんですよ」
ここは王都なので、教会に行けば受ける事ができる。マルクやシオンは名もない村の為、司祭様が年に一回出張してくれて、神聖の儀が生誕七年祭として村はお祭り騒ぎとなっていた。
「じゃあ、休みの日ににでも、教会に行って来なよ」
「休みの日?」
「えっ?週に一回休んでないの?」
「こんな高待遇で雇われているのに休みまでいただけませんよ!」
「セバス!ちょっときて!」
マルクは、呼び鈴を鳴らすとセバスチャンが飛んできた。
「なにかありましたか?」
「なにかありましたかじゃないよ!なんでカレンに休日を与えてないんだよ」
「あっ、いえ・・・・・・それは」
「旦那様。私は休日は要りません。私は旦那様に恩を返していきたいと思っていますから」
セバスチャンは、世間と同じ待遇で考えていた。基本、従業員は休みはないのが普通で、休日があるような職場は、ギルドのような大きな組織や大陸中に店を持つ商会ぐらいだからだ。
「セバス!」
「は、はい!」
「カレンに週に一回休みを与えて。わかったね?」
「旦那様、私は・・・・・・」
「駄目だよ。カレンは住み込みの従業員だからね。休みの日にハナちゃんとコミュニケーションをとって上げてください。セバスもわかったね?」
「承知いたしました。申し訳ありません」
「ありがとうございます」
カレンはマルクの配慮に、涙を流して感謝した。カレンもハナとコミュニケーションを取りたかったが、仕事が終わり部屋に戻るとハナはもうベッドで寝息を立てていたからだ。
そして、カレンとハナは次の休みの日には、町に出掛けて教会で神聖の儀を受ける事が出来たのだった。
マルク達暁月の明星は、次の日にダナーを捕まえる為に王都を出た。
「マ、マルク!やっぱりファントムスティードで行くの?」
「今回は大丈夫だよ」
「「「「でも・・・・・・」」」」
「今回は上空を飛ばないよ。街道を走るからそれならいいだろ?」
「でも、あのスピードなんでしょ?」
「そんなわけないよ。上空を飛べば一直線で最短距離で行けるけど、街道であのスピードは危ないから、スピードは大分落とすよ」
「「「「だったら大丈夫かな」」」」
「まぁ、早馬よりかは速いけどね」
シオン達は恐る恐るファントムスティードに乗ったが、地上を駆けるファントムスティードは気持ち良かった。
「「「「「気持ちいい!」」」」」
街道を駆けるファントムスティードの乗り心地は最高だった。落ちる事はないし普通の馬の高さだし、超低空飛行でお尻へのダメージも皆無だった。
そして、ダナーが潜伏している大きな町に、マルク達はたった三日で到着した。
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