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第5章 最強への道

8話 ブラックドラゴンの討伐

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 森はとんでもない事態になっていた。普段では見ない魔物が浅い地点に出てきていたのだ。

「マルク!これはいったいどういう事?」

「うーん・・・・・・」

「とにかく、この森は非常に危険な状態だわ」

 最初にエンカウントしたリザードマンも、本来あの地点に出現する魔物ではなかった。もう少し奥に入らないと遭遇できないのだ。

 今、マルク達が遭遇している魔物はドローパーだ。ドローパーはスライムの一種で触手で攻撃してくる魔物だ。スライムと言えど侮ってはいけないBランクである。
 その理由は、その状態異常の攻撃と再生能力だ。触手に触れると毒・麻痺・盲目・ステータス低下・石化させられる。又、触手を斬っても瞬時に生える。
 これだけ厄介な魔物だとAランクの魔物と言ってもいいが、状態異常のかかる確率が30%と比較的に低いからだ。スキルに抵抗があればBランク冒険者ならば倒しやすい魔物とされている。

「きゃっ!」
「ぐっ!」

 シオンとカノンは、毒と麻痺にかかってしまうが、瞬時にマルクのクリアランスで回復する。オウカは人狼族で、抵抗力が高く状態異常にかかりにくく拳を奮っていた。

「おらぁ!」

 スライム族には、拳打であるオウカには相性が悪いと思うがそんな事はなく、オウカは拳に水の魔力を込めて殴打していた。
 オウカの殴った箇所は、凍りつきダメージが通っていた。

「これで最後だぁ!」

 オウカの殴った箇所は凍りつき、スライムは粉々に破壊されていき、とうとうドローパーの核がむき出しとなり、オウカの拳打が核を粉砕した。
 すると、核を失ったドローパーは溶けてなくなってしまいその場には大きな魔石だけが残ったのだ。

「それにしても、本当に不味い状況かもしれないね」

「本当にどうなっているの?」

「多分、ブラックドラゴンのせいだね。ブラックドラゴンがいついたせいで勢力図が変わったんだよ」

「つまり、ブラックドラゴンのせいで森の奥にいた魔物が追いやられたって事?でも、ブラックドラゴンは以前からこの場所にいたって言ってなかった?」

「多分、ブラックドラゴンは以前からいたけど眠っていたんだよ。ドラゴン種の活動周期は人間とは違うからね」

「な、なるほど・・・・・・ブラックドラゴンが目覚めて他の魔物が慌てて逃げ出したって事か・・・・・・」

「あくまでも予想だけどね」

 マルク達は、注意して森の奥に進むとまた、とんでもない場所に遭遇した。

「こ、これは!」

 シオン達は、壮絶な現場に目をおおった。冒険者ギルドの偵察部隊が全滅していたからだ。
 マルクは偵察部隊の遺体を収納した。帰ったらギルドに報告しないといけないからだ。
 冒険者のギルドカードも回収し、中には遺体のない冒険者もいた。多分魔物に食べられてしまったのだろう。
 マルク達は、冒険者達の全滅した場所で十字をきって冥福を祈った。

「さて、この先にブラックドラゴンがいる。みんな覚悟はいいね?」

「「「「「うん」」」」」
「でも、どうやって戦うの?沼地はさらに足をとられるわよ」

「大丈夫だよ。まず、僕がドラゴンの周りに壁を作り沼地の水を消す。そして、システィナは弓矢遠距離攻撃する」

「沼地の水を消すってどういう事?」

「ウォールオブストーンで城壁を作り、ドラゴンを囲み外から水を遮断するんだ。後は、ドラゴン囲んだ沼地の水を、エヴァポレイションという魔法で蒸発させるんだよ」

「そんな事が可能なの?」

「エヴァポレイションは、水属性魔法であるだろ?」

「だけど効果範囲が?」

「僕の魔法属性はどれもSランクだよ。だからシオン達は遠慮なく戦ってくれ!クレアは直接攻撃はせず投擲でよろしく」

「はい!」

 マルクは、ブラックドラゴンがいる場所を城壁で囲み沼地の水を抜いてしまった。

『ぐおおおおおおおおお!』

 ブラックドラゴンが雄叫びをあげた。ブラックドラゴンは何が起こったのか分からなかったのだ。

「あのドラゴンは、まだ歳が若いからシオン達でも大丈夫!」

 ブラックドラゴンは、数万年生きるとされている。成長したブラックドラゴンは人の言葉も喋るというが、マルクの鑑定では、まだ2000年も生きていなかった。
 このブラックドラゴンは、1000年程前に眠りについたのだろう。そして、王国がこの近くに建国されただけだ。ドラゴンは眠っていただけでつい最近目覚めたのだ。ドラゴンの1000年は人間の睡眠時間である。

「ロングショット!」

『ぐおおおおおお!』

 システィナの矢は、ブラックドラゴンの目を撃ち抜き、ブラックドラゴンは雄叫びをあげた。

「エアカッター!」

 マルクは、風の魔力を最大限に上げ、極大のエアカッターを打ち出し、ブラックドラゴンの羽を切断してしまった。

「後は、みんなで討伐よろしく!」

 ブラックドラゴンは羽を失い飛ぶ事ができなくなり、シオン達に突進してきた。シオン達は沼地がなくなり、硬い地面に踏ん張りを効かせる事ができた。移動速度も通常どおり動く事ができた。

「ヘイト!」

 シオンは、ブラックドラゴンを引き付けてタンカーに徹していた。そして、カノンとオウカがアタッカーとして、ダメージを与えていき、システィナが急所を狙い撃ちしていくのだ。

『ぐおおおおおおおおお!』

「うっ!」

 ブラックドラゴンは、ポイズンブレスをシオンに吐いた。ブラックドラゴンのポイズンブレスはダメージもとんでもないダメージがあるが、ポイズンダメージも蓄積していくのだ。
 シオン。HPはいきなり三分の一となり、毒のダメージが襲いかかり膝をついた。
 しかし、その瞬間マルクからエクストラルキュアがかけられて解毒された。続けてパーフェクトヒールでシオンのHPは全快した。

「マルクありがと!」

 シオンが、タンカーに徹していたからこそできる戦法だ。ブラックドラゴンはヘイトで引き付けられ、シオンにダメージを集中する。カノン達にはダメージがいかなくなり、マルクはシオンに回復を集中すればいいのだ。
 カノン達は、ブラックドラゴンの後方に回り込みダメージを与え続ければ比較的に安全だからだ。システィナは後方から、ロングショットでカノン達よりさらに安全な位置から攻撃をすればいいのだ。
 そして、ブラックドラゴンはシオン達になすすべもなく討伐されてしまったのだ。
 
 そして、マルクの城壁にはもうひとつ大事な役割があった。沼地に生える命の華が戦闘でなくならないようにするためだ。沼地の脇に生える命の華は無事に採取する事ができて、マルクは命の華にエクストラルキュアをかけるとそのどす黒く濁った花びらは透明になりキラキラと本来の美しい姿に変わった。

 マルクは命の華をインベントリに収納してしまい、ミッションクリアとなった。
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