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第4章 成長

49話 カエデ助かる

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 セバスチャンはレストランを出る時、ステファニーに頭を下げ一礼をした。そして、ステファニーも困ったような笑みを浮かべたのだった。

「セバス、カエデの症状はどんな感じだった?」

「多分ですが、リディア達がいなければ、傷口から腐り落ちるような感じでした。唯一救いだったのは即効性の毒ではなかった事ぐらいですね」

「毒を使った奴は相当自信があったって事か」

「そういう事かと!」

 セバスチャンが屋敷を出て、すでに二時間以上が過ぎていた。



「リディア。ポーションはまだ?」

「もう少しです」

「わたくしのMPが尽きるわ」

 リディアは、グレーターキュアとリチャージを作っていた。リチャージポーションは魔法使いのMPを回復させるポーションだ。

「アルマ、はい!」

 リディアは、ポーションを作る事に専念して、アルマがキュアを連発していた。そのサポートをララベル達メイドが世話しなく動いていた。

「でも、ご主人様のおかげで薬草はまだありそうね?」

「ええ・・・・・・でも、時間の問題だわ」

「嘘でしょ?」

「アルマよく考えて。ご主人様はステファニー様とデートをしているのよ。セバスがご主人様を見つけれられなかった場合、ご主人様は朝まで帰られないわ」

「うっ・・・・・・確かに!そうなれば、薬草の在庫は尽きるわね」

「ちょっと二人とも!最悪の事をいわないでよ!シオン様達も探しているから大丈夫よ!」

「「そ、そうね」」
「ララベル悪かったわ」

「こういう時こそ悪く考えたらダメ!」

「カエデは無事か!」

「「「「「ご主人様!」」」」」

 アルマ達が諦めそうになった時、屋敷の扉が勢いよく開き、マルクがセバスチャンと入ってきた。
 マルクの姿を見たら、アルマ達は目に涙を浮かべた。

「みんな、よく頑張ってくれた。本当にありがとうね」

 マルクは、みんなに頭を下げてお礼を言った。

「ご主人様、早くカエデを!」

「ああ!エクストラルキュア!」

 マルクが最上級の解毒魔法を唱えると、カエデのどす黒くなった傷口が血色の良い肌色に戻り、静かな呼吸をしだした。

「もう大丈夫だ!」

「「「「「良かった・・・・・・」」」」」

 その様子を見て、リディア達は腰が抜けたようにその場に座り込んだ。

「みんな、本当にありがとう!」

「今回、わたくしはあまりに無力でした」

「アルマ、何を言っているのよ。あなたの魔法がなかったら、ポーションを作れなかったわ」

「「「「「そうよ!あなたが無力ならあたし達の方が!」」」」」

「いいえ・・・・・・わたくしがレベルを上げていなかった事を後悔したわ。レベルを上げていれば、エクストラルキュアは無理かもしれないけど、グレーターキュアならできたかもしれないもの」

「いいや。お前達はよく頑張ってくれたよ」

「でも!わたくしがレベルを上げていれば・・・・・・」

「アルマよく聞いて!そういう、だったらとかやってればとか言ってもしょうがないんだよ?君達はその中で最善を尽くし頑張ったから、カエデは助かったんだ。その結果を喜ぶべきだよ」

「本当にその考えでいいのですか?」

「アルマが、今回後悔したというのなら、これから頑張れば良いんだよ。現実的にカエデは助かったんだ」

「はい」

 その時、シオン達が屋敷に帰ってきた。

「駄目だった・・・・・・わ。見つからない」

「シオン、悪かったね。カエデは助かったよ」

「「「「「マルク!」」」」」
「セバス、見つかったの?」

「はい。あの時別れてからその先にあるレストランにいました」

「「「「「良かった・・・・・・」」」」」

 シオン達は、カエデが助かった事を聞いて、その場に崩れ落ちた。マルクはシオン達にもお礼をいった。



 その頃、レストランに残されたステファニーは、夜の町を歩いていた。ギルドの寮に帰る気分にもならず、一軒のお洒落な店で一人飲んでいた。

「マスター、もう一杯ちょうだい」

「お嬢さん、もうそれぐらいにした方がよろしいかと・・・・・・」

「うー、もうダメなの?」

「何があったかわかりませんが、飲み過ぎかと思いますよ」

「そっか。飲み過ぎか・・・・・・じゃあ帰るわ」

「はい。またのお越しをお待ちしております」

 ステファニーは、マスターの言う事に素直に聞いて店を出た。しかし、ステファニーはその夜寮には帰る事はなかった。
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