役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした！

本条蒼依

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第４章　成長

２４話　ルノーバの森はアンデッドの巣窟

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「きゃっ！」

「オウカ！あたしが魔物を引きつけるからあなたは魔物の後ろに回り込んで！」

「クリアランス。ヒール！」

　オウカは、シオンと同じ方向から魔物に攻撃を仕掛け返り討ちにあった。シオンはヘイトというアクティブスキルで魔物からの攻撃を自分に仕向けていた。
　魔物はダークパンサーで、漆黒の猛獣で爪と牙で攻撃をしてくる。そのスピードから繰り出される爪攻撃は凄まじいものであり、大木をもへし折るパワーがあり、それと同時に爪には猛毒と暗闇の状態異常を引き起こす厄介な魔物だ。

　オウカは、本来ならシオンと同じ方向からの攻撃ではなく、シオンとは反対方向に回り込んで魔物を挟み込んだ状態で、魔物の後ろから攻撃するのが正解である。

　攻撃を受けたオウカは、ダークパンサーの丸太のような前足から重い一撃を受けて、ダンジョンの壁に叩きつけられた。しかし、すかさずマルクの魔法がかけられて復活。
　オウカは、ダークパンサーの後ろに回り込んで後方から攻撃し始めた。

　魔物を挟み込んだ状態で攻撃すると、後方からの攻撃する人間は、魔物から攻撃を受けにくくなり生存しやすく安全に討伐できる。また、魔法職の人間はタンカーの人間の回復に専念する事で、ＭＰ消費が少なくて連続戦闘ができて、結果早くレベルアップできるのだ。

「クレア。君はまだレベルが低い。接近戦じゃなく投擲をするんだ」

「は、はい！」

　マルクは、斥候員であるクレアがバックスタブをしようとしたので止めた。いくら後方からの攻撃が安全とはいえ、ここはＡランク冒険者でも躊躇する狩り場だからだ。
　オウカやカノンは前衛としての経験があるが、クレアは今まで斥候員に徹していたので、不足の事態が起こってからでは遅い。

　こうして、マルクとシオンはカノン達を実践で鍛え上げていった。

　一方その頃、王国騎士団は王都を出発してルノーバの町に到着した。冒険者ギルドは、騎士団の到着を首を長くしていて、到着を歓迎したのだった。

「ようこそ。お待ちしてました。我々ではもうどうにもならなかったのです」

「待たせてすまなかった」

「いえいえ、王国騎士団団長ラインハルト様が直々に来ていただき安心しました。しかし、Ｓランク冒険者が帰らなかったのでくれぐれも注意していただきたいのです」

「我々も情報を掴んでいる。Ｓランク冒険者は強いが１パーティーではどうにもならんだろうな」

「えっ？騎士団では、ルノーバの町の情報を掴んでいたのですか？」

「ああ！あの森にはリッチが出現したと情報があった」

「「「「「な、なんですって！」」」」」

　ルノーバの森に偵察を送った冒険者が帰らなかった訳が、この時初めて冒険者ギルドは知ったのだ。
　この情報を聞いたこの場にいた冒険者達も騒然となっていた。

「ま、まさかあの森にリッチが？じょ、冗談ですよね？」

「い、いや、間違いない情報だ。しかし、安心してくれ。リッチならＳランクの魔物だ。騎士団で十分対応できる案件だ」

　ラインハルトの自信に満ち溢れた言葉を聞いて、ギルド内はホッと安堵した様子だった。ギルドマスターはラインハルトの言葉を聞いて、リッチなのは間違いないと思って、犠牲になった冒険者の事を悲しんだ。
　自分の判断一つで、もっと犠牲者がもっと減らせたんじゃなかったんじゃないのか落ち込んだ。

「ギルドマスター、そんなに落ち込むな。この辺りの森に、リッチのようなアンデッドが出現するなんて誰も思わん」

「・・・・・・」

「今、騎士団の斥候部隊が偵察をしている。斥候部隊も言っていた。普通、リッチのようなアンデッドが地上をうろつくなどありえん事だ」

「ありえない？」

「ああ。そういうリッチがいないとは言い切れないが、リッチは魔法使いが自分の研究の為不老不死になった魔法使いの成れの果てだ。つまり、あのリッチは研究材料を探して出現したか、ダンジョンから這い出したかどちらかだな。そんなレアな状態はまず想像なんかできんからな」

「な、なるほど・・・・・・」

「しかし、今言った理由だけではあるまい。つまりリッチの考え方など人間にはわからん！あやつらは頭がぶっ飛んだ研究者だからな」

　そんな時、騎士団の斥候員が慌てて戻ってきた。その表情血の気が引いていた。

「だ、団長・・・・・・少しよろしいですか？」

「ここじゃ駄目なのか？」

「ここじゃ人目がありすぎます」

「ギルドマスター、部屋を用意してくれるか？」

「わかりました。こちらへどうぞ」

　ギルドマスターは、この後斥候員の個室を用意しろと言った意味がわかった。そしてその説明に頭を抱える事になった。

「なんだと！ルノーバの森に出現したのは、リッチじゃなくエルダーリッチだと？」

「はい！行商人が見間違えたのでしょう。元冒険者では見間違えてもしょうがないでしょう」

「しかし、エルダーリッチとなれば、この戦力では心もとない。すぐに第一部隊を呼び寄せないと駄目だ！」

「待ってください！第一部隊では・・・・・・」

「何を言っている？第一部隊は私直属の精鋭部隊なんだ。あいつらがいれば！」

「いえ・・・・・・第一部隊は精鋭部隊ですが、王国騎士団を全軍呼び寄せないと。それか、ルノーバからは手を引き、町の人間を王都に避難させるべきです」

「ば、馬鹿な！お主は何を言っているんだ。そんな事容認できる訳が！」

「聞いてください！あの森にはエルダーリッチが五体います。その他にも、犠牲になった冒険者がアンデッドウォーリアやマジシャンに変えられており、森はアンデッドの巣窟になっています」

　その報告にラインハルトをはじめ、ギルド幹部達も絶句していた。

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