役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした！

本条蒼依

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第３章　嫁

２８話　紅の誓い

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　カノンは、ララベルの説明を聞いて顔を青くしていた。
　早く怪我を治して冒険に出て、借金を返さないといけないのに、三ヶ月も安静にしないといけないと愕然とした。

「ご主人様は、カノン様達を借金奴隷にしないと思いますので、ポーションを使ったらいいんじゃないでしょうか？」

「しかし、これ以上マルクに迷惑は・・・・・・」

「そんな気にする必要はないよ」

　カノンが、マルクに迷惑はかけられないと言ったところに、マルクが部屋に入ってきた。そして、怪我を早く治して、ゆっくり借金は返済してくれたらいいと言われた。

「だが！」

「セバスがやりすぎて悪かったね」

「えっ？」

「まさか、セバスが熱くなるとは思ってなかったんだ。セバスはカノン達の事を誉めていたよ」

「セバスが？」

「まぁ、ちょっとやりすぎたのは、後で叱っておくがね」

「そんな！怪我をしたのはあたし達が未熟だったからで！」

「まぁ、その辺は否めないところはあるが、セバスはそれを踏まえて手加減をしないといけなかったんだよね」

「そういうものなのか？」

「当たり前だよ！セバスは、訓練をしたのは初めてじゃないし、怪我をさせた地点で二流だからね」

「あのセバスは？」

　ララベルが、マルクにセバスチャンの事を聞いてきた。

「ああ、セバスは今、シオンとお話の最中だよ」

「うわぁ・・・・・・可哀想に」

　セバスチャンは、別の部屋でシオンにお説教タイムで正座をさせられていた。
　
「カノン達は、気にする事じゃないし早く怪我を治して、依頼をこなしたらいいよ」

「だけど、ポーションが高額だし・・・・・・」

「気にする必要はないよ。怪我をさせたのはこっちだしね」

　普通なら怪我をさせて、治療費はマルクが払わないといけないと思うが、冒険者が訓練中での怪我はその範囲ではないのだ。
　冒険者自身も、訓練中に怪我をするのは自己責任となる。これが、冒険者ギルドに登録していなかった場合は、マルクの責任となり治療費は全額負担となるのだ。
　つまり、セバスチャンは熱くなる以前に今までとは違い、今はマルクの奴隷だとちゃんと認識する必要があったのだ。
　その為、今はシオンに説教されていた。しかし、セバスチャンの不幸はこの後が本番で、マルクからも説教されるのだった。

　そして、この後オウカとシスティナも目が覚めて自分の未熟さを反省して、マルクからポーションを譲ってもらった。

「うう・・・・・・」
「また、借金が増えたね」
「あたし達が未熟だったせいだ」
「あたしなんて・・・・・・レベルが低すぎて相手にもしてもらえなかったんだ」

　クレアは、セバスチャンの訓練で戦闘できるようになると心に誓った。
　今回、唯一怪我をしなかったが、弱すぎて気絶させられたに過ぎなかった。今までは、戦闘はカノン達に任せ、自分は斥候活動をすればいいと思っていた。
　だけど、本当にピンチの時、自分も戦えないとみんなの足手まといになると痛感させられたからだ。

「せっかく、マルクからいい装備を用意してもらったのに、装備品を活用できないなんて情けない」
「本当にそうだね」
「あたし達はもっと強くなる」
「あたしも・・・・・・」

　紅はもっと強くなると誓い、冒険者ギルドで依頼をこなす日々を過ごすのだった。しかし、紅に魔の手が迫っていることを、カノン達はもちろん、マルクとシオンも思いもしていなかった。

　その頃、王都のある商会では、ハーバリ商会の元店長のザックが頭を下げていた。
　ザックは、奴隷に落ちこの商会に買い取られていたみたいだ。

「お前を買うのに苦労したよ」

「ナガレス様申し訳ありません！」

「せっかく、お前をハーバリ商会に送り込み、王都支店の売り上げを落とさせる計画を立てたのに、この愚か者が！」

「申し訳ありません！あの亜人共が、ハーバリ商会来なければ良かったのですが・・・・・・」

「まぁ、お主は優秀な人間、いや、もう奴隷だ。これからは私の言う事を聞いて貰うからな。そして、このナガレス商会を大きくしてもらう」

「はい。私は鉱山送りになっていたはずです。このご恩は返したいと思います。そして、ハーバリ商会への・・・・・・」

「いや、もういい！」

「えっ？どういう事ですか？」

「ハーバリ商会には、プラチナカードを持つ冒険者が就いた。あの冒険者にはちょっかい掛けない方がよい」

「ハーバリ商会に、プラチナカードを持つ冒険者ですって？」

「ああ・・・・・・ハーバリ商会からは手を引く！お前を買い取ったのも、この計画が漏れないようにだ！お前には、他の所で役に立ってもらおう！」

「はっ！」

　ナガレスは、ザックが鉱山送りになって、そこの管理人から、今回の計画が漏洩しないように、ザックを買い取っただけであった。
　ナガレス商会は、マルクから手を引いた。国王から謝礼を受け取った冒険者には近づかない方がいいと判断したのだ。

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