役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした ！

第２章 役に立つスキル

１９話 王国騎士団の敗北

　斥候部隊が全滅したことは、すぐにラインハルトに知らされた。

「まさか？サーガ達が全滅だと？」

「はい！そして、その中には新種のオークがいるらしいです」

　ラインハルトは、新種のオークと聞きどんなオークか聞き返したが明確な答えは返ってこなかった。
　当然である。マーク自身サイキックの存在を知らないのだからだ。

　そして、ラインハルトはもう一度偵察を指示したのだが、サーガ率いる斥候部隊は全滅。唯一生き残りマークは、偵察と聞くと体が恐怖で震えだし、今のままでは現役復帰は絶望的だった。

「こうなったら、全軍で進軍し攻城兵器を使う！」

「「「「「はっ！」」」」」

　王国騎士団は、重々しい兵器をオーク帝国の近くに陣取り、鉄球を撃ち出す兵器を使った。これは本来、城壁を壊す為の物だ。
　しかし、今回は鉄球を撃ち出すのではなく、着弾すると大爆発をする対スタンピード兵器だ。

「弾は込めたか？」

「「「「「「はっ！」」」」」」

「撃てぇええええええええ！」

　ラインハルトの号令で、撃ち出された弾はガラス玉だった。そのガラス玉は着弾すると割れ中から液体が出ると大爆発を起こすはずだった。

「なぜ爆発しない？」

「ラインハルト様！着弾地点がぬかるみのようになっています！」

　撃ち出された弾は、ぬかるみに吸収されて割れずにそのまま残っていた。

　オーク達は何が起こったかわからなかったが、すぐに体制を整えて戦闘体勢となった。　　
　オークの中には、参謀がいて指揮官が指示を出しているみたいだった。そして、驚くことにオーク達はこの事をわかっていたみたいに水掻きが付いたブーツのような物を履いていた。

　オークが人間のように、道具を使い指揮官に従って行動しているのである。
　ラインハルトは驚愕の事実に唖然としてしまったのだった。

　オーク達は、発射された玉を後方運び込んだ。そして、驚くことにオークキングが何体も存在していた。

「オークキングがあんなにいるなんて！」

　そして、その後方にはマークが報告した、白目のオークが陣頭指揮を取りオークキングに指示を出しているみたいだった。

『ブハハハハハハハハハハハ！人間共め。自身兵器で死に晒すがよい！』

　発射された玉を、オークキングが大きく振りかぶり、王国騎士団の陣地に放り投げてきた。
　オークの腕力ではなく、上位種であるキングの腕力はとんでもない力だった。

　ラインハルトはもちろん、部下の騎士達も何が起こったのかわからなかった。優勢になるはずだったが、いっきに形勢逆転されてしまった。

「こ、こんなはずでは・・・・・・」

　オークキングが狙った場所は、攻城兵器のある場所だった。そこには撃ち出すはずの玉が用意されていて、その場所に着弾した。
　玉の中身はエクスプロージョンポーションで、着弾すると大爆発を起こし、用意していた玉が誘爆して、王国騎士団は大打撃を受けた。

「引けぇ～～～～～～～～！今は撤退だ。急げ！」

『ブハハハハハハハハハハハ！人がゴミのようだ』

『『『『『ブハハハハハハハハ！』』』』』

　オークは、王国騎士団の陣地を見てあざけ笑い馬鹿にしていたのだ。

『オーク共！今がチャンスだ。全員でやってしまえ！男は食料！女は苗床だ！』

『『『『『『ブーブーブーブー！』』』』』』

　オーク帝国から、数えきれないオークの集団が溢れだした。普段であればオークごときに遅れを取ることはない。しかし、大打撃を受けた騎士団には、この数のオークは恐怖でしかなかった。

「やめろ！くるんじゃねぇ、ぐはっ！」
「ぐわぁ～～～～～！俺の足が！」
「きゃあ～～～～～～！」
「近づかないで！うっぐっ！」

　騎士団の兵士は、大爆発に巻き込まれ負傷を負い身動きが満足にできず、オークの一撃で殺されその場で食い殺され、魔法師団は騎士団という盾役がいなくなり、魔法を満足に使えずオークの犠牲となった。

「くそぉ～～～～～！なんだ？あのオークは！」

　ラインハルトは、新種のオーク一匹に大敗退をきしてしまった。そして、ラインハルト達が命からがら、リーランの町に逃げ帰った時、数万の軍隊は２０００足らずとなっていた。　

「王国騎士団が帰還したぞ！」

　リーランの町の見張り台にいた兵士が叫んだ。当然、町の人達は王国騎士団が負けるとは思っていなくて、騎士団の帰還を喜び歓声を上げ祝福ムードであった。
　しかし、町に到着した騎士団を見て騒然となり、町の人達は何が起こったのか全てを理解した。

「まさか？」
「う、嘘だろ？騎士団が敗北したのか？」
「町はどうなるのよ」

　町の人達は、王国騎士団の姿を見て不安に襲われていた。