役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした ！

第２章 役に立つスキル

１８話 サイキックオーク

　オークの砦がそのような事になっているとは知らず、王国騎士団がリーランの町に到着した。
　リーランの領主は、王国騎士団の到着を歓迎し、リーランの町の外には重々しい軍隊の陣営がしかれた。

「バッハ様、到着が遅くなり申し訳ありません」

「いやいや、すぐに対応して頂き感謝いたします」

「これだけの戦力があれば、オークマザー等おそるるに足らずです。まぁ大船に乗ったつもりで安心して下さい」

「頼りにしています。どうぞリーランの町をよろしくお願いいたします」

「お任せください！このラインハルト明日にはリーランの町に安息の日々をお約束いたしましょう！」

　この時、リーランの町はこの軍隊を見て歓声が上がり町の安全を確信していた。しかし、ラインハルトはこの地にやって来た事を後悔する事になるのを思い知る事になるのである。　

　次の日の早朝、騎士団がリーランの町を出発してオークの集落の近くに陣営を構えた。

「サーガよろしく頼むぞ」

　サーガは、王国斥候部隊長で偵察のエキスパートである。

「任せろ！いつも通りきっちり調べてやるよ」

「頼んだぞ」

　それから、一時間後サーガは悪夢を見ていた。

「嘘だろ・・・・・・なぜ俺た・・・・・・ちが！逃げろ。誰でもいい！この事をライン、ぎゃあああああああああああ！」

　サーガは、オークジェネラルに鷲掴みにされ、頭から噛み砕かれた。サーガの部下達も同様、オークにいきなり掴まれそのまま喰われてしまったのだ。

　そして、オークの横には参謀のような異様な雰囲気を持つオークがいた。
　サーガ達は全員、このオークにやられたと言ってもよかった。そのオークは目が真っ白で何も見えていないようにみえた。
　グレートマザーが生み出した、サイキックオークだった。このオークは、超能力を使い新種と言える上異種となる。
　そのオークが、ジェネラルに指示を出し、サーガ達の潜伏を見破ったようだ。
　王国騎士団が到着するまでの間で、オークの集落は帝国へと成長してしまった。

『一匹だけ、逃がしてやれ』

『ぶぅ！ふごふご？(はぁ！なんでだ？)』

「こ、こいつ、人の言葉を？ぎゃああああああ！」

　逃がしてやれと言ったのに、オークジェネラルは自分の餌がなきなるのが嫌で、腕を噛み砕いた。

『そいつを逃がすんだ！』

『ぶぅ！ふごふごふごふご！(なんでだ？俺の餌がなくなるだろ！)』

『言う事を聞け！』

　サイキックオークが怒鳴ると言う事を聞かなかったオークジェネラルの頭が吹き飛んだ。
　それを見た斥候部隊の隊員は、自分のなくなった腕を押さえ意識がとびそうになりながら、目を見開いた。

「ぐっ！このオークは一体何をしたのだ？」

『おい！早く逃げろ！そして、この事を伝えて俺達の餌を連れてこい』

「ぐっ！俺を逃がしたことを後悔させてやる」

『なんとでも言うがいい。ああ！女もたくさん連れてこいよ。他種族の女はオークにとって必要だからな。ぐふふふふ！』

「くっ！」

　斥候部隊の女性達も捕まり、オークに弄ばれていた。隊員は今はこの状況をラインハルトに伝えるのが役目だと奥歯を噛み締めた。そして、なくなった腕を押さえ、命からがら陣営へと帰還したのだった。

「ラインハルト様に報告を・・・・・・」

「どうしたんだ？お前は斥候部隊のマークじゃないか？」
「サーガ様はどうした？他の者達は？」

　陣営の警備をしていた騎士達は、マークを抱き抱え治療室のテントに運び込んだ。
　中には、ヒーラーがいてマークにヒールを唱えると傷が塞がり出血が止まった。
　マークは、傷が塞がりふらふらになりながら、斥候部隊が全滅したことを伝えたのだった。

「斥候部隊は全滅・・・・・・サーガ様はオークに喰われて隊員も捕まり喰われて、女性隊員はそのまま・・・・・・ぐっ！」

「馬鹿な！斥候部隊が全滅だと！サーガ様の潜伏能力がオークごときにばれたというのか？」

「ああ・・・・・・オークの集落は、すでに帝国となっていた。そして、見たことがない白目のオークがいた」

「白目のオーク？」

「ああ。人の言葉を話し、言う事を聞かなかったオークの頭を噴き飛ばした」

「噴き飛ばしただと？一体どういう事なんだ？」

　マークは、サイキックを知らなかった。魔法で噴き飛ばした訳ではないのはわかった。その場合、魔力を感じるはずだが一切感じなかったからだ。
　
「わ、わからん！一切魔力を感じなかったがいきなりオークの頭が噴き飛んだとしか・・・・・・」

　マークは、オークの能力に恐怖をおぼえていた。実は、人々に知られていないだけでサイキックを持つ魔物はいる。代表的な魔物では、マインドフレアなんかがそうだ。
　しかし、マインドフレアにはそうそう遭遇などしない。そういった魔物はエセリアル空間の先、アストラル空間に存在しているので、マーク達人類には夢物語の話である。

　そして、そのマインドフレアがもつ能力を持つのが、サイキックオークなのだ。

　サーガ達は、超能力で潜伏能力を看破され見破られた。瞬間移動とも言える速さで攻撃されてしまったのだ。