39 / 361
第2章 役に立つスキル
13話 ダンジョンに待ち構えるもの
しおりを挟む
マルクは、オークの集落を囲むように土壁をたてた。オークは逃げる事もできず壁を引っ掻いて外に出ようともがいていた。
「さすがマルクね。これでオークは閉じ込めに成功したも同然ね」
「いや、閉じ込めは無理かもしれないね」
「何で?オークは出れなくて壁を引っ掻いているだけじゃない!」
「あそこを見て」
マルクの指差した場所は、崖の一角にできた洞穴だった。
「あ、あれは!」
「あの洞窟はやっぱりダンジョンみたいだね。中を確認しないと分からないけどたぶんとんでもない怪物がいるかもしれない」
「マルク、あなた世界地図があるじゃない。中はわからないの?」
「ダンジョンは、異次元空間みたいだからね。中はわからないな。中にいる場合は、外の様子もわからないからね」
「ならしょうがないね。でも、オークがダンジョンからどんどん出てくるわ」
「このままじゃ、オークが土壁を越えて溢れるかもしれないね」
「まずいじゃん」
「まぁ、このままおとなしく見てる訳じゃないけどね」
マルクは、そう言ってオークの集落にファイヤーボールを撃ち込んだ。ウォールオヴストーンで取り囲まれた集落に逃げる場所はなく、壁の内側はこの世の地獄と化した。
オークは、灼熱地獄となった集落で逃げる場所もなく下級種であるオークファイター等は、マルクのファイヤーボールに耐えられず、骨も残らず灰となってしまった。
又、上級種であるキングやジェネラル、そして、今回のターゲットである、エンペラーの姿はいなくなっていた。
「この調子だと、冒険者達の力を借りなくてもマルク一人で全滅できるんじゃないの?」
「いや、さすがは上級種だ。野生の勘が働いたみたいだ。ダンジョンに避難したみたいだね」
「オークにそんな知能が?」
「まぁ、キングとなるとしゃべる個体がいるらしいからね。一筋縄では行かないよ。それに、ダンジョンの中にはもっと大物がいるみたいだしね」
「大物って、エンペラーじゃあないの?」
マルクはシオンの問いに首を横に振った。
「じゃあ、今回のボスって・・・・・・」
「オークマザーだよ」
「う、嘘・・・・・・」
シオンは、マルクの口からオークマザーと聞き冷や汗を流した。オークマザーは、SSランクの天災級の魔物だ。
オークマザーは子供をどんどん産み続けて自分の帝国を作り上げてしまう最大級に危険な魔物の一角に君臨する魔物だ。
余談ではあるが、ゴブリンマザーやクイーンアントなんかが同じ系統の魔物である。
「エンペラーでも、Sランクの魔物で脅威なのに、あのダンジョンの中にはマザーが?」
「あのオークの数はそれしか説明がつかないよ。たぶんだけど、犠牲になった女性がたくさんいたのかもね・・・・・・」
オークマザーが生まれるのは本当に希である。オークやゴブリンは他種族の女性を苗床にして、種族繁栄するからだ。キングやエンペラーがマザーが揃った時、爆発的にオークが増えるのだ。これを俗にオークバンと言う。
「悪いけどシオン。陣営にいるギルドマスターに伝令をしてくれないか?」
「わ、わかったわ」
「それと、陣営自体この辺りに設営しても構わないと言ってきて」
「ここに陣営を?」
「うん。マザーとなると、王国騎士団の人達にも、協力してもらわないといけないからね」
「うん・・・・・・」
シオンは、マルクの説明に息をゴクリと飲んだ。まさかマザーを討伐する事になるとは思いもしなかったからだ。シオンはすぐに陣営に戻り、ギルドマスターにわかった事を報告した。
「はぁあ?何を言っているんだ?」
「本当です!確認はしていませんが、マルクが状況的にそれしか考えられないと!」
「嘘だろ?」
「エンペラーでも信じられないのに」
「その上、ダンジョン内にマザーだと?」
「もう終わりだ・・・・・・」
「シオン、本当にマルクはそう言ったのか?」
「ええ。マルクのオーク討伐数もとんでもない数に登ってます。あの数はマザーが産まないと考えられないかと!」
「ば、馬鹿な・・・・・・マザー討伐等、国家で対応する案件だぞ」
ギルドマスターやブリュゲン達王国騎士団魔法師団は頭を抱えた。
「ギルドマスター、マルクは陣営をオークの集落近くに移してくれと言ってます。たぶん、討伐できると考えているかと思います」
「馬鹿な!マザーの討伐となると敵の数は200とかではないんだぞ!それこそ20000いや、それでも少ないはずだ」
「だったら、ギルドマスターはどうするというのですか?今から、王国に救援要請を送ると言うのですか?」
「そ、それは・・・・・・しかし、それしかあるまい!ここには、400人もいないのだぞ?この人数ではどう考えても勝ち目はない!」
「だけど、マルクは!」
「いくらマルクが、この中で一番頼りになると言っても、突入をする決断はできん」
この決定は当然だった。ギルドマスターは全体の指揮者として、冒険者達を死地に向かわせることはできなかった。
この決定は、ブリュゲンとナディアも賛同であった。王国騎士団団長の力が必要だと思っていた。
「今すぐ、マルクを呼び戻すんだ。そして、王国に早馬を!」
「そんなぁ!」
「そんなではない!指示に従うのだ」
シオンは、渋々マルクを呼び戻したのだ。
「さすがマルクね。これでオークは閉じ込めに成功したも同然ね」
「いや、閉じ込めは無理かもしれないね」
「何で?オークは出れなくて壁を引っ掻いているだけじゃない!」
「あそこを見て」
マルクの指差した場所は、崖の一角にできた洞穴だった。
「あ、あれは!」
「あの洞窟はやっぱりダンジョンみたいだね。中を確認しないと分からないけどたぶんとんでもない怪物がいるかもしれない」
「マルク、あなた世界地図があるじゃない。中はわからないの?」
「ダンジョンは、異次元空間みたいだからね。中はわからないな。中にいる場合は、外の様子もわからないからね」
「ならしょうがないね。でも、オークがダンジョンからどんどん出てくるわ」
「このままじゃ、オークが土壁を越えて溢れるかもしれないね」
「まずいじゃん」
「まぁ、このままおとなしく見てる訳じゃないけどね」
マルクは、そう言ってオークの集落にファイヤーボールを撃ち込んだ。ウォールオヴストーンで取り囲まれた集落に逃げる場所はなく、壁の内側はこの世の地獄と化した。
オークは、灼熱地獄となった集落で逃げる場所もなく下級種であるオークファイター等は、マルクのファイヤーボールに耐えられず、骨も残らず灰となってしまった。
又、上級種であるキングやジェネラル、そして、今回のターゲットである、エンペラーの姿はいなくなっていた。
「この調子だと、冒険者達の力を借りなくてもマルク一人で全滅できるんじゃないの?」
「いや、さすがは上級種だ。野生の勘が働いたみたいだ。ダンジョンに避難したみたいだね」
「オークにそんな知能が?」
「まぁ、キングとなるとしゃべる個体がいるらしいからね。一筋縄では行かないよ。それに、ダンジョンの中にはもっと大物がいるみたいだしね」
「大物って、エンペラーじゃあないの?」
マルクはシオンの問いに首を横に振った。
「じゃあ、今回のボスって・・・・・・」
「オークマザーだよ」
「う、嘘・・・・・・」
シオンは、マルクの口からオークマザーと聞き冷や汗を流した。オークマザーは、SSランクの天災級の魔物だ。
オークマザーは子供をどんどん産み続けて自分の帝国を作り上げてしまう最大級に危険な魔物の一角に君臨する魔物だ。
余談ではあるが、ゴブリンマザーやクイーンアントなんかが同じ系統の魔物である。
「エンペラーでも、Sランクの魔物で脅威なのに、あのダンジョンの中にはマザーが?」
「あのオークの数はそれしか説明がつかないよ。たぶんだけど、犠牲になった女性がたくさんいたのかもね・・・・・・」
オークマザーが生まれるのは本当に希である。オークやゴブリンは他種族の女性を苗床にして、種族繁栄するからだ。キングやエンペラーがマザーが揃った時、爆発的にオークが増えるのだ。これを俗にオークバンと言う。
「悪いけどシオン。陣営にいるギルドマスターに伝令をしてくれないか?」
「わ、わかったわ」
「それと、陣営自体この辺りに設営しても構わないと言ってきて」
「ここに陣営を?」
「うん。マザーとなると、王国騎士団の人達にも、協力してもらわないといけないからね」
「うん・・・・・・」
シオンは、マルクの説明に息をゴクリと飲んだ。まさかマザーを討伐する事になるとは思いもしなかったからだ。シオンはすぐに陣営に戻り、ギルドマスターにわかった事を報告した。
「はぁあ?何を言っているんだ?」
「本当です!確認はしていませんが、マルクが状況的にそれしか考えられないと!」
「嘘だろ?」
「エンペラーでも信じられないのに」
「その上、ダンジョン内にマザーだと?」
「もう終わりだ・・・・・・」
「シオン、本当にマルクはそう言ったのか?」
「ええ。マルクのオーク討伐数もとんでもない数に登ってます。あの数はマザーが産まないと考えられないかと!」
「ば、馬鹿な・・・・・・マザー討伐等、国家で対応する案件だぞ」
ギルドマスターやブリュゲン達王国騎士団魔法師団は頭を抱えた。
「ギルドマスター、マルクは陣営をオークの集落近くに移してくれと言ってます。たぶん、討伐できると考えているかと思います」
「馬鹿な!マザーの討伐となると敵の数は200とかではないんだぞ!それこそ20000いや、それでも少ないはずだ」
「だったら、ギルドマスターはどうするというのですか?今から、王国に救援要請を送ると言うのですか?」
「そ、それは・・・・・・しかし、それしかあるまい!ここには、400人もいないのだぞ?この人数ではどう考えても勝ち目はない!」
「だけど、マルクは!」
「いくらマルクが、この中で一番頼りになると言っても、突入をする決断はできん」
この決定は当然だった。ギルドマスターは全体の指揮者として、冒険者達を死地に向かわせることはできなかった。
この決定は、ブリュゲンとナディアも賛同であった。王国騎士団団長の力が必要だと思っていた。
「今すぐ、マルクを呼び戻すんだ。そして、王国に早馬を!」
「そんなぁ!」
「そんなではない!指示に従うのだ」
シオンは、渋々マルクを呼び戻したのだ。
11
お気に入りに追加
460
あなたにおすすめの小説
異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
スキルを極めろ!
アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作
何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める!
神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。
不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。
異世界でジンとして生きていく。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
闇属性転移者の冒険録
三日月新
ファンタジー
異世界に召喚された影山武(タケル)は、素敵な冒険が始まる予感がしていた。
ところが、闇属性だからと強制転移されてしまう。
頼れる者がいない異世界で、タケルは元冒険者に助けられる。生き方と戦い方を教わると、ついに彼の冒険が始まる。
強力な魔物や冒険者と死闘を繰り広げながら、タケルはSランク冒険者を目指す。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~
椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。
探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。
このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。
自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。
ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。
しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。
その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。
まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた!
そして、その美少女達とパーティを組むことにも!
パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく!
泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!
忍びの末裔の俺、異世界でも多忙に候ふ
たぬきち25番
ファンタジー
忍びの術は血に記憶される。
忍びの術を受け継ぐ【現代の忍び】藤池 蓮(ふじいけ れん)は、かなり多忙だ。
現代社会において、忍びの需要は無くなるどころか人手が足りない状況だ。そんな多忙な蓮は任務を終えた帰りに、異世界に転移させられてしまった。
異世界で、人の未来を左右する【選択肢】を見れるレアスキルを手にしてしまった蓮は、通りすがりの訳アリの令嬢からすがられ、血に刻まれた【獣使役】の力で討伐対象である猛獣からも懐かれ、相変わらず忙しい毎日を過ごすことになったのだった。
※週一更新を予定しております!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる